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昔話『私たちは世界を救うことができない』8

前回のあらすじ

宗教団体の信者は粘着質ばかり





友人の家に向かう途中で男に腕を掴まれました。

それを振りほどいてコンビニに行こうとしますが、男はさらに力を強めて私を離そうとしません。

これがイカレた女の子ならこっちからお願いするんですけどね。

残念ながら相手は男です。

しかも少し前に一度だけ遊んだ宗教団体の勧誘者です。

宗教とは縁もゆかりもない私に何の用でしょうね。

私「痛いんですけど」

男「なんで逃げようとしてんだよ」

私「コンビニ入ろうとしただけですけど」

男「一回話し合うぞ」

私「あなたと話すことなんてありませんけど」

男「なんでそう思うんだよ」

私「宗教が嫌いだから」

男「そんなこと言ってるからお前はダメなんだよ」

私「……」

男「お前みたいな奴がいるから世界はダメになるんだよ」

私「……」

それから男はコンビニの前で私のことを非難し始めました。

男の言葉は私の耳には入りますが、一つも頭に残ることなく、すーっと抜けていきました。

それでも私の心は嫌な気持ちでいっぱいになります。

私(なんでこんなことになってんだろ……)

駅前を歩く人たちやコンビニに入っていく人たちが私達をじろじろと見ていきます。

もちろん誰一人として私のことを助けてくれる人はいません。

私(東京の人間は冷たいわー……マジ冷たいわー……なんてね)

誰だってこんな面倒くさい状況に置かれている人を見かけても助けるわけがありません。

私も助けないでしょう。

写メを撮ってTwitterに投稿するとか警察に連絡するとかぐらいはするかもしれませんけどね。

しかし嫌なものですね。

人の話を聞かない男と時間を共にするということは……。

男「おい。聞いてんのか!?」

私「はぁ……」

男「ふざけんなよ。俺はお前のためを思って言ってやってるんだぞ!!」














私「人の心配してるヒマがあったら自分の心配したら?」

















怒りで真っ赤になっていた男の顔がさらに赤くなった気がします。

私は携帯電話を取り出して男に言いました。

私「今の会話、録音済みだよ?」

男「は? はぁ!?」

私「これを持って交番に駆け込みたいんだけど、残念ながら交番が近くにないんだよね☆」

そう言った瞬間、男の力が少しだけ緩んだのを感じました。

そしてすぐに走り出しました。

私(これからどうするかなー)

もちろん、会話の録音なんてしていません。

もし会話を録音していたとしても何の意味もありませんけどね。

録音した会話を持って交番に駆け込んだとしても何もできないでしょう。

後ろをちらりと見ると、男が追っかけてきていました。


私「まさにリアル鬼ごっこでしたね♪」

先「さとうみりんだからね」

私「あはは」

先「つまらない」

私「ごめんなさい」

先「続き……話して」


それから私は男とリアル鬼ごっこを始めました。

男「おい待てよ! まだ話終わってないだろ」

しつこい人間は面倒くさいから嫌いです。

私は夜の住宅街を縫うように走っていきました。

こんな風に鬼ごっこをしていると、昔やった鬼ごっこを思い出します。

私(私が逃げる役で、相手は知らないおっさんだったなぁ)

そしてなぜかおっさんの右手には割れたビール瓶が握られていました。

あの時ほど本気で走ったことはないと思います。

今回の鬼ごっこはあの時ほど本気で走らなくても大丈夫でした。

私と男は一定の距離を保ったまま走り続けていましたが、途中で男が立ち止まりました。

他に男の仲間がいないかどうか確認してから私も立ち止まりました。

男は走り疲れたのか、ゼェハァゼェハァと息を吐き続けています。

私「もう関わらないでくれませんか……?」

私は男に向けて言葉を発しました。

男はゼェハァゼェハァしか言いません。

私はそれを勝手に「了承」と決めつけて歩き始めました。

それからすぐに男の声が私の背中に届きました。















男「お前なんて生きてる価値ねーよ!! 死ね!! お前なんか死んだ方がマシだ」

















私「それで終わりです」

私は死んだ目つきのままで笑っていました。

先「……」

先輩は目から涙をこぼして泣いていました。

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