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本『ロリヰタ。』

『ロリヰタ。』 嶽本野ばら 新潮社



『ロリヰタ。』

今日も神経科の不毛なカウンセリングを受けて、睡眠薬をもらう。

ファッションにおけるロリータが好きな僕は、無知な医師のカウンセリングでロリコンだと勘違いされる。

僕はロリータ・ファッションは好きだが、幼女や小学生、中学生に性的興味を感じることはなかった。

ある日、インタビューを終えてスタジオを出ると、隣のスタジオで女の子の叫び声が聞こえた。

開けっぱなしのスタジオを覗くと、知り合いの編集者とカメラマンがいたので挨拶しようと中に入った。

すると、そこには僕より少し背が高い十八歳から二十歳くらいのモデルの女の子がロリータを着て、俯いていた。

彼女が言うには、スタイリストのコーディネイトが気に入らないと言うのだ。

スタイリストは怒っているが、ロリータに詳しい僕はモデルの子の意見が正しいと思った。

僕は、彼女に本当のロリータ・ファッションをコーディネイトしてあげた。

撮影は無事成功し、モデルの女の子は僕に感謝し、メールアドレスの交換をした。

何度かメール交換をして、僕は彼女と再び逢うことになった。

ホテルで彼女とババ抜きをするために——。

初めてホテルでババ抜きをして以来、僕と彼女は何度もホテルでババ抜きをした。

そんな楽しい時間を過ごす二人だが、ある雑誌に作家をしている僕がスキャンダル記事が載せられた。

その記事で初めて僕は、彼女の本当の年齢を知ることになる。


『ハネ』

私の背中には羽がある。

この羽は私だけの為に作られた特別の羽で、貴方が私にくれた一番大事な宝物。

家族や他人からキチガイ扱いされても、私はその羽をつけて外出する。

毎週日曜日、明治通りの交差点から青山通りの交差点までの表参道。

私は日曜日になると他の露天商さんたちと同じように羽を売る。

貴方からもらった羽よりも小振りだけれど、自分で作った羽。

「ハネ 全部千円 背中に付けられます」と書かれた画用紙と一緒にハネを広げてお客さんに見てもらう。

私が表参道の歩道でハネを売るのには理由があった。

私の前からいなくなった貴方との約束。

貴方と二人でこの場所に露天を開いて売ろうと約束したから。

あれから一年が経ち、私は今日もハネを売る——。

<関連リンク>

本『ハピネス』

本『変身』

本『ロリヰタ。』

本『下妻物語』

本『下妻物語・完 ヤンキーちゃんとロリータちゃんと殺人事件』

本『ミシン2/カサコ』

本『ツインズ 続・世界の終わりという名の雑貨店』
(『ミシン』収録作品【世界の終わりという名の雑貨店】 続編)

本『タイマ』

本『エミリー』

本『鱗姫』

本『カルプス・アルピス』

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