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少しイカレてるくらいがちょうどいい
梨木香歩
『家守綺譚』 梨木香歩 新潮社



私は卒業後、売れもしない文章を書いて相変わらず学生の時に下宿に居座り続けていた。

他に行くあてもなかったし、引越しの算段もつかなかったからである。

ある時、亡くなった友人の父親から家の守をしてくれないかと頼まれる。

友人の名は高堂といい、湖でボートを漕いでいる最中に行方不明になった。

その家に住んで毎日窓の開け閉めなりしてくれたなら月々のものをくれるという。

ときたま雑誌に掲載されるくらいの稼ぎでは食べていけない。

渡りに船ということで、私はその次の春から越してきた。

そんなある日、床の間の掛け軸から何か聞こえてくる。

物音というよりも人の言葉のような……イレテクレヨウ……。

床の間を見ると、掛け軸の中のサギが慌てて脇へ逃げ出し、その向こうからボートが一艘近づいてくる。

漕ぎ手はまだ若い……高堂であった。

――どうした高堂。

私は思わず声をかけた。

――逝ってしまったのではなかろうか。

――なに、雨に紛れて漕いできたのだ。

高堂は、こともなげに云う。

庭・池・電燈付二階屋。

汽車駅・銭湯近接。

四季折々、草・花・鳥・獣・仔竜・小鬼・河童・人魚・竹精・桜鬼・聖母・亡友等々々出没数多……。

本書は、百年まえ、天地自然の「気」たちと、文明の進歩とやらに今ひとつ棹さしかねてる新米精神労働者の「私」=綿貫征四郎と、庭つき電燈つき二階屋との、のびやかな交換の記録である。

関連作品

本『家守綺譚』 

本『西の魔女が死んだ』

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