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少しイカレてるくらいがちょうどいい
『儚い羊たちの祝宴』 米澤穂信 新潮文庫



夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。

夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。

翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。

優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。

甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。

米澤流暗黒ミステリの真骨頂。




夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。

身内の不幸が毎年続いて合宿へ行けない会員。

鍵のかかった館へ移り住んだ少女。

誰も来ない山荘の管理人となった女性。

お嬢様に尽くす使用人。

荒れ果てたサンルームで見つけた手記。

「バベルの会」にまつわる邪悪な五つの事件。

狂気と黒い笑いをはらんだ作品。

読む人の心に黒い影を落とすのに、どうしても引きつった笑みを浮かべてしまうおもしろさがある。

作風は違うけど、江戸川乱歩の怪奇短編小説を読んだ時の読後感に近いものを感じた。

心からおもしろいと思える素晴らしい作品だったのでオススメ。

北の館に住むことになった女性の話と「始めちょろちょろ中ぱっぱ」の話が好き。

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本『追想五断章』 米澤穂信 集英社文庫



大学を休学して古書店に勤める青年に死んだ父親が書いた五つのリドル・ストーリー(結末のない物語)を探してほしいと、ある女性から依頼を受ける。

調査を進めるうちに故人が20年以上前の未解決事件の容疑者だったことがわかる。

五つの物語に秘められた真実とは?

つい最近読んだ同作者の『儚い羊たちの祝宴』とはまた違う後味の悪い物語。

俗に言う『黒い米澤』作品の一つ。

作中作のリドルストーリーもなかなかおもしろかったし、この作品自体もリドルストーリーとなっている趣向がおもしろい。

おじさんやバイト先の女性が物語にそこまで関わらずに消えていってしまったのが少し残念。

こんなのあんまりだよぉ……と言いたくなるものの、展開や山場が薄い話なので退屈に感じる人もいると思う。

作者の他作品を読んで気に入った人が読めばいいと思う。

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『折れた竜骨』 米澤穂信 東京創元社



ロンドンから出帆し、波高き北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。

その領主を父に持つアミーナはある日、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。

ファルクはアミーナの父に、御身は恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われている、と告げた…。

自然の要塞であったはずの島で暗殺騎士の魔術に斃れた父、“走狗”候補の八人の容疑者、いずれ劣らぬ怪しげな傭兵たち、沈められた封印の鐘、鍵のかかった塔上の牢から忽然と消えた不死の青年。

そして、甦った「呪われたデーン人」の襲来はいつ?

魔術や呪いが跋扈する世界の中で、「推理」の力は果たして真相に辿り着くことができるのか?

現在最も注目を集める俊英が新境地に挑んだ、魔術と剣と謎解きの巨編登場。

第64回日本推理作家協会賞受賞

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『いまさら翼といわれても』 米澤穂信 角川文庫



「ちーちゃんの行きそうなところ、知らない?」

夏休み初日、折木奉太郎にかかってきた“古典部”部員・伊原摩耶花からの電話。

合唱祭の本番を前に、ソロパートを任されている千反田えるが姿を消したと言う。

千反田はいま、どんな思いでどこにいるのか。

会場に駆けつけた奉太郎は推理を開始する。

千反田の知られざる苦悩が垣間見える表題作ほか、謎解きを通し“古典部”メンバーの新たな一面に出会う全6編。

古典部シリーズ第6弾!



合唱祭の本番を前にソロパートを任された千反田えるが姿を消した。

折木は会場にかけつけて彼女がどこへ行ったのかを推理する。

折木が省エネ主義を掲げるきっかけ、千反田の苦悩、伊原の決意などメンバーの新たな一面に出会う6編。

同作者の日常ミステリの小市民シリーズよりも古典部シリーズの方が好き。

伊原の漫研の話は創作する人には刺さるんじゃないかな(ミステリとしてはちょっと弱いとも思ったけど)。

折木が省エネ主義を掲げるきっかけとなった事件もリアリティがあって痛い痛い。

それでも困っている人を助ける優しさは健在。

名家の生まれではないですが、田舎で生まれ育った私には千反田の苦悩がわかりすぎて辛かったです……。

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『夏期限定トロピカルパフェ事件』 米澤穂信 創元推理文庫



小市民たるもの、日々を平穏に過ごす生活態度を獲得せんと希求し、それを妨げる事々に対しては断固として回避の立場を取るべし。

賢しらに名探偵を気取るなどもってのほか。

諦念と儀礼的無関心を心の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を!

