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昔話『SuicideJetCity』10

前回のあらすじ

死にたがりのできあがり。

死にぞこないができるまで――あとわずか。

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つづきを読む?

昔話『SuicideJetCity』9

前回のあらすじ

彼女が死んじゃった

嘘じゃないよ。

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つづきを読む?

本『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん10 終わりの終わりは始まり』 入間人間

『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 終わりの終わりは始まり』 電撃文庫(アスキー・メディアワークス)

著:入間人間

イラスト:左

じゃあみんな、行ってきます。

ちょいとハッピーエンドまで。



まーちゃんが、殺人犯に攫われた。

僕の元から、まーちゃんが消えた。

バカップル伝説も終焉を迎えた。

長瀬透殺人事件に起因する自分自身との無益な争いに精を出していた間に攫われたんだから、まったくもって笑えない。

しかも犯人は、長瀬だけでなく、僕の知り合いを次々と殺してまわった人間でもある。

そして、今だ犯人は逃亡中。

この事件だけは、僕が終わらせないといけない。

敵は二つ。

殺人犯と、僕自身。

内外からの挟み撃ちだ。

相手にとって不足はないが、相手からすれば標的は不足だらけだろう。

だからって、まーちゃんを諦めると、僕はみーくんじゃなくなる。

出来る内に、出来ることを。

『ぼく』 が終わる前に。

僕はきみにまた嘘をつく。

きみをこれ以上なく、幸せにする為に。

まーちゃん、それとみんな。

これからも元気で。

じゃあ、さよなら。

これにて『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』シリーズ完結!!

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昔話『SuicideJetCity』8

昔話『About A ××××』14

前回のあらすじ

私はもう笑わない。

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つづきを読む?

本『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん9 始まりの未来は終わり』 入間人間

『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん9 始まりの未来は終わり』 電撃文庫(アスキー・メディアワークス)

著:入間人間

イラスト:左

長瀬。

お前が死ななくても、僕は生きていけたのに。



長瀬透が殺された。

そのあと、変な奴から殺人声明の電話が掛かってきた。

でも、僕の人生に一片の起伏もない。

僕とまーちゃんの毎日は、それでも何も変化しなかった。

僕は長瀬の死を知らされても、涙も流さなかった。

教室にある長瀬の机の引き出しには、教科書が残っていた。

置きっぱなしは教師から注意されているのに。

長瀬なりの反抗期かな、これ。

……ははっ。

ああ、良かった。

僕はまだ、笑えたぞ。

出来るかはわからない。

だけど、立ち向かう。

この事件だけはぼくが終わらせないといけない。

敵は二つ。

殺人犯と、クループ現象。

ぼくの内外からの挟み撃ちだ。

相手にとって不足はないが、相手からすれば標的は不足だらけだろう。

「まずは何処へ行くつもり?」

「ちょいとハッピーエンドまで」

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本『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん『i』 記憶の形成は作為』 入間人間

『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん『i』 記憶の形成は作為』 電撃文庫(アスキー・メディアワークス)

