忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



昔話『About A ××××』7

前回のあらすじ

お子さんがいらっしゃるご家庭の皆さまへ。

他人の悪口や日頃の不満をお子さんに話さないでください。

親が人間の汚さを子に教える必要はありません。

いずれ嫌でも知ることになりますから。



祖父は私の心を傷つけました。

私は感情を殺して生きることを覚えました。

父は私の心を傷つけました。

私は自分の意志を尊重しないことを覚えました。

兄は私の心を傷つけました。

私は命令に黙って従うことを覚えました。

母は私の心を傷つけました。

私は常に他人の目を気にして生きることを覚えました。

そして私は「家族」が苦手になりました。

家族は誰も悪くありません。

悪いのは弱い心を持ってしまった私です。

私(弱いからいけない……)

私(強くならないといけない……)

私(弱いと壊されちゃう……)

私(強くなれば壊されない……)

私が勝手に作った「家族」との壁は高くなる一方です。

それから私は小学校に入学し、弱い心をひきずったまま生活していきます。

弱い私は学校でもいじめられ、いつもトイレで泣いていました。

そうして馬鹿の一つ覚えのように考えるのです。

私(弱いからいけない……)

私(強くならないといけない……)

私(弱いと壊されちゃう……)

私(強くなれば壊されない……)

考えるだけなら馬鹿でもできます。

しかし、強くなるには行動しなければ意味がありません。

私は考えるだけで具体的なことは何もしませんでした。

毎日のように傷つけられ、一人で隠れて泣いて、泣きやんだと思ったら怒り、強くなりたいと考える。

ただそれだけの繰り返しです。

馬鹿ですね、まったく。

入学から一年が経ち、春休みに入る前に父親から言われました。

父「お父さんとお母さん、転勤することになった。
  それでお母さんの実家がある街に住むことにした。早いうちに荷物をまとめておけよ」

私「おばあちゃんは?」

父「おばあちゃんはここに残る」

私「そう……」

できれば私も祖母といっしょに残りたかったです。

家族は苦手でしたが、祖母のことは好きでした。

顔には出しませんが、私は嫌な気分になりました。

住み慣れた土地で友達と離れるのが辛いわけではありません。

また一から友達を作らないといけないのが面倒だったからです。

少ない私物をダンボール箱に入れて、引っ越し準備を済ませました。

少ない友達に別れを告げて家族と共に新しい街に向かいます。

母の実家があるその街は、私が生まれた街でもありました。

母は兄や私を出産する際、実家にお世話になっていました。

私は生まれてすぐに父親の実家に移ったから全く覚えていませんけどね。

私達家族は、街で二番目に大きなマンションに住み始めます。

春休み中は母親の実家への挨拶、部屋の掃除、街を探検して過ごしました。

春休みが終わると兄が六年生クラス、私は二年生クラスに転入することになります。

私は担任の女性教師に連れられて教室に向かいます。

女「今日からよろしくね」

若い女性教師は優しい笑顔を見せます。

私「よろしくお願いします」

感情表現が苦手だった私は、棒読みに近い言葉を返します。

新しいクラスにやってくると、簡単に自己紹介を済ませて席に着きます。

最初はとても不安でした。

しかし、遠い土地からやってきた転校生にクラスメイトは興味津々でした。

私は初日から仲の良い友達ができて、家にはない自分の居場所というものを作ることができました。

家にいるよりもずっと楽しい時間を過ごすことができました。

私(転校してよかったかもしれない)

転入したばかりの頃の私はそう思いました。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

人気ブログランキングへ ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
blogram投票ボタン ブログランキング

拍手[0回]

PR

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿


この記事に対するトラックバック

トラックバックURL