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少しイカレてるくらいがちょうどいい
前回のあらすじ

精神的に弱いのは昔からです。


年齢の離れた兄も何度も叱られて慣れていたみたいですが、私は全く慣れませんでした。

それから私は、怒られることに慣れるのではなくて自分の感情を押し殺して生きることにしました。

喜び、怒り、哀しみ、楽しみ。

全てを押し殺して生きていけば怒られずに済むと思ったのです。

こちらは怒られることとは違ってすぐに慣れました。

ただ黙って自己主張をしなければいいのですから。

その頃の私は人間ではなく人形のようでした。

「家のお手伝いをして」

私「うん」

「何か欲しいものある?」

私「ない」

「どこか遊びに行こうか?」

私「いい」

感情表現の乏しい私を見た兄は、もっとハキハキしゃべれと怒りました。

それでも私は感情を押し殺して生きることにしました。

暗くて不気味な物置に閉じ込められるのが嫌だったからです。

しかし、私の努力は全て無駄でした。

祖父は大酒飲みで、そのうえ酒乱でした。

大酒飲みの多くは肝臓を悪くすると言いますが、祖父も例外に漏れず肝臓を壊していました。

そして祖父はクズを絵に描いたような人間で、医者の注意を無視して酒を飲みまくっていました。

医者の言葉も家族が止めるのも聞かず、毎日昼夜を問わず飲んでいました。

そうして私は、いつまでも祖父の理不尽な怒りから逃れられなかったのです。

いつものように唇を噛みしめながら物置で泣いていた私です。

感情を押し殺して生きるんだ、と調子に乗っていた私は、自分の無力さを痛感しました。

その時、悲しみとは別の感情が生まれました。

怒りです。

理由もなく叱る祖父に対しての怒りと何もできない無力な自分に対しての怒りです。

「怒られるのは自分が弱いから」

「弱いからいけないんだ」

「弱い奴は強い奴に負けるんだ」

「強くなりたい!」

「いつか強くなって祖父をぶん殴ってやる」

心の底からそう思いました。

けれど、私が祖父を殴ることはありませんでした。

なぜでしょう。

それは――祖父が死んだからです。

毎日のように酒を飲み、毎日のように煙草を吸い、毎日のように家族に対して怒りをぶつけていた祖父。

彼は病院のベッドの上で死んだそうです。

正直言ってよく覚えていないのです。

病院にお見舞いに行ったこともあるそうですが、私は覚えていません。

ベッド脇に座った私の頭を撫でてくれたそうですが、私は覚えていません。

お菓子を私に差し出したそうですが、私は覚えていません。

けれど、これだけは覚えています。









「お前には俺の血が流れているんだ」










私の本当の父親は祖父でしたー、という笑えない冗談ではないですよ?

血のつながりは濃い、ということを言いたかったのでしょう。

そして私は知りました。

血のつながりの濃さを嫌というほどに。

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