著:入間人間 

イラスト:左

ぼくのこころに連絡を取る。

ノイズばかりだけど、辛うじて通信はできた。



むかしのことを考えると頭の中が深夜のテレビみたいにノイズだらけになるさっこん、いかがお過ごしでしょうか。

これは、ぼくがまだ僕になる前の話だ。

家庭内にぎやか事件のあと、ぼくはいろんな人と出会った。

恋日先生、じさつ志願者、いじめっ子少女、にもうと、そして、マユちゃん。

みんな(とくにマユちゃん)の純粋むくな姿がめじろおしでおとどけなのである。

……むかしのぼくは正直ものだったんだよね。

うそだけど……今度、じしょでうそって字を調べとこう。


春『うそが階段を上るとき』

春に出会ったのは。

ぼくに空の落ち方を教えてくれた大人。

あの事件から解放されたぼくは精神病院に入院している。

そこには共有のテレビを占領するいけない女の人、ヤマナさんがいた。

あ、そういえば屋上のフェンスを破ろうとしているのは誰だろう。

もしかしたら病院内にいる誰かが飛び降り自殺でも考えているのかもしれない。

それを実行しそうな人がここにはたくさんいるわけだし。


夏『ともだち計画』

夏に出会ったのは。

ぼくの大切になれなかったともだち。

ぼくが学校に通うようになったのは七月の始めだった。

4年1組 枝瀬××

本当ならぼくは5年生として学校に通うはずだった。

しかしぼくは一年間地下生活を余儀なくされたわけで、だから一年間無駄に過ごしてしまったわけ……。

こうして、ぼくはもう一度4年生をやり直さなければいけない。

同じように菅原くんやマユちゃんも4年生をやり直すはずだ。

学校というものはおばさんの言っていたとおり、全く楽しいものではなかった。

そしてぼくが所属するクラスには何かとつっかかってくる女の子がいた。

彼女の名前は――浜名遠江。


秋『蟻と妹の自転車籠』

秋に出会ったのは。

ぼくの記憶に居場所のない思い出。

十月十日、体育の日。

ぼくの小学校では運動会ではなく遠足の日になっていた。

ぼくは普通に列の最後尾を歩いていたはずが、いつの間にか普通に道に迷っていた。

これはいかんですよ、と思いながらもぼくは思い出す。

ぼくが初めて、妹といっしょに山に行った日のことを。

あんなに自分の血を流したのも初めてだったなぁ。


冬『Happy Child』

冬に出会ったのは。

互いに相手が見えない、ぼくと彼女。

その日は学校帰りに、坂下恋日先生のいる病院を訪ねていた。

定期検診というやつだ。

学校がどれくらい退屈か聞かれたり、恋日先生の小学校時代のことを聞かされたりした。

御園さんのことも聞かれたけど、ぼくは何も答えられなかった。

だってぼくと彼女はクラスが違うから。

それから病院の外に出ると、素直に帰れなくなってしまう。

目の前にしかめっ面をした女の子、御園マユがいたから。

そしてぼくは彼女のニックネームを呼んでしまう。

「まーちゃん」と……。


とってももしもにもしかして『壊れていない正しさのある世界なら』

誰が望んだか知れない夢で出会ったのは。

身分詐称の幸福。

「起きなさい、あい」

下の名前を言葉の飾りつけなしに呼ばれるのは、好きじゃない。

高校二年生にもなって母親を自室に踏みこませるという失態をしてしまった。

父の天野南、母の天野美沙、兄の天野司馬、それとぼくの四人家族。

二人目のお母さんもいないし、下の妹なんてのもいない。

ぼくは朝食を食べると、高校へ行く準備をして家の外で彼女が来るのを待つ。

そうしているうちに待ち人がヘルメットを被って自転車に乗ってやってきた。

天野家とお隣さんである伏見家のご令嬢こと、伏見柚々だ。

ぼくはいつも彼女と学校に向かう。

学校には海老原香奈恵、菅原道真、琵琶島八事、一宮河名、宗田義人など、どこにでもいそうな友人や後輩たちがいる。

退屈かもしれないけど、とても大切なぼくの三百六十五分の一。

ぼくの世界が、壊されませんように。

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本『フィッシュストーリー』 伊坂幸太郎

『フィッシュストーリー』 伊坂幸太郎 新潮文庫

  

