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昔話『しおいぬ。』 4

前回のあらすじ

「眠れない夜
きみのせいだよ
さっき別れた
ばかりなのに」

「……」

「耳たぶが for you
燃えている for you
やった(やった)
やった(やったよ!) ohh
はじめての チュウ
きみと チュウ
I will give you all my love」

「……」

「なぜかやさしい気持ちが
Ahh いっぱい
はじめての チュウ
きみと チュウ
I will give you all my love
涙が出ちゃう 男のくせに
Be in love with you」

「……気が済んだ?」

「うん……(´;ω;`)」

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頭の中では今の私の境遇を歌った曲が流れていました。

私はバーカウンターに頭を預けながらそれをずっと聴いていました。

しかし、曲が止まったら途端に悲しくなります。

私「隠し味は中国四千年の歴史~♪」

T「おい大丈夫か」

Tが心配して背中をぱしぱし叩いてきます。

R「おめでとう。次は……これだね(・∀・)b」

Rは親指と人差し指を駆使して、男女の肉体関係を模しました。

私「初めてだったのに……初めてだったのにぃ……」

T「そんなことより何か裏通りの情報はない?」

私の初めてのキスはそんなことですか。

そうですか。

まあ、そうですね。

友達とはいっても他人ですから。

他人がどんな人とキスしようが関係ありませんね。

ようやく気持ちを切り替えることができた私はカウンターから頭を上げます。

すると、マスターのにやっとした笑みを浮かべた顔が見えました。

マ「ここ最近の話だと……チンピラが殺されたな」

友2「処理は肉屋?」

マ「そうだろうな。ヤクザ絡みだろう」

この平和な日本の田舎町でどうしてそんな物騒な話をしているのでしょう。

マ「当分裏通りは危ないだろうな」

T「マジかよ」

R「でも仕方ないかー。ヤクザも警察も動くだろうし」

私は彼らの話している内容が全く理解できませんでした。

マスターはおどおどしている私の方を向いて言います。

マ「特に君が一番危ない」

私「私ですか?」

私が聞き返すと、一斉に三人とも頷きました。

深く、しっかりと。

やはりマスターのインチキ占いの結果が関係しているからでしょうか。

けれども私は占いの結果にも裏通りで人が死んだということも信じていません。

私「裏通りで人が殺されたなんて朝のニュースでもやってませんでしたよ」

マ「そうだよ」

さも当然のように答えます。

少し驚きましたが、私もすぐに言葉を返します。

私「占いもそうですけど、この街で人殺しなんて信じられません」

マ「信じろなんて言ってない」

私「だったら……」

マ「だが、これは事実だ。納得しろ」

常に営業スマイルを浮かべているバーテンダーが初めて表情を崩しました。

隣を見るとTとRも笑っていません。

私「わかりました……。裏通りには気をつけます」

私はカウンターに目線を落としてそう言いました。


翌日、私は商店街の表通りを歩いていました。

時間は六時を過ぎた頃なので、空が暗くなり始める時間帯です。

私は人の流れから外れて表通りから裏通りにつながる細い路地に入りました。

もし何かあっても動きやすい服装で来ました。

私(何もないだろうけどね)

ここは日本です。

平和な国です。

法治国家です。

そんな国でも人殺しがあるのは分かります。

それでも、この田舎町の商店街の裏通りで人殺しがあるなんて信じられません。

ましてや死体が消えるなんて起こるわけないです。

そう思いながら真っ直ぐ進んでいくと、ドスの利いた怒鳴り声が聞こえてきました。















「なめてんのかテメェ!!!」














パンチパーマの若い男がハゲたおっさんをいたぶっていました。

ヤ「もう一回言ってみろ、ハゲ!」

ハ「すみません、すみません……もうしばらく待ってください。お願いし……」

全てを言い終える前にハゲのおっさんは膝を蹴られました。

痛がる暇も与えられず、続けて腹を蹴られます。

今度は膝を蹴られ、また腹を蹴られ、同じことが何度も繰り返されました。

なぜだか私は、その一部始終を何も考えずにじっと見つめていました。

しかし、視線に気づいたパンチパーマの男と目が合ってしまいました。

ヤ「何見てんだ、テメェ!」

慌てて目線を下に向けると、ハゲが助けを求めるようにしてこちらを見ていました。

私「……」













私はスタコラサッサとその場から逃げ出しました。

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