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本『ホルモー六景』

 万城目学 角川書店

鴨川ホルモーのスピンオフ作品。

あの人たちはどうなったの?



ホルモーとは——。

陰陽道に基づいて鬼を式神として使い、十名で構成された大学のグループ同士が対戦する競技。

言い換えると、千匹と千匹のオニを引き連れて、京都市内で行う戦争ごっこである。

それを行うためには、オニと契約を結ばなければならない。

その契約を結んだものたちだけが「ホルモー」を始めることができる。

契約を結ぶのは、京都大学青竜会、立命館大学白虎隊、京都産業大学玄武組、龍谷大学フェニックスの各サークルメンバー十人(一人百匹ののオニを使役する)

比較的平和な競技であるが、自分のオニ達が全滅すると使役していた者は「ホルモー」と叫ばなければならなくなる。

というよりも、叫ばずにはいられないのだ。

その後、自分の大事なものやくだらないものを失ってしまうと経験者は言う。

ちなみにオニは契約した者にしか見えない。


オニには、攻撃部隊と補給部隊という役割分担がある。

攻撃部隊のオニは槍を持って攻撃する。

補給部隊のオニは使役者からレーズンをもらって倒されたオニに与えて復活させる。


【プロローグ】

京都大学の学食で小さな口喧嘩をする安倍と高村。

彼らは京大青龍会というサークルに所属し、ホルモーを始めて三年目。

今年も何も知らずに入学してきた新入生達をたぶらかし「ホルモー」の犠牲者にするのだ。


第一景【鴨川(小)ホルモー】

京都産業大学玄武組には、二人静がいる。

二人静こと定子と彰子は、京都の北山にあるレディース・マンションに住んでいる。

仲の良い二人で、行動するときは常に一緒だった。

それはもちろん、ホルモーの時も同じことである。

ホルモーにおいて、女性は補給部隊になることが多い。

だが、彼女らは二人静という通り名を持ちながら、前線で果敢にオニを戦わせる。

その戦い方を見た者は、オニたちが回り続けると言う。

つまり、オニたちが回りながら攻めてくるのだ。

一見無鉄砲な戦い方「夢想花アタッキング」だが、これがとても強い。

この戦い方に弱点はないが、オニを使役する二人静自身に弱点があったのだ。

「夢想花アタッキング」は、二人の関係のバランスが取れて成せる戦い方。

しかし、二人のバランスが崩れたとき、「夢想花アタッキング」は全く使えないのだ。

そして恐れていたことが実際に起こってしまう。

二人はその関係を修復するため、個人的にオニをつかって鴨川でホルモーを行うことに——。


第二景【ローマ風の休日】

ある日、僕がバイトしているイタリア料理店「ann's cafe」に女性のアルバイトがやってきた。

その人はぎこちない動きをして、くぐもった声で挨拶をした。

彼女は僕が名前を教えても僕のことを「少年」と呼んだ。

その人が店にやってきて、一ヶ月後の八月の半ばの日曜日、僕は生まれて初めてデートをした。

その人の名前は、楠木ふみという。

彼女はバイト中、いつも口数が少なかった。

そのせいでバイト仲間からはあまり良く思われていなかった。

そんなある日、店長不在で団体客の予約が多いときに店を切り盛りしなければならなくなった。

慌てるバイトメンバーだが、楠木ふみが店長代理を務めると言い出した。

入ったばかりの彼女だが、彼女は店長並に、いや、店長以上に店長役をやってのけた。


第三景【もっちゃん】

安倍は入学から仲の良かった「もっちゃん」という男から恋愛の打ち明け話を聞く。

なかなか思いを伝えられないもっちゃんに安倍はラブレターを書くことを勧める。

彼の要望で安倍もラブレターを書く羽目になるが、ふざけた絵ばかりを描いて封をした。

翌朝、思い人が現れる時間間近に起床したもっちゃんは、慌てるあまり、安倍が書いた手紙をもっていってしまい、ふられた。

その後、もっちゃんは小説家になった。

ある日、安倍にもっちゃんからの手紙が届き、そこにはもっちゃん愛用の懐中時計が同封されていた。

注:ここでの安倍は、主人公の安倍とは別の人物です。


第四景【同志社大学黄竜陣】

尊敬する桂先生がいる同志社大学を受験した巴は、運が悪く落ちてしまう。