【動物園のエンジン】

電車に乗っているとき、十年前の出来事を思い出した。

「エンジン」という単語を聞いたせいだ。

あの日、私と河原崎さんは夜の動物園に来ていた。

動物園勤務の恩田に誘われてきた二人は、シンリンオオカミの柵の前でベンチに寝そべる男を見つける。

不審な男だと思ったが、恩田が元動物園職員の永沢さんだと教えてくれた。

やめさせられて精神がおかしくなってしまった彼は、今でもこうして動物園にやってきているらしい。

シンリンオオカミがまた逃げ出してしまうのを見守っているようだった。

また、恩田は永沢さんのことを「動物園のエンジン」と評した。

永沢さんが動物園にいるだけで動物たちの雰囲気が違ってくるというのだ。

【サクリファイス】

黒澤――本業は空き巣で、副業は探偵だ。

その黒澤が探偵業として訪れようとしていたのは小暮村。

だが途中で道を間違えてしまい、山道に入り込んでしまった。

おまけに車を動かすこともできなくなり、黒澤は歩いて来た道を戻って行く。

その道中で出会った白髪頭の男、柿本。

なんと彼は黒澤がこれから向かおうとしていた小暮村の住人だった。

黒澤は山田という男を捜していた。

一週間前に失踪し、黒澤は柄の悪い男達に奴の捜索を依頼されたのだ。

小暮村に着くと、黒澤は村独特の風習の存在を知らされる。

「こもり様」

くじで選ばれた人間が生贄となり、一定期間洞窟の中にこもって生活する風習だという。

【フィッシュストーリー】

最後のレコーディングに臨んだ売れないロックバンド。

最後にレコーディングされたその曲は「フィッシュストーリー」という曲名で世に出された。

「いい曲なんだよ。届けよ、誰かに」

テープに記録されたその言葉は、未来に届いて世界を救う。

たとえそれが小さな世界だとしても――確かに届いた。

【ポテチ】

大西は恋人の今村が働いている姿を見るためにマンションの一室へやってきた。

しかしその今村は漫画本を読んでいる。

テレビではプロ野球のナイター中継が流れている。

スタジアムのベンチの奥に野球選手の尾崎の姿が見えないだろうか、と目を凝らすが、カメラには映っていなかった。

この部屋の家主の尾崎は今日も出番がないらしい。

今村と大西が今くつろいでいるこの部屋は尾崎のものだ。

そして今村は空き巣という仕事のためにここに来ている。

しかし今村はいっこうに働こうとする素振りを見せず、漫画を読み続けている。

そんな彼を見て大西が呆れていると、電話機が鳴り、女の声で助けを求めてきた。

【関連リンク】

本『オーデュボンの祈り』

本『チルドレン』

本『魔王』

本『フィッシュストーリー』

本『重力ピエロ』

本『グラスホッパー』

本『陽気なギャングが地球を回す』

本『陽気なギャングの日常と襲撃』


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つづきを読む?

昔話『About A ××××』13

前回のあらすじ

ヨーグルト。

いいえ、ケフィアです。

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つづきを読む?

昔話『About A ××××』12

前回のあらすじ

××××は愛想笑いを覚えた。

人を信用することを忘れた。


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つづきを読む?

本『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lolipop or A Bullet』 桜庭一樹

『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lolipop or A Bullet』 桜庭一樹 角川文庫

その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。

見つけたくない「あるもの」を見つけてしまうために。



中学二年の秋頃、転校生の海野藻屑があたし(山田なぎさ)のクラスに乱入してきた。

通路を挟んだ隣の席の男子生徒、花名島がボソッと教えてくれた。

彼女の父親は海野雅愛だと。

海野雅愛はちょっと昔の有名人で、この町の人間なら誰もが知っている曲を歌っていた。

その曲は二番まではとても綺麗だが、三番は、まるで快楽バラバラ殺人だ。

海野藻屑は「へんなやつ」だった。

小刻みに震えているし、二リットルボトルのミネラルウォーターをいつも持っているし、自分は人魚だと言いはるのだから。

自己紹介を終えて席につこうとする時、彼女は派手に転んだ。

立ち上がった後、海野藻屑はあたしを見て「死んじゃえ」といった。

あたしは顔をしかめてそっぽを向いた。

一番興味を示していなかったあたしが、なぜ毒づかれなければいけないんだ。


あたし、中学生の山田なぎさは実弾を求めていた。

一刻も早く社会に出て、お金という“実弾”を手に入れようとしていた。

1LDKのボロボロの公団住宅に母と兄とあたしの三人で暮らしている。

母一人の稼ぎと、ほんの少しの生活保護で生活していた。

兄は中学に行かなくなって、高校受験もしないで、家から一歩も出なくなった。

そのため生活はとてもキツイ。

何も買えない。

だからあたしは実弾を求めている。

中学を卒業したら自衛隊に入って、兵士になるつもりだ。

実弾以外のことには興味がない。

そのため、海野藻屑という少女にも無関心だった。

それなのに、海野藻屑はなにかとあたしに絡んでくる。

嘘つきで残酷だが、魅力的な容姿の彼女とあたしは徐々に親密な関係になっていく。

だが藻屑は、いつも痛そうに足をひきずっていて、その足は父親の虐待によるもので……。

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本『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん8 日常の価値は非凡』 入間人間

『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん8 日常の価値は非凡』 電撃文庫(アスキー・メディアワークス)

著:入間人間(いるま ひとま)

イラスト:左



ほんさくのとうじょうじんぶつです。

みどりのぼうしのたんていのひと(ろりこん)。

ろりこんぎらいのおんなのこ。

おかしなおじさん。

じさつしたあねをもつひと。

しょしんしゃなかつぷる。

ねこずきさっか。

きんぱつあおすーつのひと。

きれいなこわいおんなのひと。

ばかんすでやってきた、うみがちかくにあるほてるにて。

だれがしんで。だれがしなないか。

僕とまーちやんは、知らない。

……こんなゲームがあったら、面白いのになぁ。

絶対に参加はしたくないけど。

嘘じゃないよ。



今作では、主人公みーくんとヒロインまーちゃんはバカンスを満喫しまくっています。

おまけに群像劇で書かれているからいつも以上に癖のある作品となっています。

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昔話『SuicideJetCity』7

前回のあらすじ

ありす:泣けない子

私:笑えない子

まあ嘘だけどね。

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つづきはこちら

昔話『About A ××××』11

前回のあらすじ

笑えません。


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つづきを読む?

