Date:2012/01/15 01:41
前回のあらすじ
アルプス → ストーカー → カイメツ
アルプス → ストーカー → カイメツ
こうしてストーカー問題は解決しました。
決して平和的な解決とは言えませんが、犯罪者予備軍になりつつあったクラスメイトを救うためです。
仕方ないと思いなさい、ストーカーくん。
知っていますか?
何かを解決するためには犠牲がつきものなのですよ。
私(私の精神も問題解決のための犠牲になったのかな)
犠牲にしたのは、精神だけじゃない気がします。
まあ、そんなことはどうでもいいのです(・∀・)キニシナイ♪
もう二度と思い出したくないことですから。
その日の放課後、私とTとRはバー『しおいぬ。』に行きました。
マスターは水っぽいリンゴジュースをごちそうしてくれました。
マ「へぇ。なかなかおもしろいことを始めたね」
マスターは営業スマイルを浮かべています。
私「売上はまだまだですけどね」
私は苦笑します。
TとRは水っぽいオレンジジュースを私に押しつけてテーブル席で話しています。
カウンター席に一人残された私は、三つのオレンジジュースたちの処遇に頭を悩ませました。
廃棄。
イッキ飲み。
返却。
うーん、どうしたものですかね。
マ「それより、最近一人で裏通りに来てるだろ」
私「え?」
とぼけたふりをして切り抜けようかと思いましたが、この人の前で隠し事はできないのでした。
私は正直に中国人風俗嬢のリンさんと会っていることを話します。
すると、マスターはニヤニヤ笑って冷やかしてきました。
マ「国際恋愛か。若いのにすごいな」
私「そんなんじゃないですよ」
そう言いつつ、リンさんのことはわりと、けっこう、かなり……好きです。
それから裏通りで会ったもう一人の外国人についても話すことにしました。
私「あ、そういえばアラブ人の商人を知ってます?」
マ「ああ、アラブさんか」
私「アラブさん?」
マ「そう。アラブ人だからアラブさん」
それは何とも……安直なあだ名ですね。
まあ、何でもいいですけどね。
マ「麻薬から拳銃まで注文すれば何でも売ってくれる露天商だよ」
私「あはは……」
冗談かと思いましたが、冗談ではないでしょう。
この街に来てから二年が経ちました。
この街の裏通りの存在を知ってから一年も経っていません。
しかし一度でも裏通りに入った人間なら、その恐ろしさを本能で感じることでしょう。
私(自分は身をもって知ったけどね)
あのナイフを持った猫背の男が捕まったというニュースは聞きません。
もう二度とあんな体験をすることはないと思いたいです。
少し昔のことを思い出している私にマスターが言いました。
マ「気をつけなよ」
私「あ、はい。暗くなる前に裏通りから出ます」
暗くなってから裏通りは本来の姿を表します。
もっとも、それを知ることができるのは裏通りで生活している人だけです。
マスターは、私の言葉を聞いて首を横に振りました。
マ「君らが始めた仕事のことだよ」
私「どういうことですか」
私もマスターも笑顔を消します。
マ「被害者は加害者にもなり得る」
私「……」
マ「特に、被害者という面を被った加害者は厄介だよ」
私「……」
マ「ストーカーくんの今後に気をつけた方がいい」
私「わかりました」
私はしっかりと頷きました。
チラリとテーブル席のTとRを見て、小声で話を切り出しました。
私「あのこと、二人に話してませんよね」
マ「ああ、話してないよ」
マスターはニヤッと笑います。
マ「君が二人のことを信用していないなんて言えるわけがない」
私は人を信用しません。
怖いのです。
信用してしまったら裏切られる可能性が生まれてしまうから。
人生には知識と経験を得ることが大事とよく言います。
でも裏切られる経験なんて一度も経験しない方がいいです。
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