Date:2012/05/07 02:49
前回のあらすじ
きょうの後輩のことば
「現物と同じ下着つけた女の画像をSDカードにつっこんで売るのもありっすねー。で、下着とセット販売すりゃ馬鹿が同じだと思って買いますよ。
あとはマニアのために染みつきも用意しますかー。絶対成功させましょうね、先輩!」
お願いやめて……私を汚さないで……。
*120%CRAAZYは全年齢対象の健全なブログです。
*犯罪を助長するブログではありません。
*犯罪ダメ! ゼッタイ!
きょうの後輩のことば
「現物と同じ下着つけた女の画像をSDカードにつっこんで売るのもありっすねー。で、下着とセット販売すりゃ馬鹿が同じだと思って買いますよ。
あとはマニアのために染みつきも用意しますかー。絶対成功させましょうね、先輩!」
お願いやめて……私を汚さないで……。
*120%CRAAZYは全年齢対象の健全なブログです。
*犯罪を助長するブログではありません。
*犯罪ダメ! ゼッタイ!
プライドと生きる気力、それから羞恥心を捨て去った私に怖いものはありません。
そう思っていました。
でもそれは、勘違いで思いあがりでした。
妹「メイド喫茶やってまーす♪ お待ちしてまーす♪ にゃんにゃーん♪」
SF「先輩、先輩。わたあめ食いましょうよ。私のおっぱいみたいすよ」
私「…………」
どうしてこうなった!?
先ほどから周囲からの視線が痛いです。
「ねぇねぇお母さん、あの人たち」「しっ、見ちゃいけません」なんてリアルで言われるとは思いませんでしたよ。
違うんです、団地にお住まいの奥さま。
それから高校生たちの好奇の視線も痛いです。
「えーマジハーレム!?」「ハーレムが許されるのは二次元までだよね」とかリアルで言われると思いませんでしたよ。
違うんです、ネットスラング好きのお嬢様方。
だって私はラブコメの主人公に向かない人間ですから!
そんなことを高校の廊下で宣言しても意味がないですし、警備員を呼ばれかねないのでやめておきます。
最近の学校のセキュリティは半端ないからやめておいた方がいいですよ、皆さん。
昔はよかった、と懐古主義的変質者がそう言ったかどうかは知りません。
古き良き日本のテレビ番組を懐かしんでいると、偽妹ちゃんが心配そうに顔を覗きこんできました。
妹「ご主人様。大丈夫ですかにゃん?」
私「偽妹ちゃん。もういいよ。にゃんつけなくて」
妹「いいんですか?」
私「うん。というかお願いします」
これ以上「にゃんにゃん♪」言われたら理性が吹っ飛びます。
なんだかこう、今すぐ撫でたり抱いたりしたくなります。
私の左隣には主人の命令に忠実なネコ耳メイドこと偽妹ちゃんがいます。
彼女はプラカードを持ってメイド喫茶の宣伝活動をしています。
休憩中でもメイド喫茶のためにがんばる姿は健気です。
私の右隣にはSF執事こと後輩がいます。
自慢の「すごく・ふかふか」は今も窮屈な思いをさせられています。
そろそろ全国のふかふか好きさんが暴動を起こしても良い頃かと思います。
素朴な疑問を彼女に投げかけました。
私「どうして後輩も来てるの?」
SF「妹と二人きりがよかったんですか」
私「いや、そうじゃなくて」
SF「自分もちょうど休憩だったんすよ」
ごく普通の答えが返ってきました。
あまりに普通だったので適当に相槌をうつだけで話をやめてしまいました。
しかし後輩が話を続けようとします。
SF「先輩。連絡先交換しましょうよ」
私「ああ、いいけど」
SF「お互いの利益のために必要っすから」
私「……」
互いの携帯電話を取り出し、赤外線通信を使って連絡先を交換します。
便利な世の中になったものですね、と懐古主義的偽者がどこかで微笑みました。
後輩はそれからしばらく間、携帯電話の画面を見つめていました。
SF「珍しい苗字っすね」
私「そう?」
妹「あ、私も思ってた。あんまり聞いたことないよね」
SF「先輩の家だけですか?」
私「地元には親戚以外にも同じ苗字の人がいたけど」
二人は何度か頷いて納得したことを教えてくれました。
この少し珍しい苗字のせいで嫌な思いをした経験は関係ないので割愛します。
そんなことより、これからどうしたものでしょうか。
私の手元には今にも爆発しそうな危険物があります。
残念ながら爆弾処理班はまだ到着していません。
そんな危険物を持ち歩きながら文化祭をまわれば現場で誰かの血が流れてしまいます。
Q:どうして現場に血が流れるのですか?