本『西の魔女が死んだ』 梨木香歩

『西の魔女が死んだ』 梨木香歩 新潮文庫

「おばあちゃん、大好き」

「アイ・ノウ」

それは二人だけの秘密の合言葉。



【西の魔女が死んだ】

西の魔女が死んだ。

学校で理科の授業が始まろうとしているときだった。

すぐにお母さんが来るから帰る準備をして校門のところで待っているように言われた。

何かが起こったのだ。

まいは言われたとおり校門のところでママを待った。

ほどなくママの運転する車がやってきて、まいが乗り込むとすぐに発進した。

「何があったの?」

と、まいはおそるおそる訊いた。

ママは深くためいきをついた。

「魔女が――倒れた。もうだめみたい」

突然、まいのまわりの世界から音と色が消えた。

まいは体がどんどん重く沈みこんでいくように感じた。

そして二年前の、季節が初夏へ移り変わるちょうど今ごろ、おばあちゃんと過ごした一カ月余りのことを急に思い出した。

中学に進んで間もなく、学校に行けなくなったまいは、西の魔女のもとで過ごした。

田舎のおばあちゃんの家で暮らすことになったまいは、魔女見習いの修業を受ける。

魔女修業で一番大事なことは――何でも自分で決める――ということだった。


【渡りの一日】(文庫版併録作品)

