忍者ブログ

カテゴリー別表示

2012/04/02 本『縫製人間ヌイグルマー』 大槻ケンヂ
本『縫製人間ヌイグルマー』 大槻ケンヂ メディアファクトリー 友情の戦士!! 縫製人間ヌイグルマー!!   十二月二十四日、南国タイのサマイ島。 その日、タイではふわふわと
2011/12/30 本『ロッキン・ホース・バレリーナ』 大槻ケンヂ
本『ロッキン・ホース・バレリーナ』 大槻ケンヂ 角川文庫 18歳で夏でバカ! 忘れることなど一生できない最高の旅。 耕助は十八歳で夏でバカで、プータローのバンドマンだった。

本『縫製人間ヌイグルマー』 大槻ケンヂ

『縫製人間ヌイグルマー』 大槻ケンヂ メディアファクトリー

友情の戦士!! 縫製人間ヌイグルマー!!

 


十二月二十四日、南国タイのサマイ島。

その日、タイではふわふわとした白い雪のような塊が降っていた。

その塊の正体は、綿状生命体。

ほとんどが海に落ちて溶けて消滅してしまったが、運良く風に運ばれて、ぬいぐるみ工場に入るものがあった。

そこではぬいぐるみの綿をつめる作業中で、綿状生命体たちはそこにある綿に紛れ込んだ。

そしてそのままテディーベア……のパチモンの中に詰められ出荷された。

彼らは、離ればなれになったが出荷される直前に黄色いブサイクなぬいぐるみが言った。

「泣くな、生きろ、誇りを捨てるな! 私が皆を探し出す! このボタンの瞳にかけて!」


翌年、十二月二十四日——東京・高円寺。

四歳の森野姫子は、パパとママと共にオモチャ屋にやってきていた。

彼女がぬいぐるみ選びをしているとき、突然頭からぬいぐるみ置き場につっこんだのだ。

どうにかぬいぐるみの山から抜け出た彼女は、一匹のぬいぐるみを持っていた。

それは黄色い目がボタンで出来たパチモンのぬいぐるみ「ディーディーベアー」

姫子は、このぬいぐるみを買ってもらい、その子にブースケと名前を付けた。

ブースケが姫子の家にやってきて一年が経とうとしていた。

ある時、姫子はブースケを連れて図書館にやってきた。

売れない作家であるパパは、ここで小説を書いているのだ。

「物語だけが人間の絶望と理想を逆転できる唯一の装置なんだ」

パパからいつもそう教わっていた姫子は、いつか自分も小説家になろうと決めていた。

その帰り道、彼女はブースケをどこかで落として無くしてしまう。

どこに行っても見つからず、姫子は散々泣きはらしようやく眠りについた。

だが、すぐに彼女はハッと目を覚まし、目の前で板チョコを抱えたぬいぐるみが歩いているのを見つけた。

そのぬいぐるみは、いなくなったはずのブースケだった。

ブースケは、姫子にこれは夢だと言い、帰りが遅れたことを謝った。

姫子は夢の中でブースケにお願いをした。

「姫子が大人になって、パパみたいな小説家になるまで、ずっと守っていて」

満月の明かりを背に、ぬいぐるみが片膝をついて言った。

「誓いましょう。このボタンの瞳にかけて」


それから十二年後、十二月中旬、森野姫子は高校生になっていた。

大好きだったパパは彼女の目の前で死んでしまい、その時から彼女は本が読めなくなっていた。

九年前のパパの事故死が彼女のトラウマとなり、書物恐怖症となっていたのだ。

姫子は、小説家どころか白い原稿用紙、学校の教科書を見ても吐き気がするのだ。

彼女に残ったのは、人一倍強い想像力が見せる幻影や幻聴だけだった。

そんな彼女につきまとう“ダメスケ”こと小岩井は、毎日のように小説を書くよう勧めてくる。

ダメスケがそこまで彼女を気にかけるのは、姫子のパパが死んだあの日、姫子を守るようパパと約束していたからなのだ。

姫子が自宅のアパートに帰るとママがクリスマスツリーの飾り付けをしていた。

彼女は、それを見てパパを思い出してしまい、ママと口喧嘩をする。

口喧嘩の末、パパを思い出す物を全て捨てると言い出した姫子は押入にしまっておいたブースケとクリスマスツリーを公園のごみ箱に捨ててしまった。

その直後、彼女はいつもの幻を見る。

その幻は、大好きだったぬいぐるみのブースケを思い出させるものだった。

姫子はすぐに公園に戻るが、ゴミ箱にはもうブースケの姿はなかった……。

だが、悲しみにくれる彼女の背後には、世界中の人間を不幸に陥れる悪の組織が動いていた!

【関連リンク】

本『縫製人間ヌイグルマー』

本『ステーシー』

本『大槻ケンヂ短篇集 ゴスロリ幻想劇場』


人気ブログランキングへ ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
blogram投票ボタン ブログランキング

拍手[3回]

PR


つづきはこちら

本『ロッキン・ホース・バレリーナ』 大槻ケンヂ

『ロッキン・ホース・バレリーナ』 大槻ケンヂ 角川文庫

18歳で夏でバカ!

忘れることなど一生できない最高の旅。



耕助は十八歳で夏でバカで、プータローのバンドマンだった。

パートはギターで、レッドサンバーストのレスポール。

バンドはそこそこに人気が出ていた。

三茶のヘブンズドアぐらいのキャパなら満員にできたし、インディーでCDを二枚出していた。

マネージャーを名乗る大人も現れ、その夏、耕助たちは生れて初めての全国ツアーに出ることになった。

一台のワゴン車にメンバー三人とマネージャー、男ばかりがスシ詰めとなり、東京から博多まで向かうのだ。

抜けるような夏の空を見上げながら、耕助はこう想った。

「一体、何人の女のコとエッチができるのだろう」

その頃の彼の頭の中は、セックスのこと以外何も入っちゃいなかったのである。

耕助は仲間のザジ、バン、マネージャー得山と共にパンクバンド「野原」としてツアーを開始する。

行く先々で女のコとやるつもりでいたのに、謎のゴスロリ娘を拾ったことで旅は思わぬ方向へ。

ゴスロリ娘、七曲町子の正体は?

ツアーファイナルは成功するのか?

耕助と町子の恋の行方は?

爆笑と感動、大槻ケンヂの青春ロック長編小説。

忘れることなんてできない最高に熱かったあの季節。


拍手[0回]