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昔話『サンタクロースが死んだ夜に』4

前回のあらすじ

Fが好きな女の子――×××。

私は彼女のことを傷女という。

彼女は私のことをキチガイという。

さあ、傷女をクリスマスパーティに招待しよう。



私「……」

×「……」

友「どこ行くんだよ」

F「おもしろいとこだよ」

私(寒い……)

クリスマスです。

夕方です。

もちろん寒いです。

それでもFの先導で私たちは、ついて行くことになりました。

×「やってらんない」

×××は私の隣で言いました。

まあ、その気持ちは分からなくないです。

というかまったく同じ気持ちです。

Fに連れられてやってきたのは……。














公園でした。












私「あ、なつかしい」

×「久しぶりに来たかも」

友「おおー」

F「ね、ね。鹿にエサやろうよ」

Fはポケットから食パンの入った袋を取り出しました。

友「やるか」

私「行こう」

×「うん」

そこは昔、私たちがよく遊びに来ていた大きな公園でした。

鹿はいますが奈良県ではありません。

友と私の二人で鹿のいる大きな広場までやってきました。

友「小鹿かわいいなあ」

私「そうだね」

まさに鹿でした。

鹿です。

マジ鹿です。

二人で鹿にエサを与えるのを楽しみながら移動していました。








ん?









二人?












あれ、先生、Fと×××がいません。

もう告白するようです。

望みは限りなく薄いですが、まあがんばってくださいと心の中で言っておきます。

私は黙って他の人たちといっしょに鹿に餌をやることにします。

友「あれ、二人いない?」

友2「ほんとだ。いなくなってる」

さすがにみんなも心配し始めました。

私は捜してくるといってその場を離れて来た道を戻りました。

まったく面倒なことを増やしてくれますね。

正直二人がどういう結果になろうと私には関係ありません。

でも、傷女に彼氏ができることを想像すると笑えてきます。

私「あいつはあれを受け入れられるのかな」

そんな心配を少しだけしながら噴水のある広場まで戻ってきました。

すると、そこには――――。

青ざめた顔のFと服の袖をまくって腕を見せている×××がいました。

ああ、やっぱり受け入れられなかったようです。

傷女が傷つけるのは、他人だけではありません。

むしろ他人を傷つけるより自分を傷つける方が圧倒的に多いのですから。

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