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昔話『私たちは世界を救うことができない』6

前回のあらすじ

あったCaféレストラン~♪






私「ごちそうさまでした」

友「じゃあ行きますか」

男「そうだね」

私「行ってらっしゃい」

友「お前も行くんだよ」

私「え?」

知らない場所に無理矢理連れてきておいて、この上どこへ行くと言うのでしょうか。

ごめんなさい。

私は同意の上で勝手についてきました。

良い子のみんなは知らない男の車に乗ってはいけませんよ?

私「それでどこへ行くの?」

コップの水を一口飲んでから聞きました。

すると、名前の知らない男が真剣な表情でこう言いました。












男「きみは今の世の中をどう思う?」



















私「大変ですよね」


















まるで他人事のような口ぶりで返してしまいました。

私としてはわりと真面目に答えたつもりでしたが、男は納得できないといった表情で話します。

男「そんなことじゃダメだ!!」

私「はぁ」

元テニスプレイヤーみたいに熱い男ですね。

私とは正反対の性質をお持ちのようです。

それは別にいいのですが、他人にも押しつけるのはいけないと思います。

男「いいか? 世界は今、混沌に包まれているんだ」

私「混沌?」

男「そうだ。日本だけでなく世界中で凶悪な事件や悲惨な災害が起こっている」

私「そうですねー」

男「その原因は人間が……ナンタラカンタラ」

私「そうですねー」

男「今こそ人類が皆一つの……ナンタラカンタラ」

私「すごいですねー」

男「そのためには仏法が必要なんだよ!」

私(うわぁ……めんどくせー……宗教勧誘かよ)

友人は私を宗教団体に入信させるために近づいてきたのだとわかりました。


先「えーと……それは本当の話?」

私「本当です」

先「……」

私「それにも続きがあるんですけどね」

先「……なに?」


ファミレスを出てから私は帰ろうとしました。

辺りも暗くなってきましたし、これ以上いっしょにいてもロクなことにならないと思ったからです。

私「今日はありがとうございました。さようなら」

そして駅に向かって歩いて行きました。

しかし……。

男「ちょっと待った。一回でいいから勤行をやってみようよ」

私「いや興味ないですから」

男「そんなこと言わないでさ、一回やってみよう。な?」

私「いや本当に興味ないです」

何度断っても男は私を帰そうとしません。

そのうち本気で男を殴りたくなってきましたが、肉体的に死ぬことは良しとしても社会的に死ぬことを良しとしない私は、一度だけやってやることにしました。

男と友人に連れられて私は宗教団体の会館に向かいます。

そこの受付で名前や住所などを書かされ、御本尊という紙きれが飾られている部屋に通されました。

あ、もちろん、名前や住所は嘘を書きましたよ?

男「今日は初めてだから省略してやるから」

私「はぁ……そうですか」

少し待っていると、信心深そうな中年女性がやってきました。

どうやらその中年女性にならって勤行をするそうです。

私は経典みたいなものをたらたらと読んでいきます。

隣では友人も同じように経典みたいなものを読んでいます。

私(こいつとはもう話すことないだろうな。あわよくば社会的に殺す☆

そして長かった勤行とやらも終わりを迎えました。

男「どうだった?」

勤行をすればすぐにでも効果があるのでしょうか。

私「特にありません」

そんなすぐに効果が出るわけがないでしょう。

男「そっか。でもこれから続けていけばきみも体感できるよ」

その自信がどこから来るのかわかりませんが、宗教団体の信者には何を言っても意味がありません。

それから男の車に乗って、見慣れた駅に戻ってきました。

男「じゃあまた連絡するからね」

私「はーい」

私はこんな時のために用意しておいた偽のメルアドと電話番号を男に教えてやりました。

男の車がどこかへ走り去っていくのを見届けてから友人は言いました。

友「今日は悪かったな」

私「お前とはもう話さない」

友「えー。あ、もしかして俺があいつと同じ信者だと思ってる?」

この発言からすると、友人は顕○会の信者ではないようですね。

それならどうして顕○会の信者と付き合っているのでしょうか。

すると友人は――こう答えました。












友「だって夕飯代が浮くから。あと池袋近くまで車で連れて行ってもらえるし」














ああ、それなら納得です。

その後、私は友人の部屋で色々と話をすることになりました。

それでも私は友人と『友達』になったつもりはありません。

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