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本『明治あやかし新聞 怠惰な記者の裏稼業』 さとみ桜

『明治あやかし新聞 怠惰な記者の裏稼業』 さとみ桜 メディアワークス文庫



ぞわっとして、ほろりと出来る。

怠惰な記者のあやかし謎解き譚。

日がな一日サロンで惰眠を貪る日陽新聞社の記者、内藤久馬。

そんな彼も好奇心が疼けば記事を書く。

傍に用意するのは、怪談奇談に妖怪本。

彼が書く記事は全て妖怪にまつわるものなのだ。

ある春の日、少女が新聞社へ乗り込んできた。

彼女の名は井上香澄。

久馬の記事が原因で、友人が奉公先を追い出されたのだという。

冷たい対応の久馬に代わり香澄に声を掛けたのは、妖美な男・芝浦艶煙。

曰く、むしろ妖怪記事は人助けになっており、友人は貞操の危機を免れたのだというが!?

第23回電撃小説大賞銀賞

つづきはネタバレ注意






意地悪で怠惰な新聞記者の久馬が書くのは妖怪にまつわる記事。

その記事のせいで友人が職を失ったと怒る少女・香澄。

だが妖美な役者の艶煙は人助けのための記事だと言う。

そして香澄は二人の裏稼業を手伝うことに。

私の苦手なメディアワークス文庫だけど、応募している新人賞傾向の勉強のために読んでいる。

しかし、これは読み始めてみたら意外と読みやすくおもしろいと思った。

あやかしというから妖怪が出てくるのかと思ったら、人間たちの悪行を妖怪が出るぞ、呪われるぞ、という風に記事にして懲らしめる勧善懲悪もの。

連作短編形式ながら一つ一つの話は独立していて主要人物だけがつながっている感じ。

一個の話で起承転結がしっかりしていてきっちりオチもついているのでなかなかおもしろい。

と思っていたが、中盤から飽きてくる。

一話完結で主要人物以外は新たな登場人物が出てくるのでキャラはどうしても薄まってしまう。

主人公は女性でヒロイン役も兼ねており、ぶっきらぼうで意地悪だけど思いやりのある優しい男と怪しげな魅力と美しさを持つ優男の役者の男という少女漫画あるいは乙女ゲー?っぽいキャラ配置は女性受けを狙った作りでなかなか良い(メディアワークス文庫は女性読者層が多いらしいし)。

連作短編形式は好きだし、私もよく書くけれど、各話が完全に独立してしまっているとやはり長編というよりは短編集のような印象になってしまうなぁ。

新人賞応募作でやると一次落ちしやすいから気を付けろって偉い人が言ってた。

主人公兼ヒロインは『はいからさんが通る』の紅緒さんのような人と言ったら通じるかな。

あれは大正時代が舞台の作品だけど、あんな感じの男性に対して物怖じしない元気な女性が活躍する。

しかし、この作品のヒロインは最後まであんまり成長しないのがいただけない。

連作短編形式でもすべての話が最後でまとまるならまた違ったかなぁ。


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