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昔話『ドウゲン坂から』3

前回のあらすじ

お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!



今日は期末テストが終わって友くんときーちゃんといっしょに遊びに行くはずでした。

しかし今、私の隣にはきーちゃんの妹さんがいます。

誰が、どうして、この状況を望んだのでしょう。

私「妹さんは今来たばかり?」

妹「はい。さっきの電車で来ました」

この状況は私が望んだものではありません。

これはきーちゃんが作り出したものだと思います。

私(きーちゃんは何を考えてこの状況を作ったんだろうなー)

私は歩きながらそのことばかりを考えます。

でもきっとファストフード店で言われた言葉が関係しているのでしょう。

愛の大切さを教えてあげる……でしたね。

チラリと隣を歩く妹さんを見ます。

きーちゃんが愛の大切さを教えてくれるのだとばかり思っていましたが、この状況だと妹さんが教えてくれるのでしょうか。

でも「愛の大切さ」ではなくて「セーラー服の価値」を教えられている気がしてなりません。

私は『妹萌え』でもなければ『制服萌え』でもないのですけどね。

大きなデパートの近くまでやってきたところで妹さんが動きを止めました。

妹「おにいちゃん。どこ行きたいですか?」

私「うーん。どこがいいかな」

妹「おにいちゃんが行きたいところに行きますよ♪」

私「あの、妹さん。私は本当に妹萌えじゃないからね?」

つい最近まで『姉萌え』ではあったのかもしれませんけどね。

妹「でもお姉ちゃんは……」

私「きーちゃんは嘘をついたんだよ」

妹「そうなんですか?」

私「そうだよ」

それより妹さんは人を疑うことを覚えたほうがいいと思います。

そして私は人を信じることを覚えたほうがいいと思います。

妹「でもおにいちゃんは好きに呼んでいいって言いました」

私「うん……まあね」

妹「だからおにいちゃんて呼びます☆」

私「まあ妹さんがそうしたいなら……」

それからまた歩き出しましたが、妹さんは動こうとしません。

振り返ると、妹さんは不機嫌そうな表情で私を見ています。

私「どうかした?」

妹「あの、呼び方を変えてくれませんか?」

私「え?」

妹「妹さんじゃなくて……何か別の……あだ名みたいな」

私「あ、ごめんね」

確かに「妹さん」だときーちゃんありきみたいな呼び方ですよね。

私もその場に立ち止まって彼女のあだ名を考えることにしました。

きーちゃんの妹さんだからくーちゃん?

安直ですし、これもきーちゃんありきみたいに聞こえるからダメですね。

妹さんだからいーちゃん?

これだと死んだ魚のような目つきで「戯言だけどね」と言い出しそうですね。

彼女が「いーちゃん」だとしたら私は「友」ですか。

そうしたら私は一人称を「僕様ちゃん」に変えなければいけませんし、いつもの口癖も「うにー」として、髪色も青に変える必要がありますね。

戯れのような思いつきはどこかに置いて、まともではない頭で考えたあだ名を口にしてみました。

私「偽妹ちゃん、ていうのは?」

偽妹ちゃん。

偽乳と書いて胸パッドと読むように、偽妹ちゃんと書いて偽妹ちゃんと読むこともできると思うのです。

読み方はみなさんにお任せします。

「セーラー服女子高生」と読んでも「ポニーテール萌え」と読んでもかまいません。

妹「いいですね。それにしましょう♪」

それから私達は再び歩き始めました。

けれどすぐに足を止めることになりました。

先に止まったのは偽妹ちゃんです。

私は少し遅れて立ち止まります。

私「どうかしたの?」

偽妹ちゃんは目を大きく見開いて、驚いた表情をつくっていました。

私はその視線の先を追って前方を見ます。

するとそこには――学生服姿の男の子が立っていました。

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