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昔話『ドウゲン坂から』7

前回のあらすじ

危うい純粋




頂上に何があるのかもわからないまま私と偽妹ちゃんは坂を上ります。

それほど急傾斜ではないので楽しくお話をしながら足を動かし続けます。

妹「夏休みが終わったら学校で遠足行事があるんです」

私「へぇ。高校でも遠足なんてあるんだね」

妹「おにいちゃんの学校ではなかったですか?」

私「……そういえば何度かあった」

妹「やっぱりどこの学校もあるんですね」

私「じゃあこれは予行練習だね」

妹「そうですね」

彼女はにこーっと微笑をうかべます。

私も愛想笑いを返します。

しかし、きーちゃんと偽妹ちゃんは本当によく似ている姉妹ですね。

もちろん双子ではないので、見分けがつかないほどではありませんけどね。

耳があるところや鼻があるところ、なんといっても目があるところなんて本当にそっくりです。

まあ、嘘ですけどね。

しかし二人とも可愛いというのは事実です。

そこらへんの変質者がハァハァ言いながら手を出しかねないほど可愛いです。

この表現は女性に対しての褒め言葉ではないので決してお使いにならないでください。

さて忠告はほどほどにしておいて私達は少しずつ坂を進んできました。

コンビニや喫茶店、服屋にラーメン屋と、様々な店を通り過ぎていきます。

このまま順調に進んでいけば十分もしないうちに坂のてっぺんに着けるかなと思っていました。

しかし、そこにあの方が現れました。

えーっと、あの方ですよあの方。

そうです、あの方なんです。

私が生まれた街に掃いて捨てたいほどいっぱいいたあの方です。















「そこのカップルさん。ごめんな。ちょっと止まってもらえるか?」















私たちの前方に目つきの悪いおっさんが現れました。

はい、あの方です。

ヤのつく職業で有名なあの方です。

ローマ字表記で書くと、YAZAWAと間違えてしまいそうなあの方です。

私(カップルさん……?)

聞き慣れないその単語に顔をしかめましたが、見慣れたこ顔つきのあの方が道をとおせんぼしている事実を素直に受け止めました。

私はすぐに立ち止まりましたが、偽妹ちゃんは話すことに夢中で歩みを止めません。

このまま行ったら彼女はあの方とぶつかってしまいます。

これはいけませんよ。

女子高生が人とぶつかるときは必ず、朝で食パンをくわえて遅刻ギリギリで曲がり角付近を走っている状況でなければいけません。

それに相手は転校初日の口の悪い男子高校生でなければいけません。

それがラブコメでよく見られるベタな展開というものです。

しかし今の状況に置き換えてみたら全くといっていいほどラブコメ展開になる要素を満たしていません。

それでは偽妹ちゃんのぶつかり損というものです。

そして私はラブコメに向かない人間だということです。

まあ、気持ちの悪い説明はそろそろ嫌気がさしてきたと思いますので彼女を止めましょうか。

ついでに私のふざけた思考も止められたらいいんですけどね(・∀・)ネー

もし私がスタンド使いなら時間を止めることができるのですが、残念ながら原作未読なので物理的に偽妹ちゃんを止めようと思います。

ついでのついでに私の息の根も止められたらいいんですけどね(・∀・)ネー

私「あっ偽妹ちゃん」

そう呼びかけてから彼女の左肩に手を伸ばします。

妹「えっ」

その呼びかけに彼女はゆっくりと振り返りました。













むにゅ











私「あ…………」

妹「っ…………」

私の手は彼女の左肩ではなく左胸に届いていました。

その時、私の頭の中では故・児玉清さんの言葉がループしていました。

そっちいっちゃったか……。

残念。左違い。

さあ、慎重かつ大胆にいきましょう。

大事な大事なアタックチャーンス!!

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