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本『フィッシュストーリー』 伊坂幸太郎

『フィッシュストーリー』 伊坂幸太郎 新潮文庫

  

【動物園のエンジン】

電車に乗っているとき、十年前の出来事を思い出した。

「エンジン」という単語を聞いたせいだ。

あの日、私と河原崎さんは夜の動物園に来ていた。

動物園勤務の恩田に誘われてきた二人は、シンリンオオカミの柵の前でベンチに寝そべる男を見つける。

不審な男だと思ったが、恩田が元動物園職員の永沢さんだと教えてくれた。

やめさせられて精神がおかしくなってしまった彼は、今でもこうして動物園にやってきているらしい。

シンリンオオカミがまた逃げ出してしまうのを見守っているようだった。

また、恩田は永沢さんのことを「動物園のエンジン」と評した。

永沢さんが動物園にいるだけで動物たちの雰囲気が違ってくるというのだ。

【サクリファイス】

黒澤――本業は空き巣で、副業は探偵だ。

その黒澤が探偵業として訪れようとしていたのは小暮村。

だが途中で道を間違えてしまい、山道に入り込んでしまった。

おまけに車を動かすこともできなくなり、黒澤は歩いて来た道を戻って行く。

その道中で出会った白髪頭の男、柿本。

なんと彼は黒澤がこれから向かおうとしていた小暮村の住人だった。

黒澤は山田という男を捜していた。

一週間前に失踪し、黒澤は柄の悪い男達に奴の捜索を依頼されたのだ。

小暮村に着くと、黒澤は村独特の風習の存在を知らされる。

「こもり様」

くじで選ばれた人間が生贄となり、一定期間洞窟の中にこもって生活する風習だという。

【フィッシュストーリー】

最後のレコーディングに臨んだ売れないロックバンド。

最後にレコーディングされたその曲は「フィッシュストーリー」という曲名で世に出された。

「いい曲なんだよ。届けよ、誰かに」

テープに記録されたその言葉は、未来に届いて世界を救う。

たとえそれが小さな世界だとしても――確かに届いた。

【ポテチ】

大西は恋人の今村が働いている姿を見るためにマンションの一室へやってきた。

しかしその今村は漫画本を読んでいる。

テレビではプロ野球のナイター中継が流れている。

スタジアムのベンチの奥に野球選手の尾崎の姿が見えないだろうか、と目を凝らすが、カメラには映っていなかった。

この部屋の家主の尾崎は今日も出番がないらしい。

今村と大西が今くつろいでいるこの部屋は尾崎のものだ。

そして今村は空き巣という仕事のためにここに来ている。

しかし今村はいっこうに働こうとする素振りを見せず、漫画を読み続けている。

そんな彼を見て大西が呆れていると、電話機が鳴り、女の声で助けを求めてきた。

【関連リンク】

本『オーデュボンの祈り』

本『チルドレン』

本『魔王』

本『フィッシュストーリー』

本『重力ピエロ』

本『グラスホッパー』

本『陽気なギャングが地球を回す』

本『陽気なギャングの日常と襲撃』


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【動物園のエンジン】は微妙でした。

中盤からラストまで曖昧すぎてよく分かりませんでした。

読者のご想像にお任せします、といった感じです。

同じく【サクリファイス】もあんまり好きになれませんでした。

失踪した男、こもり様……。

これだけでなんとなく物語の流れが分かりますし、読者の想像通りに話は進みます。

そして予想通りのオチになりますが、核心部分は読者のご想像に……という感じでした。

【フィッシュストーリー】と【ポテチ】はおもしろかったです。

伊坂幸太郎らしい作品だと思います。


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