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昔話『嘘つきすーくんとイカレたきーちゃん』s

昔のことを思い出すと頭が痛くなるのは、ホント。

昔のことは楽しいことばかりというのは、ウソ。

これは、私がまだすーくんと呼ばれ始めたばかりの話。

私はいろんな人と出会うことになる。

おばーさま、いもうとさん、そして、きーちゃん。

みんな(とくにきーちゃん)の純粋むくな姿がめじろおしでおとどけなのです。

……あの時の私は正直ものでした。

まあ、嘘ですけどね。

……今度、ケータイ電話の辞書に嘘って字を登録しとこう。



き「三限が休講になったよ、すーくん」

す「なったね」

き「五限まで暇です」

す「です」

き「私のお家にご招待です」

す「っ!?」

最初に言ったとおり、私ときーちゃんは知り合ったばかりです。

そしてきーちゃんには、友くんという(彼女にとっては)素敵な彼氏がいます。 

それなのに何を言っているのでしょう、このイカレ女は。

き「大丈夫だよ。実家暮らしで家族がいるから」

す「あの、そんな心配はしてないんだけど(・~・;)」

き「じゃあ行こう♪」

す「……」

こうして私は、きーちゃんのご実家に遊びに行くことになりました。

き「ただいまー」

きーちゃんは、玄関で元気よく言いました。

す「おじゃましまーす」

返事は返ってきませんが、人がいる気配はあります。

とりあえず家にあがらせていただきました。

長い廊下を進み、居間に通されます。

そこにいたのは――。

お「おかえり」

き「ただいま、おばーちゃん! 紹介するね、友達のすーくん」

す「あ、初めまして。××××です。おじゃまします」

ば「こんにちは。すーくん」

あれ、本名名乗ったのに無視されましたよ。

ここらへんのマイペースな感じは、きーちゃんと似ていると思いました。

もっとも……。

き「じゃあすーくん。ちょっとここで待っててね」

きーちゃんは、それ以上にマイペースですけどね。

彼女はどこかに行ってしまい、一人取り残されてしまった私。

ば「……」

す「何か?」

ば「いい目してるね」

す「は?」

ば「いい目をしてる。あんた、いい人なんだね」

す「はぁ。そうですか」

目つき悪い、目が死んでる、目が怖い、死んだ魚の目みたいと、マイナス意見を言われたことは何度もありますけどね。

プラス意見を言われたのは初めてです。

まあ、嘘をついて人を騙して人の心を傷つけまくる私がイイ人なわけないのですが、おばーさまの話を聞くことにしました。

き「お待たせー。準備してきたよー」

す「あ、うん」

ちょうどおばーさまに、戦時中に食べた犬の話を聞かされている時、きーちゃんは帰ってきました。

興味津々で聞いていた私にとっては、とてもタイミングの悪い再登場でした。

す「また今度お会いできたら、聞かせてください」

おばーさまにそう伝えてから二階にあがっていきます。

二階にあがってすぐのところにリビングがありました。。

中には、ソファーでくつろぐ女の子が一人いました。














準備できてないじゃないか!!














と声を大にして言おうかと思いましたが、やめました。

き「あ、紹介するね。私の妹」

私「こんにちは。××××です。おじゃましてます」

年下ですけれど、初対面なので敬語を使って話すことにします。

妹「こんにちは」

そう言って小さく頭を下げました。

妹さんはきーちゃんとは似ていないけれど、可愛い子でした。

私(高校生かな。これで制服姿ならおっきなお友達が黙ってないだろうなー)

私がそんな邪推をめぐらしていると、きーちゃんはとんでもないことを言い出しました。














き「じゃあゆっくりしてねー♪」















意味わかんねーよ!!