その後のまいの物語。

加納さんがやってきたという母の順子の言葉で目が覚めた和邇ショウコ。

洗面を済ませて、茶の間に入ると、加納まいが待機していた。

今日、ショウコとまいは杖差山に登ってサシバの渡りを見ようと前から約束していた。

だが、何事も適当なショウコのおかげで予定はなしになってしまった。

がっかりするまいに順子は展覧会の券を二枚渡す。

以前からその展覧会に興味があったまいは、すぐにショウコといっしょに家を出る。

だが展覧会会場のバスに乗ろうとしたとき、猛スピードで走ってきた自転車とぶつかりそうになり……。

関連作品

本『家守綺譚』 

本『西の魔女が死んだ』

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ネタバレ注意

昔話『SuicideJetCity』6

前回のあらすじ

「まあ嘘だけどね」

ありすは言いました。

「イカレてるよね」

私は言いました。



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昔話『About A ××××』10

前回のあらすじ

精神は崩壊しました。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4094513086

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昔話『SuicideJetCity』 5

前回のあらすじ

嘘つきありすとイカレた××××。

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本『鹿男あをによし』 万城目学

『鹿男あをによし』 万城目学 幻冬舎

そうだ奈良へ行こう。

鹿せんべいを食べに。



去年の秋、主人公「おれ」は大学院の研究室にいる助手の論文データを消して以来、研究室での居場所を失ってしまった。

また、今年になって半年以上かけた自分の実験に失敗してしまう。

その時、おれに論文データを消された助手が「ざまあみろ」と暴言を吐いたのを聞いた瞬間、おれは助手につかみかかっていた。

研究室の連中に取り押さえられた二人は教授に呼ばれた。

喧嘩の原因を訊かれ、助手は何も言っていないと譲らなかった。

そのせいで「きみは神経衰弱だから」と喧嘩の原因がおれにあると言い、おれのあだ名は「神経衰弱」になってしまったのだ。

教授は定食屋におれを呼び出して、大学を休んでみてはどうかと提案してきた。

その提案というのは、奈良にある女子校で二学期だけの常勤講師として勤めることだった。

この提案には、助手が新しい研究をするためにおれがいつも使っている機材を使いたいから研究を中断してほしいという意味が込められていた。

その場で決断できなかった彼だが、翌日研究室に行くとすでに助手が機材を使って研究を始めていた。

仕方なくおれは教授に奈良に行くことを承諾する。

九月(長月)の半ば、「1−A」の教室に入ったおれは出席をとった。

全員いると思っていたが、一人いないことに気づき、名前を確認すると——堀田イトとある。

そのとき、教室の後ろのドアが開き、女子生徒が入ってきた。

堀田だと思って呼びかけると、彼女はものすごい形相で睨んできた。

さらに遅刻した理由を問いただすと、駐禁を取られたと言う。

しかもマイカーではなく、マイシカだと言い出す。

それからというもの、おれは事あるごとに堀田と口論した。

どうしてもおれと堀田は相性が良くないようだった。

ある朝、おれが大仏殿の裏の原っぱで休んでいると一頭の雌鹿と二頭の雄鹿が歩いてきた。

雌鹿はおれをじっと見つめる。

異様な状況にもかかわらず、彼は立ち上がることができなかった。

雌鹿が口元をもぐもぐしているので、まるでしゃべろうとしているみたいだと感じた。

そう感じた時、鹿が「びい」と鳴いた。

さらに

「鹿せんべい、そんなにうまいか」

おれが鹿せんべいを食べたことを知っていた。

そして

「さあ、神無月だ——出番だよ、先生」

と口にしたのだ。

おれは、中年男の声を出す雌鹿と出会ったことで“運び番”に選ばれる。

そして京都に行って“目”という鎮めの儀式に用いる神宝をもらってくることを命じられた。

日本が滅ぶか残るかは、おれにかかっていると鹿は言った。


設定やストーリーは少し違いますが、ドラマ化もしています(・∀・)

「あをによし」とは、和歌の枕詞。

あをによし 奈良の都は 咲く花の 薫ふがごとく 今盛りなり

諸説あるが、「青丹よし」で建物の青色と丹色の色づかいが鮮やかで、都の眺めはグッドだなあという意味らしい。

本書から引用<(_ _)>

【関連リンク】

『鹿男あをによし』

『ホルモー六景』

『鴨川ホルモー』

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昔話『About A ××××』9

前回のあらすじ

教師=聖職者

そんなアホみたいな幻想を抱いている方はいるのでしょうか。

教師も同じ人間ですよ。

汚い奴もいれば頭のおかしい奴もいます。

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昔話『About A ××××』8

前回のあらすじ

生まれた街に転校してきた私。

いじめられない学校は私にとって大切な居場所でした。

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昔話『SuicideJetCity』 4

前回のあらすじ

図書館であった不思議な女の子――ありす。

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昔話『SuicideJetCity』 3

前回のあらすじ

場所は図書館。

隣には見知らぬ女の子が座っていました。

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本『別冊図書館戦争Ⅱ』

『別冊図書館戦争Ⅱ』 アスキー・メディアワークス

著者:有川浩

イラスト:徒花スクモ



先に注意書きとして書いておきます。

本『別冊図書館戦争Ⅱ』もベタ甘です。

ベタ甘な恋愛が好きな方や本編エピローグを読み終えて手塚と柴崎のその後が知りたい方はお読み下さい。

ベタ甘が駄目な方は逃げてください。

これは著者があとがきでも書いていることです<(_ _)>

公序良俗を乱し、人権を侵害する表現を取り締まる法律として 「メディア良化法」 が成立・施行された現代。

強権的かつ超法規的な「メディア良化委員会」とその実行組織「良化特務機関」の言論弾圧が行われていた。

それらに唯一対抗できる存在——図書館。

図書館は「図書館法」を根拠に独自の防衛組織・図書隊を設立した。

武装した図書隊は、良化機関との永きに渡る抗争に突入することになる。

全ては図書館の自由を守るために!


