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昔話『私たちは世界を救うことができない』3

前回のあらすじ

友人を友達と思っていない理由。

人によって解釈の違いはありますが、一つ間違ったら腐った解釈もできるわけですよ。



あれは私が一般教養科目の講義に出席した時のことでした。

私は大きな教室の最前列に座って、講師のお話を聞いたり聞かなかったりしていました。

聞いている間は黒板の板書をノートに書いていましたが、聞いていない間は講義とは関係ないことを考えていました。

私(私は友達が少ない……というかいない)

大学に入学したばかりの私は友達がいませんでした。

社交的な人は入学式のときに友達を作っていたようですけどね。

とはいっても、大半の人は私と同じように友達ができていないでしょう。

私(だけど友達は作っておいた方がいいよねー。色々な意味で)

どうしたものかと悩んでいると、チャイムが鳴り始めて講義終了を知らせてくれました。

私はノートと筆記用具を鞄にしまってから講師に出席カードを提出しました。

その日はもう講義がないので家に帰ろうと思って歩き出します。

そこに後ろから声をかけられました。

「ノート写させてくれない?」

後ろを見ると髪を茶色に染めた男が立っていました。

人を見た目だけで判断する私ではありませんが、私の眼にはとても軽薄そうな男として写りました。

とはいえ、ノートを見せるくらいなら何でもないので見せることにしました。

私「いいよ。この教室でいい?」

「ああ。俺は友人ね。よろしく」

茶髪の男がニコッと笑って自己紹介をします。

私「××××」

私も名前を名乗りました。

面倒くさいので愛想笑いは浮かべませんでした。

先「なんか、普通の出会い方だね」

先輩は肘をつきながら私の話を聞いています。

私「特別な出会い方がよかったんですか?」

私は苦笑しながら聞き返します。

先「それで、友人とはその後どうなったの?」

私「殺し合いをさせられました。新しく施行されたBR法という……」

先「みりんちゃん。真面目に話して」

私「はい」

先「本当は何があったの?」

先輩は不安そうな顔で不安の色を帯びた声で聞いてきます。

私はその不安を取り除くためにもしっかりとした声で言ってあげました。














私「何もありませんよ」















拍子抜けされたかもしれませんが、これは事実です。

友人はただノートを写させてと言っただけ、私はただノートを写させてあげただけ、それだけです。

それ以上のことが起こるわけありません。

これは小説でも漫画でもないのですから。

けれど小説でも漫画でもなくても何かは起こるものです。













先「二人の間に何かが起こったのはその後なんだね?」

私「ええ。その通りです」

先「二人の間に何があったの?」

私「……」

私は目の前にあったコーヒーをのどに流し込みます。

口いっぱいに苦みが広がりました。

私「二度目に会ったとき、友人は私を誘ってバカな遊びを始めました」

口を開いても苦みは消えることがありませんでした。

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