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昔話『Under The Smile』3

前回のあらすじ

スキトキメキトキス

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廊下に出てみると、一人の少女がいました。

私は声をかけてからあいさつします。

私「こんにちは、××××です」

女「え?」

え?

何かおかしかったでしょうか。

それにしても目の前にいる女の子は、噂に違わぬ可愛い人でした。

ストーカーされてしまうのも納得できてしまいます。

こんなことを本気で言ってしまうと、全国のストーカー被害者から訴えられてしまいます。

お気をつけください。

女「去年、同じ委員会だったよね?」

私「去年……」

私の中の『去年』は、文字通り去りました。

もう思い出したくもないことばかりですから。

私「ごめん。ちょっと思い出せない」

女「あんまり話すことなかったもんね」

私「それで、ストーカー被害にあってるんだって?」

これ以上世間話をするのも面倒くさいので本題を切りだしました。

女「うん……」

途端に彼女の顔色が青くなりました。

私「犯人の心当たりはあるの?」

女「……」

彼女は俯いたまま何も話そうとしません。

女心とストーカーの心理を理解するのは難しいですね。

その二つを同列に扱ってしまうと、世の中の女性たちに社会的に殺されてしまいます。

お気をつけください。

かつて居酒屋でアルバイトをしていた友人がいました。

彼の担当はお客様の注文を聞いて料理や酒を運ぶホール担当です。

その居酒屋にはモツ鍋がありました。

そのお店ではモツ鍋の注文が入ると、手書き伝票に「モツ一」と書く規則になっていました。

しかしその友人だけは「モツ一」ではなく「一モツ」と書いていました。

それに気づいた店長は、やめるように注意しました。

けれど友人は注意を聞かずにいつまでも「一モツ」と書き続けました。

その結果、友人はアルバイトをやめさせられました。

キッチン担当の女性達が「セクハラだ!!」と訴えたからです。

友「順番て大事だよなぁ……」

友人は生ビールを一気に飲み干してからポツリともらしました。

その表情は喪失感にあふれていました。

社会的に殺されない他の方法を考えていると、女の子がようやく重い口を開きます。

女「心当たりは……ある」

私「あるの?」

女「うん」

彼女は周りに誰もいないことを確認してからストーカーの名前を出しました。

その名前は……ストーカーくんにしておきましょう。

私「あいつか」

彼女をストーカーしているストーカーくん。

その男の子は、私やTやRと同じクラスの人間でした。

勉強ができず、授業中にいつも騒いでいる子です。

運動はそこそこできるようです。

私「あいつなら対処は簡単だよ」

女「え?」

私「おーい、T」

教室内にいる親友に声をかけました。

T「なんだよ。今マンガ読んでたんだぞ」

彼はマンガ本を右手に携えたままやってきました。

私「七つの玉を探すのは後にしてよ」

T「何すればいいんだよ」

私「ストーカーくん連れてきて」

T「メンドクセー」

私「仕事だよ」

T「へいへい」

Tは面倒くさそうに言ってから走り出しました。

後には神龍にするお願いを考える私と、顔を赤くしている美少女が残されました。

あとは黄色い顔をすることができれば一発芸「人間信号機」の完成ですよ。

どうして彼女が最初にTを相談相手に指名したのか気づきました。

私「大丈夫。Tがうまくやってくれるよ」

女「……うん」

それから数分後、ストーカーくんを引きずって連れてきました。

手荒にするなと忠告し忘れました(・∀・)テヘペロ

うっかり~ん☆

T「連れてきたぞ」

私「おつかれ。さて、お前はなんで連れて来られたか分かる?」

ストーカーくんに問いかけました。

彼は私を睨みつけてきます。

ス「はぁ!? ふざけんな!! なんだてめぇ!!」

どうやら日本語が通じない人のようです。

日本語での対話は不可能かもしれません。

それなら一方的に要求を伝えることにします。

私「もうこの人に近づかないと約束して」

女「何もしてねーし。意味わかんねーし」

私はTに目配せします。

Tはニヤリと笑ってから頷きました。

それからストーカーくんの襟首を掴みながら脅しました。

T「約束しろ」

彼はドスの利いた台詞を吐きます。

ス「は? は!?」

「口ではそう言っても体は正直だな」とは真実なのかもしれません。

ストーカーくんの足は、ガクガクブルブルプルンプルンと震えています。

まるで生まれたての仔山羊のようです。

立て! 立つんだ!! クララ!!

お前のクロスカウンターを白い家畜に喰らわせるんだ!!

アルプス!!アルプス!!アルプス!!アルプス!!

アルプス!!アルプス!!アルプス!!アルプス!!

アルプス!!アルプス!!アルプス!!アルプス!!

アルプス!!アルプス!!アルプス!!アルプス!!

かつてアルプスの山では人間と山羊の壮絶な戦いが……なかったと聞きます。

ご安心ください。

皆さんの知っているアルプスを汚そうとは思いません。

ストップ!! 環境汚染!!

カルプスだかアルピスだか言っている間に事は済んでいました。

ス「もう、これ以上、付きまといません。絶対に……。スミマセン」

ストーカーくんは半泣きで土下座していました。

それは帝愛グループの利根川さんも感服するほどの見事なものでした。

Tは得意げに相談寮の100円を握りしめていました。

ちょっと待て。

それは私の給料じゃないですか?

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