忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



昔話『たとえば人生にマニュアルがあったとして』6

前回のあらすじ

「私のことなんて何も知らないくせに」

「知ってる」

「嘘よ」

「君の好きな食べ物も、君の好きな音楽も、君が一日に何回トイレに行ったかも、君がお風呂で最初に洗う場所も、全て知っているよ」

「おまわりさん! コイツです!」

次回「お前の味噌汁の具を教えろ!!」をご期待ください。






むかしむかし、私は親友に教えられました。

R「女性に褒めるところがない? 探せ。何でもいいから探せ!」

R「一つでもいい。些細なことでもいい。きっと何か褒めるところがあるはずだ!」

R「肌が白いとか髪がキレイとか持ち物の色遣いが良いとか何でもいいから褒めておけ」

同じ土地で生まれ育ったのに、色白な私とは違い、茶色い肌の持ち主でした。

もうずっと会っていませんが、彼の褐色肌を思い出すたびにソース焼きそばを食べたくなりますね。

お祭りで食べる焼そばって家で食べるよりほんの少しだけ美味しく感じませんか?

気のせいですか?

青のり前歯についていませんか?

気づいていますか?

先「みりんちゃん。良い事を教えてあげよっか」

私「何ですか?」

先「髪とか肌とか部分的なところを褒めると、どこも褒めるところがないから無理して褒めてるのかなって不安になる子もいるから気をつけた方が良いよ」

酒が大量に入っていて酔っぱらっているはずですが、まだ頭は冴えているのでしょうか。

先輩の鋭い言葉が放たれます。

私は苦笑して謝ります。

先「みりんちゃん愚痴って良い?」

私「どうぞ」

先「お酒頼んでいい?」

私「ダメです」

先「一杯だけ。一杯だけで楽になれるから」

どこのアル中ですか、あなたは。

私はウーロンハイのハイ抜きを注文しました。

先「今日来てもらったのは、ちょっと愚痴を聞いてもらいたかったんだよね」

私(それはもうメールが来た時点で分かっていました)

これが俗に言う「さとり世代」というやつでしょうか。

多分、違うと思います。

先輩からの呼び出しはいつだって突然です。

学生時代、先輩は何かあるたびに私を呼び出しました。

面倒なことが嫌いな私ですが、キレイで優しくて推定Cカップの先輩の頼みは断ることができませんでした。

それに、先輩が作ってくれるご飯は美味しいですから(・∀・)ウェヒヒ

先輩に彼氏ができてからその頻度は減ると思ったのですが、それほどでもなかったような気がします。

彼氏がいるのに自宅に私を招いて大丈夫なのか、と何度も尋ねましたけれど、先輩は心配ないといつも笑っていましたっけ。

ちなみにその彼氏は私の友人でした。

先輩の名誉のために申し上げますが、過去から現在にかけて私と先輩の間には何もありません。

未来については、私にも先輩にも誰にも分かりません。

先「もうずっと前だけど、私とあいつ別れたでしょ?」

私「そうですね。確か友人が東京の会社に就職したのに、卒業前に大阪の営業所だったか支店だったかに配属が決まって遠距離恋愛を少ししてから……」

当時は「大阪LOVERwww大阪のおばちゃんになるんですねwww」と笑っていました。

先輩も負けじと「君をこの手で抱きしめたいのwww君の寝顔を見つめてたいのwwwこの世はまさに大迷惑www」と恋人を東京に残して地元に帰る私に歌ってくれました。

しかし、私は帰ってきました!

木綿のハンカチーフを握りしめて!

