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本『こちらあみ子』 今村夏子

本『こちらあみ子』 今村夏子



あみ子は、少し風変わりな女の子。

優しい父。

一緒に登下校をしてくれる兄。

書道教室の先生でお腹には赤ちゃんがいる母。

憧れの同級生のり君。

純粋なあみ子の行動が、周囲の人々を否応なしに変えていく過程を少女の無垢な視線で鮮やかに描き、独自の世界を示した作品。

第26回太宰治賞、第24回三島由紀夫賞受賞の異才のデビュー作。


読み始めてすぐに文章の端々や物語の中に不穏な空気や違和感があった。

決して良い読後感を得られない作品と知りながらも読んでしまうおもしろさと表現力の高さ。

あみ子の目で見る社会や家庭には壁があり、彼女が「こちらあみ子」と大声で訴えても返答はないのだ。

「異才のデビュー作」という売り文句に偽りはありません。


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この記事に対するコメント

無題

ほんのりホラーの匂いがしますが・・・
日常の描写がしっかりしてるのほどホラー部分って際立ちますね!

表紙が目を引きます。一見かわいいユニコーン?でも角が二本ある。妙になまめかしい華奢な姿。悪夢の荒野をさまよう少女、という印象を受けます。
家庭にも社会にも壁があるというのは大いに共感します。

【2018/02/16 20:35】紅玉 #29eeecf366()[編集]

無題

紅玉さん

こんばんは。ご訪問ありがとうございます。
ゾンビや妖怪が出てくるファンタジーなホラーだったらどんなに良かったか、と思います。最初から最後まで生き苦しい現実が舞台で、自分が思うままに生きている女の子の物語です。

表紙も作品の一つですよね。とても惹かれました。また、表現力の高さに圧倒されましたね。

【2018/02/17 21:08】three #12f53938fa()[編集]

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