と言おうとしたのですが、あまりに衝撃的すぎて声になりませんでした。

す「……」

妹「……」

え、何なのこの状況(´Д`;)ワケワカラン

とっても気まずいです。

何か話題を見つけようとしますが、何も思いつきません。

す「ごめんね。勝手におじゃまして」

妹「いえ、いいですよ。姉さんの彼氏さんですから」

す「彼氏じゃないよ。友達だよ」

妹「そうなんですか? 友達のすーくんって紹介されましたけど、本当は彼氏だと思ってました」

す「彼氏は別の奴。会ったことないんだ?」

妹「はい」

す「へぇ……」

会話終わったけど、どうしようか。

私には、年下の女子高生とキャッキャウフフできる面白いネタもなければ、優れたコミュニケーション能力もありません。

そんなことを考えていると妹ちゃんが訊いてきました。

妹「あの、すーくんは、どうしてすーくんと呼ばれているんですか?」

す「よく分からないけど、仲のいい友達には呼びやすい名前をつけてるらしいから」

妹「そうなんですか。姉さんに仲がいいと言えるほど友達がいるとは思えませんけど」

あれ。

姉妹の仲は悪いのでしょうか?

す「でも大学では、けっこう友達がいるみたいだよ」

まあ、嘘ですけどね。

というか知りません。

妹「意外です。恋人ができたことさえ意外だったのに」

す「あはは。でも、きーちゃんは可愛いからね。彼氏くらいできてもおかしくないと思うよ」

妹「きーちゃん?」

す「あ、君のお姉さんのあだ名」

妹「へぇ」

理由を聞かれなくてよかったです。

さすがに、キチガイだからきーちゃん、とは言えませんからね。

妹「姉さんは……可愛いですか?」

す「うん」

妹「そうですか……」

妹ちゃんは、少し悲しそうな顔をしました。

あれ、なんかまずいこと言ったでしょうか。

言葉には気をつけてるはずですが、なんかやらかしてしまったようです。

こういう時はフォローしておきましょう。














す「でも妹ちゃんも可愛いよね(・∀・)~♪」














妹「ホントですか!?」










私「う、うん(・∀・;)」

妹「すーくん、話聞いてくれますか?」

私「何?」

それから妹さんは、半年付き合った彼氏と別れたことを私に打ち明け始めました。

途中涙を流しながら話してくれました。

異性の涙に弱い私は、きーちゃんが来るまで慰めたり励ましたりしてあげました。

しかし、心の中では「面倒くさい」「早く帰りたい」という言葉でいっぱいでした。
















まあ、来ませんでしたけどね(´Д` )

す「落ち着いた?」

妹「はい。ごめんなさい」

す「いいよ。話を聞いてあげるくらいしかできないけど」

妹「いえ。ありがとうございます」

き「ありがとーすーくん」

す「っ!?」

妹「お姉ちゃん!? いつからいたの?」

き「ん。二人が抱き合い始めたところから」

妹「そんなことしてない!」

き「あはは。冗談だよー。妹は可愛いなー」

きーちゃんは、そう言って笑いました。

妹さんは、目を真っ赤にさせながら笑いました。

私は、ただ黙ってその光景を眺めていました。

なんだ、仲悪くないじゃん。

帰りの電車の中で私は、きーちゃんに言いました。

す「最初から妹さんのために連れてきたの?」

き「そうだよ」

あっさりと認めやがりました、このイカレ女。

す「仲がいいんだね」

き「そうだねー。腹違いの妹だけど、やっぱり可愛いよ

す「……」

















き「まあ、嘘だけどね♪」

す「……いや、信じてないけどね」

き「えー。ま、いいや。お礼はちゃんとするからね」

す「そう。ありがとう」

き「妹の彼氏になるっていうのはどう?」

す「……お前妹を何だと思ってるんだよ」

あれ、デジャヴ?

き「えー。いいと思ったんだけどなー」

す「まあ、お返しは期待してるよ」

き「あ、それからすーくん。もう一つお願いしたいことがあるんだ」

す「何?」

き「あのね……」




これで今話『嘘つきすーくんとイカレたきーちゃん』は、本当におしまいです。

今話『嘘つきすーくんとイカレたきーちゃん』sのsは、さいご、のsなのです。














まあ、嘘ですけどね。

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