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漫画『谷川史子オムニバス集 君と僕の街で』 谷川史子

漫画『谷川史子オムニバス集 君と僕の街で』 谷川史子 集英社文庫



【君と僕の街で】

Vol.1

映画館のロビーにいつも一人でいるあなたを。

半年間ずっと見てました。

毎月初日に映画館に行く小川すみれ。

彼女は、いつも映画館のロビーに一人座っている男の人に憧れていた。

けれど、話しかける勇気はなく、ただ眺めているだけの日々。

そんなある日、財布を忘れて困っているところをその男の人が封筒をそっと差し出してきた。

中にはチケットが二枚と彼が誰かに宛てたラブレターが……。

どうしても手紙を返そうと思ったすみれは、翌日封筒をくれた真枝寛に会いに行く。

Vol.2

交際期間二年で以心伝心の高校生カップル、若菜と順。

だが、友人のすみれには「なんか中年夫婦みたい」と言われてしまう。

すごいとかカッコイイとか言われるけど、全然嬉しくない。

最近付き合い始めたばかりのすみれと真枝

お互い付き合い始めた頃はいっしょにときめいたり、ドキドキしたりしたけど……今はしない。

いつ頃からだろう。

順はあたしのことをどう思っているんだろう。

そう考えたら急に不安になってきた。

Vol.3

うどん屋の手伝いをする女子高生、幹。

彼女は十年近く合気道の道場に通っている。

ある時、母親から初段も取ったんだからもうやめたらと言われてしまう。

慌てて拒否したけれど、うっかり自分の想いまで口にしてしまうところだった。

あぶないあぶない。

5年前、あたしの通う道場にきた24歳のコーチ。

背が高くてお調子者で、みんなの人気者。

そして彼は――あたしの姉・美葉の恋人だ。

姉が大学を卒業したらきっと結婚することになるだろう。

だからあたしは内緒で好きでいる。

Vol.4

「梅ちゃん、大好きっ♪」

鈴木直はいわゆるおさななじみだ。

今やお互い高校生だというのに、彼の態度は子供の頃とかわらない。

一つ年下の彼を私は弟のようなものだと思ってきた。

確かに背は高いし、顔もいい方だと思うけど、あたしには「かわいい」だけの奴だなぁ。

それから彼は事あるごとに「好き」と言ってくる。

あたしは年下に興味なんてないのに。

Vol.5

転校することが決まったと告げる彼氏のリクオ。

急に言われて困惑する彼女の桃花。

「俺のこと忘れていいから。待ってろって言えない」

そう言われた瞬間、桃花はリクオの頬をひっぱたいた。

そして彼女は言った。

「忘れないよ。あたし、リクオのことあきらめない」

一年の辛抱だ。

リクオは桃花がいるところの大学を受けると言ってくれた。

だから一年我慢すれば大丈夫。

桃花のアルバイト先の男子大学生は、そんな彼女を心配そうに見つめていた。

彼女はリクオに手紙を送り続けた。

けれど彼からの返事は手紙も電話もなかった。

それからしばらく経って電話があった。

けれどそれは二人にとって悲しい結末を迎えることになる。

【各駅停車】

第一話

朝だ。

さよならを言われてから一年目の朝だ。

一年前にフラレて傷心から癒えない高校二年生、小津深雪。

ある日、学校へ向かう電車の中で好きだった人にそっくりの男子と知り合う。

顔だけでなく、声も同じで、深雪は驚いてしまう。

しかも会って間もないのに自分のことを色々調べたと言われ、好きだと告白までされてしまう。

その人は同じ高校に通う一年生の夏目康と名乗った。

どうしたらいいのか悩んだ深雪は、彼を無視して逃げようと決めた。

けれど夏目はなかなか諦めてくれず、ずっと付きまとって来る。

その度に彼女は好きだった人のことを思い出してしまい、胸が苦しくなった。

第二話

色白で可愛い顔だち、やわらかい手触りのくるくるした髪。

小柄でプロポーションも良くて料理上手で明るい女の子、藤沢まみこ。

――こんなあたしをふるなんて、康くんも見る目ないわよね。

まみこは父親と二人で暮らしている。

母親は……父親と付き合う前に好きだった人のもとに行ってしまった。

だから……だから、小津さんは昔好きだった人と康くんを比べているんじゃないかと不安になっている。

そんな彼女のことを想い、心配しているのが体操部の男子マネージャー。

虚弱で身体が弱いからといつも笑っている先輩。

最終話

いつも砂浜を飼い犬のツナと散歩している小町。

ある日、リードが外れてツナが駆けていってしまう。

もう知らないと諦めた時、前方から男の悲鳴が……。

釣竿を持った大学生で、犬が苦手なのに犬に触ろうとする変わった人だった。

それから一週間ほど会い続け、小町はその大学生・昇と付き合い始める。

しばらくデートを重ねたが、必ずツナを連れてきてほしいと頼まれた。

相変わらず犬が苦手みたいなのに。

ある日、昇が夏目康の兄だと分かり、昔好きだった人がいたことも分かる。

どうしても気になった小町は、デートに犬を連れて来なければいけない理由を聞いてしまう。

関連リンク

漫画『手紙』

漫画『他人暮らし』

漫画『谷川史子秀作選 僕らの気持ち』

漫画『谷川史子長編集 きもち満月/くじら日和』

漫画『谷川史子オムニバス集 君と僕の街で』

漫画『忘れられない』

漫画『くらしのいずみ』

漫画『東京マーブルチョコレート ハロー、グッバイ、ハロー』 

漫画『谷川史子純愛読み切り集 H』


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