一緒に京都に受験のために来ていた彼氏は、念願の京都大学に受かった。

春から巴は予備校に通い始め、夏休みの始まる前に彼氏の芦屋とは別れた。

彼氏に腹を立てながら勉強した巴は急速に成績が上がり、二度目の挑戦で同志社大学に入ることが出来た。

同志社大学は一、二回生は京田辺キャンパス、三回生からは今出川キャンパスとなる。

桂先生は残念ながら京田辺キャンパスで授業をしていない。

さらに桂先生は、今年で退官してしまうという衝撃的な情報を知らされる。

悔やんでも悔やみきれない巴は、桂先生の授業を受けようと今出川キャンパスに行く。

そこで偶然憧れの桂先生に会うことはできたものの、誰かと勘違いされて頼み事を頼まれる。

書庫に向かい頼まれた袋に入った書類を持ってきて、袋を書庫に戻すために再び戻ってくると古い木箱を見つける。

箱を開けると中には四枚の手紙があった。

その一枚目には『horumo』の文字が——。

彼女はその手紙を自力で解読しようと試みる。


第五景【丸ノ内サミット】

所変わって舞台は東京。

青山で会社勤めをしている井伊直子は、GW直前に同僚から誘われて合コンに行くことになった。

同じ頃、赤坂で会社勤めをしている榊原康もGW直前に同僚から誘われて合コンに行くことになった。

場所は丸ノ内。

約束の店に四人が集まり、挨拶から始めようというときだった。

直子は康を見て驚き、同様に康は直子を見て驚いた。

それもそのはず康は、京都産業大学玄武組第四百九十八代会長。

直子は、龍谷大学朱雀団第四百九十八代会長なのだから。

ぎこちない雰囲気を漂わせながらも徐々に楽しい雰囲気になっていく合コン。

大学時代は、話もしなかった二人だが徐々に互いの魅力に惹かれ始める。

合コンも終わりテラスで休んでいると、康と直子は空に飛ぶ黒い物体を目にする。

それは二人が京都で散々使役してきたオニたちだった。


第六景【長持の恋】

立命館白虎隊、細川珠実の時代を超えた切ない恋物語。

貧乏生活を送っていた珠実は、アルバイト雑誌で見かけた料亭「狐のは」でバイトを始める。

そして二月、「狐のは」の蔵へ行く用事ができた珠実は織田信長が使っていたという長持を見つける。

そこには「なべ丸」という名前の書かれた板切れが入っていた。

これを見た珠実は、突然何を思ったか自分の名前を書き込んでしまう。

慌てて消そうとするが消えない。

だが、翌日その長持を見てみると「なべ丸」という人物の書いた文章が表れた。

その日から「なべ丸」と「おたま」の文通が始まった。

【関連リンク】

『鹿男あをによし』

『ホルモー六景』

『鴨川ホルモー』

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拍手[3回]

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この記事に対するコメント

無題

実は、その4校の中に、アイザの通っている学校があります…(´艸`)
親近感が湧いて、ホルモーを読んでみたくなりました。
戦ってみたいなぁ、オニで。

【2008/09/27 07:07】久我瀬アイザ #9b11994915(URL)[編集]

無題

そうなんですか。親近感沸きますよね、自分が住んでいるところや住んでいたところが小説の舞台だと(´∀`)
ちなみにオニの色は、それぞれ大学ごとに違っていて青、白、黒、赤の四種類です。それからオニを助けるための補給部隊もいて倒されたオニにレーズンを与えると復活します。

【2008/09/27 23:59】three #92ce3a43a4(URL)[編集]

無題

ホルモーも鹿男も読みました1
面白かったですよねvv


ホルモー六景も読みたいのですが・・・。

図書館に無い。orz

【2008/10/02 20:12】ちっこいの #54988cf4d8()[編集]

無題

おもしろいですよね(´∀`*)ネー
それは残念ですね。本屋で探すか、学校の図書室か市立図書館でリクエストして買ってもらうのも手ですよ(・∀・)

【2008/10/03 17:49】three #92ce3a43a4(URL)[編集]

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