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少しイカレてるくらいがちょうどいい
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前回のあらすじ

「やってみなきゃわからないだろ!」

まずは現実を見ましょう。

それから戦い方を学びましょう。

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拍手[0回]




私「……」

女「……」

私「……」

女「……」

私「おも……」

女「重くない!」

私「暴れるなよ」

女「うるさい」

私は少女を背負って家まで送り届けることになりました。

腹の痛みで動くことのできないのですから仕方ありません。

何台もの車がスピードをあげて道路を走っています。

車のライトが私達を照らしていきます。

私「なんであんなことしたの? 馬鹿だから?」

私は苛立ちを抑えることができず、背中の彼女を非難します。

彼女はその場の感情で動いて、勝てもしない相手に挑んで負けました。

これではせっかくの計画も台無しです。

真っ赤に燃える学び舎を鑑賞することを楽しみにしていたのですから。

そのために私はアラブさんからガソリンまで購入しました。

これでは時間だけでなく金も無駄にしてしまったことになります。

それにしても彼女の自宅まであとどれくらい歩かなければいけないのでしょうか。

彼女は非常に軽いので背負う行為だけなら楽です。

しかし、それに歩行という行為を加えると苦になってしまうのです。

それでも一歩一歩ゆっくり歩いて前に進みます。

女「ごめん……」

返ってこないと思っていた彼女からの返答がありました。

しかもそれは謝罪の言葉でした。

てっきりまた怒りに任せて罵詈雑言を吐いてくるとばかり思っていました。

女「本当にごめん……」

喜怒哀楽でいうところの哀を含んでいるような声が聞こえてきます。

私は振り向かずに尋ねました。

私「どうして学校を放火しようなんて思ったの?」

私は気になっていたことの答えを知るために尋ねます。

私はずっと前から彼女に興味を持っていました。

しかしすでに私は一つの答えを得ています。

それは――彼女がイカレているということです。

だっておかしいじゃないですか。

いくら学校が嫌いだからって――。

いくらクラスメイトが嫌いだからって――。

いくらイジメにあっているからって――。

まともな神経の子どもが学校を燃やそうなんて考えますか?

その他にも疑問があります。

彼女はどうしてリストカットするのか。

彼女はどうしてイジメられているのか。

それら全ての答えを知りたいのです。

そして彼女は答え合わせをしてくれました。





















女「あたしは頭がおかしいから」
























全ての答えが出揃ってしまいました。

どうやら私の解答は○をいただけたようです。

こんなにも気分の悪くなる○は初めてですけどね。

それから彼女の話は続きました。

彼女の話は家庭環境や学校生活など彼女に関わることのほとんどを話してくれました。

『母子家庭』『人間嫌い』『敵を作りやすい性格』『いじめ』『不安定な精神』『破壊衝動』などなど。

そして彼女は最終的に『自傷』に至ったということらしいです。

自傷を繰り返す女の子「傷女」と名付けましょうか。

自分の身体を傷つけるなんて、と理解できない方もいらっしゃると思います。

どうか彼女を責めないでやってください。

彼女は他人の言葉や行為によって傷つくことを恐れているのです。

だから自分自身でナイフを使って体を傷つけるのです。

意味がわからないですよね。

話を聞いた私もよく分かっていません。

けれど、私も似たようなことをやっているので何となく分かります。

身を守るための防衛手段なら色々あるように、心を守るための防衛手段も色々あるのです。

それが彼女の場合は『自傷行為』で、私にとっては『愛想笑い』だったのです。

私「イカレてるね」

彼女の話を聞き終えた私は一言だけ感想をもらしました。

女「あたしよりあんたの方がイカレてるでしょ」

私の首をきゅっと絞めて反論してきます。

私「そうかな」

女「リスカの痕を見せろってバカでしょ?」

私「長袖の下がどうしても気になったから」

彼女は蒸し暑い夏の夜にも長袖の服を着ています。

女「リスカの痕を見てキレイってバカでしょ?」

私「だって綺麗だったから。あ、今度また見せてよ」

彼女の白い腕に走る赤い線の数々は、本当に美しいものでした。

それに、この世にこんなにも美しいものがあったのかと知ることができました。

彼女は心底呆れたように大きなため息をつきました。

それから大きく間を開けてから新たな質問をしてきました。

女「どうして……たの?」

私「え」

女「どうしてあたしに協力してくれたの?」

私「……」

私はその場で足を止めると、はっきりと言いました。

私「おもしろそうだったから」

女「は?」

私「だからお前がおもしろそうだったから話しかけたんだよ」

女「意味わかんない」

私「じゃあ、イカレてるからかな」

なかなか理解してくれない彼女のために別の言葉を使いました。

おもしろそうだったから。

イカレてるから。

そう思ったから私は彼女に声をかけたのです。

言うなれば純粋で単純な興味関心です。

どうして夏なのに長袖なんて着るのでしょうか。

もしかして何か隠しているのではないか。

何を隠しているのでしょう。

気になって仕方がありません。

そう思ったから声をかけたのです。

一目惚れしたから、なんて理由ではありませんよ。

なぜなら私にはこの世で最も愛している女性がいるのですから。

私「その年齢でリストカットってイカレてるよ」

女「あんたの方が頭おかしいから。リスカの痕を見たがるなんてイカレてる!」

私「そうだね。私もお前も……イカレてるよ」

気づけば私達は住宅街にやってきていました。

もうすぐ彼女の母親が待っている家が見えてくる頃でしょうか。

背中の彼女の位置を少しずらしてからまた一歩足を踏み出しました。

女「ねぇ、あんたのことも聞かせてよ」

私「なんで?」

女「あたしの頭がおかしいのは認めるよ。でもさ、あんた学校では普通でしょ」

私「……」

女「クラスの奴ともうまくやってるし、TとRといつも楽しそうだし」

私「……」

女「どこもおかしいところなんてないでしょ」

私は了解を得ないうちに彼女を降ろしました。

そしていつも彼女と話す時に浮かべていた愛想笑いを消します。

私「私は笑えないんだよ……」

女「どういう意味……?」

訝しげな顔をした彼女に、私は無表情のまま話を始めました。

私が『愛想笑い』をするようになるまでの全てのお話です。

話をする前に少しだけ考えました。

私(彼女が『傷女』なら私は『笑年』かな)

あまりにもくだらない話なのですぐに頭から消してしまいました。

そして私はそれ以上にくだらない話を彼女に聞かせることにしました。

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無題
続きの話を期待します♪

笑っていて笑ってない……実は、私、少し理解できるんで(いや、物語として以上に現実的な話でなんですけどね)、うん、余計に続きは気になります♪
光一 URL 2012/06/29(Fri)23:52:52 編集
無題
読んでくださってありがとうございます。

ご理解いただけて何よりです。ここにある昔話はすべて物語である前に現実のお話ですからね(´∀`;)
残り2~3話くらいでまとめられたらいいなと思っています。
three 2012/06/30(Sat)14:33:27 編集
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