しかし地元企業の待遇の悪さに嫌気がさして東京の企業に就職したのですが、待遇の悪さは地元企業と大差ない気がします。

これなら学生時代にアルバイトをしていた頃の方が良かったです(´・ω・`)

アベノミクスとは、景気回復とは、何だったのでしょうか。

今は日本経済の問題ではなくて乙女の悩みを聞きましょう。

先「永久就職ってどう思う?」

私「いいんじゃないですか?」

先輩はキレイですし、料理も上手ですし、思慮深いですし、とても聡明な方です。

身内びいきかもしれませんが、本当に良い人なのです。

先「でもわたし、ビアンだよ?」

先輩が不安そうに尋ねます。

私「バイでしょ?」

私は間違いを訂正して伝えます。

先「そうだった」

私「ビアンと言えば……むかし、ホアンホアンという名前のパンダがいませんでした?」

先「ねぇ、今それ関係ないよね? 真面目に話してるんだよ?」

私「すみません。お酒に酔っているんです」

先「お酒飲んでないでしょ!」

動物園に行ったらプレーリードッグが見たいですね。

かわいいですよね、プレーリードッグ。

コンビニでホットドッグやアメリンカンドッグといっしょにプレーリードッグが売られていたらついつい買ってしまいそうですね。

カピバラとは違うのですよ、カピバラとは!!

温泉に入るだけならニホンザルでもできますよ!!

動物番組はあまり見ないのですが、『どうぶつ奇想天外!』は好きでした。

『どうぶつ奇想天外!』→『世界ふしぎ発見!』の流れは最高でしたね(・∀・*)

最近は『世界ふしぎ発見!』見ていませんけれど……USJとか北陸新幹線とかどこにでもありそうな旅番組みたいになってません?

婚約指輪はスワロフスキーにしますか?

先「みりんちゃんは、今付き合ってる人との結婚考えてる?」

私「しませんよ」

先「え?」

私「え?」

先「しないの?」

私「はい」

今の私の収入では結婚なんて……(´・ω・`)

私「もし結婚するとしたら多額の生命保険を自分にかけてからですね」

先「死ぬ気? ねぇ、やっぱり死ぬ気?」

私「大切な人に遺せるものは遺しておきたいじゃないですか」

先「良い事を言ってる風に聞こえるけど、全然良い事言ってないからね?」

それにしても元レズビアンで現バイセクシュアルな先輩が結婚ですか。

彼氏と別れてから別に良い人を見つけたのでしょうか。

なんとなく聞きにくそうにしていることを察したのか、先輩は言いました。

先「あいつと別れてから誰とも付き合ってないし、好きになった人もいないんだけどね」

私「ええ」

先「それでね、この前実家から電話がかかってきたんだけど……」

私「はい」

先「実家に帰ってきて、仕事見つけて、誰かと結婚したらどうかって……」

私「あー……」

先「それとみりんちゃん。私、バイセクシュアルじゃないかも」

あれ、そうなんですか?

昔から女性が好きだった先輩が大学で私の友人(男)に惹かれて付き合って……。

女もイケるけど男もイケるようになった、ということでバイセクシュアルかと思ったのですが……。

先「確かに元彼には惹かれたし、好きだったし、だからこそ付き合ったんだけど」

私(一度目はフラレましたけどね)

先「でもダメだったよ……」

私「ダメだったって……何がですか?」

先「ねぇ、みりんちゃん。LIKEとLOVEは違うんだね」

私「……」

先「好きな人なのにおかしいよね。キスしても抱きしめられても何も感じないの」

私「……」

先「はぁ~。正社員になりたい……」

私「アルバイトのない日に就職活動してるんですよね。お疲れさまです」

先「実家か東京か……どうしよっかな」

私「帰るんですか?」

もし先輩がいなくなってしまったら寂しくなりますね。

先「分からない」

私「……」

ご家族は、先輩のことを想って言ったのでしょう。

けれども今の先輩にとっては、これほど酷な言葉はないと思います。

先「男を愛せない私が結婚なんてできるわけないのにね、ふふ」

先輩は笑ってみせますが、誰が見ても嬉しくて笑ったわけではないと分かります。

笑えません。

笑えませんよ。

私は、先輩の笑顔が見たいのです。

私は、先輩の笑い声が聞きたいのです。

同一シリーズの昔話 1 2 3 4 5 6 7


ブログランキング・にほんブログ村へ
blogram投票ボタンTwitterボタン


拍手[3回]

PR

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿


この記事に対するトラックバック

トラックバックURL