検閲抗争における銃器の使用禁止が法として整備された頃、笠原郁は憧れの王子様であり上官の堂上篤と結婚していた。

ある日、休憩室で堂上班は「もしもタイムマシンがあったら」という話題で盛り上がっていた。

郁は結婚式に戻りたいと言い、堂上は同僚の小牧に三日酔いの過去をバラされてしまう。

そこに偶然居合わせた図書特殊部隊副隊長の緒方に郁が話を振ると彼は大学の頃と答える。

緒方の過去の事情を知っている堂上は、気をつかい休憩を早めに切り上げることにした。

気を遣わせたかな、と思いながら緒方は大学三年のころを振り返る——。


郁と篤は結婚してから官舎で同居している。

ある日、昼間あった些細なことで二人は夫婦喧嘩をしてしまう。

篤は郁に投げっぱなしジャーマンを食らわせ、郁は篤に蹴りを放った。

二人の緊張感ある夫婦喧嘩が終わり、郁は篤に昔話を聞かせてもらう。

それは篤が図書隊に入隊したばかりの話だった。


郁が結婚する前、同室で生活していたのは同期の柴崎麻子だった。

彼女も郁同様、三正に昇任していたが一人部屋の空き部屋がなく、そのまま二人部屋を一人で使っていた。

その一人分の空きスペースを使わせて欲しいと寮監が彼女の元にやってきた。

新しい同居人は同期だが、階級が一個下の士長の水島だという。

柴崎は嫌々ながらも四ヶ月後に一人部屋が空くのでそこに入ることを寮監に約束させ、同居を了承する。

だが、新しい同居人は真面目すぎで同期の柴崎にも階級が違うからという理由で敬語を使う大人しい女だった。

柴崎は彼女に苦手意識を持ちながらも、少しずつうち解けようと努力する。

しかし、彼女が抱えている問題は私生活だけではなかった。

仕事の図書館業務では、奥村という男がチラチラと彼女を見たり何度も声をかけてきたりした。

ストーカーのような行為に業務部の同僚たちは心配していたが、柴崎は常に隙を見せず男のことを気にせずうまくやりすごしていた。

隙を見せずになんとかやりすごしていた彼女だが、奥村は彼女が人が少ないエリアでいきなり後ろから腕を掴んできた。

そのまま引きずられるように物陰に連れ込まれた彼女を助けたのは——同期で図書特殊部隊所属の手塚光だった。

彼の登場によりストーカーは柴崎を解放し、その場を立ち去った。

その後、手塚は柴崎に護衛をすると提案し、彼女はそれを受け入れる。

二人は同僚であり、昔三回キスした間柄ではなくなり始めていた——。

【関連リンク】

本『図書館戦争』 第一弾

本『図書館内乱』 第二弾

本『図書館危機』 第三弾

本『図書館革命』 第四弾 本編完結!

本『別冊図書館戦争Ⅰ』 外伝

本『別冊図書館戦争Ⅱ』 外伝

本『阪急電車』

本『植物図鑑』


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本『ハピネス』

『ハピネス』 嶽本野ばら 小学館



「私ね、後、一週間で死んじゃうの」

約束の時間に、いつも待ち合わせ場所にしている井の頭公園前の駅前にあるカフェ『宵待草』に現れた彼女はそう言った。

しかも以前から憧れていたロリータ・ファッションを着ていた。

突然のことに「僕」は驚きを隠せず、注文したカモミールティーを飲まずにくるりと回って見せる彼女をただ眺めることしができなかった。

BABY,THE STARS SHINE BRIGHT、metamorphose temps de fille、Emily Temple cute、Jane Marple、Innocent World ……etc.

数あるロリータ・ファッションを扱うメゾンの中で彼女は Innocent World を選んだ。

CoCo壱番屋で彼女とカレーを食べた後、僕の住むマンションに来ると彼女は最初に言ったことの説明を始めた。

彼女の心臓が生まれつき正常でないことやかかりつけの医者に検査してもらっていることは、僕は知っていた。

その正常でない心臓の血管が細くなり始め、残り十日、生きていられるか否かという状態になったのだという。

悲しい現実を受け止め切れずにいる僕に彼女は、普段通りしてほしいとお願いした。

昨日までと同じように、絵の話をしたり、お買い物に付き合ったり、キスをしたり、セックスをして欲しいと。

翌日、二人は学校帰りに部活をサボって原宿にある Innocent World のお店に行った。

その帰りに寄ったスターバックスコーヒーで、彼女の唇が紫色になりか細い呼吸をする姿を目の当たりにしてしまう。

すぐに薬を飲んで対処する彼女だが、その発作が彼女の心臓が悪いことを物語っていた。

彼は彼女が死ぬ前に彼女のわがままに付き合ってあげようと決意し、彼女に何がしたいか訊ねた。

彼女は、今は決められないと言うので二人はそこで別れた。

翌日の水曜日、僕は初めて彼女の家に入り、彼女と彼女の両親と夕食を食べた。

夕食後、彼女の部屋でアッサムティーを口にしながら今後の予定を話した。

明日木曜日は、僕の部屋でお泊まり。

明後日金曜日は、ママとパパと過ごす。

そして土、日はやりたいことが二つあるのでそれをする。

一つは大阪にあるInnocent World の本店に行くこと。

もう一つは銀座の資生堂パーラーで一万五百円のカレーライスを食べること。

彼女の最後のわがままを僕は了承する。

つづきはネタバレ注意











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ネタバレ注意