Date:2012/01/10 19:51
前回のあらすじ
×××× meet ×××
×××× meet ×××
買ったばかりのシュークリームを食べながら思い出の神社に向かいません。
ええ、まだ向かいません。
ここから神社まで5分とかからずに着いてしまうからです。
これでは×××のアルバイトが終わるまで寒い思いをして待たなければいけません。
マッチがあればそれを使って暖を取ることも、幻覚を見ることも可能なんですけどね。
おそらくマッチ売りの少女はヤク中だったのでしょう。
きっと商品のマッチ棒を使ってクスリをあぶって吸引していたのですよ。
これなら誰もがマッチを買ってくれなかった理由につながりますよね?
ラリった少女が「マッチいりませんか?」と言ってきても誰も買ってくれるわけがありません。
私(マッチとはシャブの隠語だったんだね。めでたしめでたし☆)
子どもの夢を壊しかねない妄想にふけることで少しだけ時間をつぶすことができました。
それでもまだ時間が余っています。
私はくだらない妄想を続けることにしました。
もしかしたらマッチ売りの少女は売春婦だったかもしれませんよね。
私(つまりマッチ棒とは男性の……)
そこまで考えたところでやめておきました。
目の前に先ほどまでケーキ屋にいた親子がいたからです。
娘「お母さんこれー?」
母「そう。これこれ。お手伝いしてくれてありがと」
娘「お魚さーん♪」
母「そうだね。今日のお夕飯はお魚さんだよー」
娘「ケーキもー♪」
母「お父さんが帰ってきたら食べようね」
娘「うんっ!」
なんとも微笑ましい風景が広がっていました。
それに比べて私はどうでしょう。
家にいるのが辛くなって逃げ出し、ケーキ屋の女性店員を困らせ、挙句の果てにはマッチ売りの少女を汚してしまいました。
私は間違っていました。
今からでも遅くありません。
間違いは正せるときに正すのです!!
さあ、今こそ立ち上がるときです!!
入ろう、宗教団体!!
ホントに何をやっているのでしょう、私は(´・ω・`)
『時間潰し』をしているうちに私の中にある『人間らしさ』を潰している気さえします。
このままでは時間と人間性の潰し過ぎで人間失格の烙印を押されかねません。
私はナニかから逃げるようにして走り出しました。
吐いた息はすぐに白くなります。
そういえば北極だったか南極では、吐いた息が白くならないそうです。
それは空気が澄んでいてとても綺麗だからみたいですよ。
呼吸するのが面倒になってきましたので呼吸を止めてみました。
苦しいです。
やっぱり足を止めることにしました。
ハァハァ言いながら辺りを見回すと、そこは裏通りでした。
けれど、そこはもう私が知っている裏通りではありません。
ヤクザの事務所はなくなり、本番ありのマッサージ店も潰れ、ヤク中もアル中も姿を消し、バー『しおいぬ。』もありません。
私「……」
私は何度もここで殺されかけました。
でも今は、そんな心配をする必要もないほど安全な街になっています。
ヤクザの事務所があった灰色ビルを見上げていたら、犬の散歩をしていたおばちゃんが横を通り抜けていきました。
平和なことは良きことなりー、と声高らかに叫びたくなりました。
ケータイ電話で時間を確認してからゆっくり歩いて神社に向かいます。
神社の鳥居をくぐり、奥へと進んでいきます。
中央は石畳が敷かれ、その両脇は砂利が敷かれています。
懐かしい感触が足から伝わってきました。
そうそう、私はここでも殺されそうになったことがあります。
もっとも、あの時は私が望んで命を落とそうとしたんですけどね(・∀・)ネー
奥に進んでいくと、大きな拝殿があります。
そして裏手には土ばかりの広場があります。
私は拝殿で待つつもりでしたが、懐古の念にかられて裏にまわってみました。
するとそこには、コートを着込んだ女がいました。
私「あれ、もう来てたの?」
私はしゃがみこんでいる×××に向かって言いました。
×「店長が早く抜けていいって言うから
彼女は不機嫌そうな顔でこちらを向きます。
私「懐かしいね、ここ」
×「ホントにね」
私「怒ってる?」
×「ムカついてる」
怒っているとムカついてるって同義じゃないんですか?
私「ごめんなさい」
×「悪趣味」
私「寒いね」
×「早く行くよ」
そう言うと、×××はマフラーをしっかり巻き直して歩き始めてしまいました。
少し遅れて私も動きだし、彼女と歩調を合わせて並んで歩きます。
昔いっしょに死のうとした二人が、今いっしょに歩いているというのは不思議な感じです。
まあ、今もこうして生きていることはそれ以上に不思議ですけどね♪
1 2 3 4 5
PR
この記事に対するコメント
無題
コメント、ご訪問ありがとうございます