そんな高校二年生・小鳩君の、この夏の運命を左右するのは“小佐内スイーツセレクション・夏”!?

待望の小市民シリーズ第二弾。


互恵関係にある小鳩くんと小山内さんが平穏な日々を送ろうとするが、トラブルや推理が彼らを離さない。

同作者の古典部シリーズとはまた違った日常ミステリもので、今回は小山内さんが誘拐されるというスリリング展開も見られた。

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『クドリャフカの順番』 米澤穂信 角川文庫

さあ、カンヤ祭です。



待望の文化祭が始まった。

だが折木奉太郎が所属する古典部では大問題が発生していた。

伊原の発注ミスで文集「氷菓」を多く刷り過ぎてしまったのだ。

その数なんと――200部!!

一部200円として、どうにかして完売を目指すための策を考える古典部員達。

そんな中、学内では奇妙な連続盗難事件が起きていた。

盗まれた物は碁石、タロットカード、水鉄砲――。

この事件を解決して古典部の知名度を上げよう!

目指すは文集の完売だ!!

盛り上がる仲間たちに後押しされて、奉太郎は事件の謎に挑むはめに……。

大人気<古典部>シリーズ第3弾!

【関連リンク】

本『春期限定いちごタルト事件』

本『インシテミル』

本『ボトルネック』

本『氷菓』

本『愚者のエンドロール』

本『クドリャフカの順番』

本『遠まわりする雛』


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『愚者のエンドロール』 米澤穂信 角川文庫



何事にも積極的には関わろうとしない“省エネ”がモットーの折木奉太郎。

そんな彼が入部することになったのは神山高校の伝統ある文化系部活動で廃部寸前の古典部だった。

「わたし、気になります」

文化祭に出店するクラス制作の自主映画を観て千反田えるが呟いた。

その映画のラストでは、廃屋の鍵のかかった密室で少年が腕を切り落とされて死んでいた。

誰が彼を殺したのか。

その方法とは?

だが、全てが開かされぬまま映画は終わってしまう。

続きが気になる千反田は、古典部の仲間たちと共に結末探しに乗り出す。

“省エネ主義”の折木奉太郎が古典部の仲間に依頼され、日常に潜む不思議な謎を次々と解き明かしていく。

爽やかでちょっぴりほろ苦い青春ミステリ。

米澤穂信のデビュー作であり、古典部シリーズ第二弾!!

【関連リンク】

本『春期限定いちごタルト事件』

本『インシテミル』

本『ボトルネック』

本『氷菓』

本『愚者のエンドロール』

本『クドリャフカの順番』

本『遠まわりする雛』

本『ふたりの距離の概算』


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『氷菓』 米澤穂信 角川文庫

青春はやさしいだけじゃない。痛い、だけでもない。



何事にも積極的には関わろうとしない“省エネ”がモットーの折木奉太郎。

そんな彼の元に届いた手紙。

そこに書かれていたのは、神山高校OBで実姉でもある供恵のアドバイスという名の命令だった。

姉に頭が上がらず命令を無視できない折木は、仕方なく廃部寸前の古典部に入部する。

初めて古典部の部室を訪れた時、教室の鍵は閉まっていた。

折木は合鍵を使って戸を開けると、中には清楚でセーラー服の似合う美少女・千反田えるが立っていた。

いつの間にか密室になった教室。

毎週必ず借り出される本。

あるはずの文集をないと言い張る少年。

そして『氷菓』という題名の文集に秘められた33年前の真実――。

“省エネ主義”の折木奉太郎が古典部の仲間に依頼され、日常に潜む不思議な謎を次々と解き明かしていく。

省エネ少年、折木奉太郎。

「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に、だ」

古典部部長で好奇心旺盛美少女、千反田える。

「わたし、気になります」

折木の友人で巾着袋がトレードマーク、福部里志。

「データベースは結論を出せないんだ」

童顔小柄毒舌少女、伊原摩耶花。

「あれ、折木じゃない。久しぶりね、会いたくなかったわ」

爽やかでちょっぴりほろ苦い青春ミステリ。

米澤穂信のデビュー作であり、古典部シリーズ第一弾!!

