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少しイカレてるくらいがちょうどいい
前回のあらすじ

コタツに入ったまま移動できたいいのに。

韋駄天コタツみたいに。

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コタツから出ただけでも寒いですが、廊下に出たらもっと寒かったです。

私は温かい空気を求めて二階に向かいます。

上がってすぐのところには×××の部屋があります。

私「……」

私はドアの前に立ち、ノックします。

このドアの前に立ち、ノックするのはこれで何回目でしょう。

それほど多くないと思いますが。

×「どうぞ」

内側のすぐ近くから声が聞こえた気がします。

何かあるなと思いつつ、私はゆっくりと扉を引きます。

私「……」

×「……」

開けてすぐのところに銀色のナイフを持った×××がいました。

かつて私と×××の命を奪おうとしたナイフです。

それが今、再び刃が向けられているではありませんか。

刺されるのでしょうか。

刺してくれるのでしょうか。

刺すのはかまいませんが、私はどこぞのチェーンソー男ではないので一度刺せば死んでしまいます。

この中にセーラー服を着た美少女戦士はいらっしゃいませんかー?

私「何してんの?」

×「殺人未遂……未遂」

私「未遂じゃなくてもいいよ」

×「やだよ。面倒くさい」

彼女はナイフを握る手を下し、反対の手で私の胸に手を当てます。

それから何事もなかったように部屋に入っていきます。

私「イカレてるよね」

×「うるさい」

×××はベッドにもたれかかって座ります。

私も近くにあった座布団に座りました。

私「……」

×「……」

久しぶりに会ったからたくさん話すことがあるはずなのに、話題が浮かびません。

ここに来るまでとコタツの中で色々なことを話し過ぎたからでしょうか。

何か話題を見つけ出せ、と脅迫するように頭をフル回転させます。


しかし頭の中は真っ白なままです。

×「あの宗教団体なくなったよ」

私「ああ、あそこ

胡散臭い教祖と胡散臭い主張をする新興宗教団体でした。

そこの説明会に×××といっしょに行ったことは覚えています。

まあ、あってもなくても消えてしまっても何でもいいです。

面白みに欠ける場所でしたから。

私「そっか。なくなったんだ」

私がしみじみ懐かしんでいると、また×××が口を開きます。

×「ねぇ」

私「なに」

×「何かあったでしょ」

私「……」

何かとは――どちらのことでしょうか。

私の家族のことですか。

それとも×××のお母様のことですか。

まあ、でも、あっちのことなんだろうなぁ。

私がそのことを話すかどうか迷っていると、×××が真面目な表情でこちらを見ます。

それを見て、私は決断しました。











私「腕見せてよ」












×「いいよ」











彼女は洋服の袖をめくって腕を見せてくれました。

腕にはうっすらとナイフで刻まれた傷痕がありました。

昔はもっとくっきり刻まれていましたが、今はもう判断するのも難しいです。

それでも相変わらず――。

私「綺麗だ」

×××の白い腕にある傷痕を指でなぞりながら感想を述べます。

すると、彼女は決まってこう言います。

×「アホ……」

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