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少しイカレてるくらいがちょうどいい
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前回のあらすじ

幻想を抱いてはいけない。

ここはいつものファストフード店。

テーブルには、ハンバーガーが二つとマックポークが二つあります。

目の前の席には、一人の女の子が座っています。

彼女の髪は少しゆるふわで、彼女の発する言葉も少しゆるふわです。

だけど頭の中はゆるふわなんかじゃありません。

とっても聡明な女の子ですから。

それ以上にとってもとってもイカレていますけどね。

まあ、人間は少しイカレてるくらいがちょうどいいのです。

私は買ったハンバーガーに手もつけず、窓の外と目の前に座る女の子を交互に見ます。

それから質問しました。

私「きーちゃんは、大学を卒業したらどうするの?」

きーちゃんは、小さな両手でしっかりとチーズバーガーを持って食べています。

小さな口をモグモグ動かして食べるその姿は、小動物のように可愛らしいです。

き「そんなの決まってるよ。友くんと結婚するの♪」

私「そっか。それはおめでたいね」

予想通りの答えに安心と悲しみを同時に感じました。

この子の頭の中には最初から『希望』しか入っていないのかもしれません。

きーちゃんは、就職難とか不景気という言葉が似合わない子ですね。

まあ、そんな言葉が似合う人がいても困るんですけどね。

き「すーくんはどうするの?」

私「どうしようかなー」

そう言いながら頭の中には一つの考えが浮かんでいます。
















き「死んだらダメだよ?」














私「……」

き「すーくんには結婚式に出席してほしいから♪」

私「……死なないよ」

まあ、こればかりは分かりませんけどね。

ただ一つ分かっているのは――私が自殺で死ぬことはありません。

親友たちとの約束で自殺はできないことになっていますから。

空から降ってきたアダムスキー型円盤に直撃したり先割れスプーンを持ったキチガイに殺されたりしない限り、私は死ねません。

き「絶対だよ?」

私「絶対とは言えないかな」

き「えー。なんでー?」

私「例えば、病気になったり事故にあったりして死ぬかもしれないよ?」

き「やだ」

私「いや、あのね」

き「やだ! やーだ! 絶対に結婚式出るの! すーくんは出なきゃいけないの!」

きーちゃんは頭を左右に振りながらピンク色のキチガイ成分を飛ばしています。

周りにいた客たちは、まき散らされたキチガイ成分に感染してしまい、髪と唇を真っ赤に染めて肌を真っ白に化粧し始めます。

それから集団は壊れかけの自転車で海に繰り出し、海洋生物たちとコンタクトをとります。

集団と海洋生物の共通言語は「ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ~♪」ということにしておきましょう。

そして最終的には海洋生物を介して地球外生命体との交流に成功するのでした。

めでたしめでたし、というわけです。

き「すーくん?」

ご乱心モードを終えたきーちゃんが私に語りかけます。

きーちゃんのお怒りが静まるまで少しばかり妄想に浸ってしまいました。

妄想というかクスリでトリップした人が見るアレに近いかもしれませんね。

私「ごめん。何?」

き「すーくんは死んだらダメだよ」

私「……」

き「すーくんには大切な人はいないの?」

私「いない」

き「嘘つき」

私「え?」

き「すーくんを大切に想っている人のことを忘れてる」

私「……」

実際にはそんな人いません。

でも、少しだけ気になるので答えを聞いてみます。

















き「うちのおばーちゃん♪」

私「……」
















き「まあ嘘だけどね。すーくんのマネしてみた♪」

私「このタイミングで嘘をつく意味が分からないんだけど……」

き「まあ嘘だけどね」

私「どっちだよ」

き「おばーちゃんの他にもいるんだよ? 友くんも私もすーくんのことが好きだよ」

私「ありがとう。私もきーちゃんのことが大好きだよ」

そう言ってからハンバーガーを食べました。

ふときーちゃんの顔を見ると、少し不機嫌そうな表情になっています。

どうしたのでしょう。

何かまずいことを言ったのでしょうか。

き「すーくん。大好きは軽々しく使ったらいけないんだよ」

私「どうして?」

き「好きはちょっと好きな人に使ってもいいよ。でもね、大好きは本当に好きな人にしか使っちゃいけないの」

きーちゃんの中のルールではそうなっているらしいです。

き「わかった?」

私「うん」

私が返事をすると、きーちゃんの表情はいつものように明るくなりました。

き「あ、すーくんのことが大好きな女の子もいるんだよ?」

私「ホントにっ!?」

生きるべきか死ぬべきか、そんなものは問題でも何でもありません。

今問題なのは、私のことを大好きな女の子がいるかいないかということです。

しかしラブコメの主人公に向かない私は気づいていました。











き「まあ嘘だけどね」

私「まあ嘘だけどね」













私ときーちゃんの言葉が見事に重なりました。

私はふて腐れたような表情をしていたと思います。

きーちゃんはいたずらっ子のような表情をしていました。

き「まあ嘘だけどね」

彼女は小声で付け加えました。

やっぱり何が嘘で何が本当なのか分かりません。

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