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少しイカレてるくらいがちょうどいい
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前回のあらすじ

ある日、裏通り、ヤクザ、私、逃げる




ヤクザの声に驚いて逃げた私は、まだ裏通りにいました。

ヤクザから逃げるため必死に走ったので呼吸は荒くなってしまいました。

私は呼吸を正常にしようと手で口を押さえます。

私「はぁ、はぁ……」

口から荒い息が漏れます。

その時の私はマスターの忠告などすっかり忘れていました。

知り過ぎることは罪だと誰かが言っていましたが、知らな過ぎることも罪なのではないでしょうか。

私は裏通りの恐ろしさを知らな過ぎたのです。

私の中に少しでも信じる気持ちがあればあんなことにはならなかったのかもしれません。

ふらふらと歩きながら小さな釣具屋の横にある路地までやってきました。

すると、路地裏から男の声がしました。

植木に隠れながら様子を窺うと、ネズミ顔の若い男が怯えながら後ずさりしています。

それを猫背気味の男が追いつめているようです。

猫背の男の右手には――ナイフが握られていました。












猫「ヘヘヘ、どうして逃げるんだよ」

鼠「バカヤロ! 逃げるに決まってんだろ!」

猫「もう逃げられないよ。捕まえちゃうからな」

鼠「やめろ! 来るな! おい!」

猫「死にたいって言ってたじゃーん」

鼠「言ってねぇ! そんなこと頼んでねえよ!」

猫「あっそ」
 

















猫男の冷めた声が発せられ、ナイフが鼠男の左膝に突き刺さりました。

鼠男の膝が恐ろしいほど真っ赤に染まります。

彼は左膝を押さえながら死にかけた動物のようにひぃひぃとうめき声をあげ、少しでも脅威から離れようと後ずさりします。

猫背の男は膝に刺さっていたナイフを一気に引き抜くと、再び右手をふり上げました。

鼠男は逃げようと必死に足を動かしますが、全然進んでいません。

そのまま猫背の男がナイフを振り下ろして終了でしょう。

しかし突然、猫男が振り向きました。
















猫「さっきからなーにコソコソ見てんのー?」















猫背の男の鋭い視線の先には――私がいました。

私「え、あの……」

猫「死にたいんだね」

まだ何も言っていないです。

それなのに猫背の男は体をこちらに向けて歩み寄ってきます。

これはアクション映画でもサスペンスドラマでもありません。

紛れもない現実です。

過去の私は、人を信用したから心が壊されました。

現在の私は、人を信用しないから体が壊されようとしています。

こんなことになるならマスターの話をちゃんと聞いておけばよかったです。

彼の忠告をちゃんと守っていればよかったです。

ここにTがいたら

「馬鹿。気づくのが遅すぎるんだよ」

と言うのでしょうね。

猫「ここにも願いを叶えてほしい子がいたぞ、ヘヘヘー」

猫男がゆっくりとこちらに近づいてきます。

私(ここで死ぬの……私?)

一瞬でも気が緩めば目から涙が出てきそうです。

私(私の才能は本物だったんだ……)

私の才能――イカレた人間を惹きつける才能です。

馬鹿みたいな才能だと思います。

しかし、イカレた人間がいっぱいいる裏通りでイカレた人間に殺されそうになっている今の状況では、信じないわけにはいきません。

私はこの男に殺されて、死体回収業者“肉屋”に回収されて売り飛ばされるのでしょうか。

子どもの内蔵は高く売れるそうですから。

けれど、肉屋が動くのはヤクザが事件に関わっている場合だけらしいです。

だとしたら今回は警察沙汰になるのでしょうか。

こんな状況だというのに、いえこんな状況だからこそまともな思考などすることができませんでした。

私(後悔の多い生涯を送ってきました……)

私は頭の中で遺言を述べます。

そこに間延びした声が耳に届きました。

「おーい、どうしたー?」

私の声でも、猫背の男の声でもありません。

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