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昔話『About A ××××』8

前回のあらすじ

生まれた街に転校してきた私。

いじめられない学校は私にとって大切な居場所でした。



転入してしばらく経ちました。

少しずつクラスの雰囲気に慣れていき、仲の良い友人もつくることができました。

私のクラスの担任教師はとても若い女性教師でした。

聞いた話によると今年採用されたばかりの新採用の教師でした。

本来、小学校低学年の担任教師を新採用の教師には任せません。

担任教師をやるとしても高学年の教師をやることがほとんどです。

新採用の教師というのは会社でいえば新入社員のことです。

新入社員にいきなり責任のかかる大きな仕事を任せませんよね?

それと同じことです。

しかしこの学校では、それが当然であるかのように若い女が担任教師をやっていました。

その女性が優秀でなくても有能ならよかったのでしょうね。

けれど彼女は優秀でも有能でもありませんでした。

女「君にはお兄さんがいるんだって?」

私「いますけど……」

私は二年生クラス、兄は六年生クラスにいました。

しかしそれが何だというのでしょう。

女「勉強も運動もできるそうね」

私「そうみたいですね……」

女「君もお兄さんのようにがんばらないとね」

私「…………」

私はその言葉を聞いて不安と不信を覚えました。

その頃の私は今ほど勘が鋭くありませんでした。

しかしそれでも分かってしまいました。

この女教師は――全てを比較したがる人間だということに。

女「お兄さんはできるのにねー」

私「……」

女「全然似てないんだねー」

私「…………」

この女教師に限らず、教師という奴らはどうしてこうも比較したがるのでしょう。

担任教師だけでなく何人もの教師から毎日のように比較され続けました。

優秀な兄と出来損ないの私、という方程式のようなものが教師たちの間では作られていたのかもしれません。

比較されるたびに私の心は傷ついていきます。

自分で言うのもアレですが、私は兄より劣っているとは思いませんでした。

勉強もそれなりにできる方でしたし、運動もそれなりにできました。

しかし、どんなにテストでいい点数を取っても体育でいい結果を出しても教師たちが私をほめることはありませんでした。

別にほめてくれなくてもいいです。

正当な評価をしてくれさえすればそれでよかったのです。

とてつもなく弱い私ですが、この程度のことで不登校になることはありませんでした。

この程度のことなら我慢できますし、仲の良い友達と一緒に遊んでいれば気になりませんでした。

あの時までは……。

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