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本『春期限定いちごタルト事件』

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本『氷菓』

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『インシテミル』 米澤穂信 文藝春秋

  

主人公・結城理久彦は車がほしかった。

そのためには金が必要だ。

そう考えた彼は、コンビニでアルバイト情報誌を立ち読みすることにした。

どれにしようか、考えていると、隣から声をかけられた。

びっくりして横を向くと、自分とは住む世界が違うような女が立っていた。

彼女の名前は、須和名祥子といった。

上品で清楚な見た目からお金に困っているようには思えなかったが、彼女もまたお金を必要としていた。

二人で情報誌を眺めていると、奇妙な求人広告を見つける。

作業内容:人文科学的実験の被験者

時給:十一万二千円

期間:7日間

何かの間違いだと思った。

同時に怪しいとも思った。

だが、これが本当ならいい車を買える。

結城も須和名もこのアルバイトに応募することにした。

履歴書を送って数日後、彼は暗鬼館という実験施設にやってきていた。

アルバイトとして合格したのだ。

彼の他に十一人の性別、年齢の異なる人たちがやってきていた。

その中には、須和名の姿もあった。

暗鬼館に入った十二人の被験者たちは、その日は各々個室で就寝することになった。

だがそれぞれの部屋には、人を殺すことのできる凶器があった。

さらに、どこか殺人を促すかのようなメッセージカードがあった。

翌朝、彼らは自己紹介と今後のこと、実験のことについて話し合った。

誰も凶器を使わず、一週間平穏に過ごせば大金が手に入る。

そう誓い合った。

だが翌日、被験者の一人が死体となって発見された。

それも自殺ではなく、何者かの手によって殺されていた。

こうして人文科学的実験は始まった。

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『春期限定いちごタルト事件』 米澤穂信 創元推理文庫

  

