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昔話『おしえて! SFちゃん』

前略。

120%CRAAZYをご覧の皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

ある年のある季節、私は――。









SF「寄せて寄せて! あげてあげて! そ~れそ~れそ~れそ~れ!!」












私「……」
















SF「寄せて寄せて! あげてあげて! そ~れそ~れそ~れそ~れ!!」
















私「…………」

おっぱいの大きな年下女子にセクハラされていました。

ここは、薄暗いカラオケルームの一室です。

体の一部分がSFな女の子は、マイクを握り締めてピョンピョン飛び跳ねながら歌っています。

揺れます。

大きいのでよく揺れます。

私は、できるだけ見ないように気をつけます。

SF「どうっすか? 先輩どうっすか? 私の歌声は?」

ノリノリで「爆乳音頭」を歌い上げた後輩は、席に座ってジュースを飲んで一息つくと、感想を聞いてきました。

私「いい感じだと思うよ」

SF「なんすか。どっかの芸能人の口癖みたいなやる気のない評価は……」

私「フフフッ♪」

どっかの芸能人のようなモノマネをしてみます。

SF「気持ち悪いです」

私「(´・ω・`)オゥフ」

SF「あ、先輩。飲み物を頼みますけど、何がいいすか?」

私「……ウーロン茶をください」

SF「はーい」

後輩がドリンクのメニュー表を見ながらフロントに電話をします。

私が入れた曲のイントロが流れ始めたのでマイクを取りました。


事の発端は、後輩からの一通のメールでした。

『今週末、ヒマですか? 遊びに行きませんか?』

私は大学を卒業して仕事をしていましたが、後輩はまだ大学生をやっていました。

4年生に進級してしばらく経った時期で、後輩の就職活動が忙しい頃のことだったと思います。

昼休憩中にメールの返事をすると、すぐに後輩から返事が来ました。

メールを確認すると、当日遊びに行く人数、場所、集合日時などが書かれています。

私は、忘れないために紙の手帳に週末の予定を書いておきました。

時は過ぎて週末になりました。

集合日時の少し前に待ち合わせ場所に行くと、すでに後輩が待っていました。

場所は、主人に忠実な犬の像があるところです。

時折、自分に忠実なイヌが欲しいなぁと思うことがたまにあります。

今住んでいるアパートは、二人入居もペットも不可なのですけどね。

SF「お久しぶりでーす」

私「久しぶり。元気そうだね」

まだ就職活動中で内定が出ていないと共通の友人から聞いていましたが、思いのほか元気そうです。

SF「先輩は、今にも死にそうな顔をしていますよ?」

私「えー」

SF「なんか、やつれてます」

私「( ̄□ ̄;) 」

大学を卒業してから後輩以外の友人知人たちと何度か会いましたが、会う人全てにそういうことを言われている気がします。

そんなにひどいのでしょうか。

深く悩む私をよそに後輩が口を開きます。

SF「じゃあ、遊びに行きましょうか」

私「え?」

SF「え?」

私「他の人は?」

SF「来ませんよ?」

え?

どういうこと、と尋ねる前に気づきました。

ハメられました。

私「私の恋人も来るって……」

SF「大丈夫っす。予定ができたから来られないって連絡が来ています」

私は大丈夫でないのですけどねー。

しかし、良いのでしょうか。

恋人がいるのに異性と二人きりで出掛けるというのは、良いのでしょうか。

SF「恋人から了承を得てるから大丈夫っす」

私「えぇ……」

私への信頼の厚さを喜ぶべきか、恋人もグルだったということに悲しむべきか、悩ましいところです。

SF「それに、浮気する度胸も勇気もないって知ってますから」

私「SF。不倫は文化だよ」

SF「裁判所で同じことを言えますか?」

私「ノーソックスノーライフで生きたいと思います!」

SF「ノーセックスノーライフって……最低っすね、先輩」

後輩はニヤニヤと笑っています。

私「性的なことが嫌いなくせに、下ネタを振るのが好きなのは変わっていないんだね」

私はため息をつきながら頭を抱えます。

まあ、大学卒業してから後輩と会うのはこれが初めてではないのですけどね。


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