社会的階級など低くてもいい。

小市民たれ。

【プロローグ】

主人公のぼく、子鳩常悟朗(こばとじょうごろう)は、高校デビューを考えている。

中学まではおとなしく、高校に入ってからやんちゃになることを、高校デビューという。

多少意味合いは違うけれど、ぼくたちも高校デビューを狙っている。

【羊の着ぐるみ】

難関校と知られる船戸高校を受験したぼくは、合格発表を確認しにやってきた。

もちろん合格した。

それからいっしょにやってきたぼくのパートナーを捜す。

だが小さくて目立たないパートナーのため、なかなか見つからない。

そこでケータイを取り出し、メールアドレスを呼び出す。

登録名は「小佐内ゆき 携帯電話」

小さな体躯、細い手足、髪は尼そぎ、というこれといって特徴のない女の子。

ぼくと小佐内さんは、ある信条を胸に生きている。

クラーク博士が残した「紳士たれ」という言葉に似ている。

それより少し社会的階級は低い「小市民たれ」

その帰り道、小学校のぼくの友達、堂島健吾に声をかけられる。

彼は、小学生のときと違うぼくの様子に訝しがっていた。

そして高校生活は、穏やかに始まった。

だが小市民として生きようとしているぼくと小佐内さんのすぐ近くで事件が――。

女の子のポシェットがなくなり、それを探す手助けをしてほしいと堂島健吾からお願いされる。

【For your eyes only】

ある時、ぼくと小佐内さんは本屋にいた。

そこで偶然出会った友人、堂島健吾にぼくは再びお願いされる。

今度は事件ではなく、美術部の絵にまつわる謎解き。

さらにぼくは、小佐内さんからもお願いされる。

彼女がよく行くケーキ屋の「春期限定いちごタルト」の販売が今日までだというのだ。

一人一個というタルトを買い、ぼくらはコンビニに寄った。

そこで柄の悪そうなグループを見つけたが、少し気をつけようとしか思わなかった。

グループが店を出て、ぼくは彼女の買い物を待つ。

ぼくらも店を出ると、目の前を自転車がすごい勢いで走り去っていった。

その自転車は、カゴにいちごタルトを載せた、小佐内さんの自転車だった。

【おいしいココアの作り方】

日曜日、ぼくは街で小佐内さんを見かけた。

ぼくらは互恵関係にあるが、依存関係にはない。

そのため放課後二人で出掛けることはあっても、日曜日に約束して二人で出掛けることはない。

小市民として生きる彼女は変装をする。

いつも学校で見る彼女は地味な服装だけど、今日の彼女は一見すると分からない服装だ。

小佐内さんに声をかけて二人で歩いていると、堂島健吾から自宅に招待されるメールが入る。

二人で彼の家に行くと、おいしいココアの作り方を教えてもらう。

途中小佐内さんが席を立った時、健吾はぼくの雰囲気が違いすぎるといった。

中学時代、ぼくに何かあったのかと聞き出そうとする健吾。

小市民になろうとしているぼくにとって迷惑な話だった。

そして今日も今日とて、謎解きに巻き込まれてしまうのだ。

【はらふくるるわざ】

その日は中間考査で、昼頃学校は終わった。

家に戻って軽食を取り、仮眠しようと思っていたところに家の電話が鳴った。

小佐内さんからだった。

いつものようにケーキ屋へ行き、そこで話を聞く。

すると、小佐内さんのクラスで試験中にガラスの瓶が割れるという事故が起こったらしい。

ぼくは深く考えずに聞いていたが、学校に携帯電話を忘れたことを指摘され、取りに戻る。

そしてついでに小佐内さんのクラスに入る。

決して、推理するためではない。

なぜならぼくは小市民だから。

【孤狼の心】

小佐内さんの自転車が見つかった。

道路の途中に放置されていたらしい。

放課後、ぼくと小佐内さんはその自転車を回収しに、その場所まで向かう。

自転車を見つけたぼくらは、犯人が何故こんなところで乗り捨てたのか考える。

国道を外れた道路で、右へ行けば山越えの道、左に広がるのは田園地帯だ。

そしてぼくと小佐内さんは、真実をつきとめる。

小市民なら、本当の小市民ならそこで終わりだった。

しかし、ぼくも小佐内さんもまだ小市民になりきれていない。

彼女の晴れ晴れとした笑顔を見て、ぼくはぞっとした。

小佐内さんは今でこそ甘いものを食べるときしか喜びを感じない。

だが中学時代は……。

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もしも自分が「生まれなかった」世界があるとしたら……。

もしも自分が「生まれなかった」ら世界は変化するのか……。

『ボトルネック』 米澤穂信 新潮社



兄が死んだと聞いたとき、ぼく(嵯峨野リョウ)は恋したひとを弔っていた。

ぼくが恋したひと、諏訪ノゾミは二年前に死んだ。

無邪気な従妹と訪れた東尋坊で、彼女は不運な事故に遭ったのだ。

とても寒い冬の季節、この地方では強風が吹き荒れる。

その強風が彼女の体をさらい、崖から落としてしまったらしい。

ノゾミのことを少しでも知る者は自殺したのだと噂していたが、自殺なんてありえない。

兄が死んだことを聞かされたのは、苛立った声で話す声の母親からだった。

今日、「昔の友達」と会うはずだった母はいつも以上に機嫌が悪そうだ。

急がなくてはならない。

母はぼくが出かけていることは知っているが、北陸本線とバスを乗り継いで東尋坊に来ていることは知らないからだ。

ぼくは持ってきた花束を崖下に落とすと、来た道を戻ろうとする。

すると、風に乗って、不意にどこからか、かすれ声が聞こえた。

(おいで、嵯峨野くん)

その瞬間、ぼくは崖に落ちた……はずだった。

ぼくが意識を取り戻すと、見慣れた金沢の街にいる。

体はどこも傷ついていないし、東尋坊に向かうために購入した電車の往復切符まで持っていた。

携帯電話で時刻を確認してみると、ぼくが東尋坊に向かったまさにその日だった。

そして電波状況は悪くないのになぜか圏外になっている。

何かがおかしい。

そう思いながらも兄の葬儀に参列するために自宅に戻ろうと歩き始める。

自宅に戻って家の鍵を開けようとするが、鍵が錠前に入らない。

何度試しても開く気配がないので、ドアをノックしてみた。

すると誰もいないはずの自宅から見知らぬ女性が出てくる。

さらに不思議なことにその女性は、自分こそがこの家に住む「嵯峨野」の人間だと主張する。

やはり何かがおかしくなっている。

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