A:人間だからです。みんなみんな生きています。だから血が流れているのです。
問いと答えが全くかみ合っていないのも人間だからです。
そういうことにしておきましょう。
それに早く虹色大橋を封鎖しないとまずいことになりますよ。
ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー。
今日も日本のどこかで有能な警察官が身を粉にして働いていらっしゃることでしょう。
そして一部の警察官は何らかの理由でテレビニュースに取り上げられていることでしょう。
そんな警察とは無縁な位置にいる私は――。
妹「おばけ屋敷に行きましょう、ご主人様」
SF「行こう行こう!」
私「ああ、うん」
二人の女子高生に両手を掴まれていました。
まさに両手に花というものです。
助けて百合姉さん!!
花の名が性的嗜好の先輩を呼んでみましたが、この状況を打破することはできませんでした。
廊下にいる方々の視線がさらに鋭くなりました。
違うんです。
私は無欲ではないかもしれませんが、まだ何もしていないから無実です!
信じてください!
脳内裁判で無実を主張しているうちにおばけ屋敷が催されている教室の前まで連れてこられました。
受付の女子生徒がぎこちない営業スマイルを浮かべて応対してくれます。
女「三名様ですか?」
私「はい」
女「足元に気をつけてお進みください」
料金を払うために財布を出しましたが、どうやら無料なようです。
さすが高校の文化祭です。
私は料金の代わりにうまい棒(サラダ味)を置いてから中に入ります。
続けて偽妹ちゃんと後輩が続きます。
受付の女子生徒はポカーンとしていました。
SF「ここの運営は女子バレーボール部ですよ」
私「へぇ」
SF「だからおばけ役も全員女っす♪」
ほぼ真っ暗な教室でそんなことを言われても反応に困ります。
私を先頭にして進んでいくと、大量に並べられたロッカーが出現しました。
私はそこで立ち止まり、じっくりとロッカーを観察します。
一個目は扉が開いていて、それ以降のロッカーは扉が閉まっています。
私「じゃあ行こうか」
妹「はい……」
SF「二番目のロッカーに気をつけてください!」
私「はぁ……そこは空気読んで黙っておけよ」
妹「え、どういうことですか?」
私はもう一度ため息をついてから歩き始めます。
二個目のロッカーの前を通りかかったところで扉が勢いよく開きました。
バァン!!
女「わぁー!!」
案の定というか予想通りというか、黒ずくめの女子生徒がロッカーから飛び出してきました。
私「わー」
SF「わー」
妹「ビクッ」
私と後輩は用意していた反応を見せます。
偽妹ちゃんは理解が追いついていなかったようで予想以上の驚きを見せます。
そのまま進んでいくと、今度は不気味な井戸を模した造形物が出てきました。
恐らくダンボールにスプレーで塗装したものと思われます。
その井戸には――長い黒髪をだらっと垂らした少女がいます。
SF「先輩。あれは囮ですよ」
私「お前は営業妨害で訴えられろ」
妹「え? え?」
私達は井戸の前を通り過ぎ――。
女「わー!!」
その直後に――。
女「わぁー!!」
今回も私と後輩は用意していた反応を見せます。
偽妹ちゃんは苦笑しながら驚いて見せます。
そうこうしているうちに出口に着いてしまいました。
それから私達は足早にお化け屋敷を離れます。
SF「いやー楽しかったっすねー」
私「お前がいなければもっと楽しめたよ」
私は嫌味な口調で語りかけます。
SF「そんなに妹といっしょが良かったんですかー?」
私「ネタバレしすぎ」
妹「そうだよ。どうしてあんなこと言っちゃうの?」
SF「ごめんごめん。調子に乗りすぎたね」
後輩は申し訳なさそうに答えます。
それからポケットに入れていた携帯電話を確認し始めました。
SF「あ、ごめん。ちょっと喫茶店戻るね」
妹「うん、わかった。またね」
SF「先輩。妹をよろしくお願いします♪」
そう言い残して走っていってしまいました。
私は彼女に声をかけたくて仕方ありませんでした。
けれど偽妹ちゃんの前では声を発することができませんでした。
偽妹ちゃんは私の方を向いて尋ねます。
妹「どうしてご主人様はおばけ役が出てくるところが分かったんですか?」
私「なんとなくだよ」
私は言葉を濁して先を急ぎます。
それを偽妹ちゃんが手と口によって止めました。
妹「嘘つき」
口からは言葉が紡がれ、手はしっかりと繋がれてしまいました。
妹「すーくんは嘘つきだから気をつけなさいってお姉ちゃんが言ってましたよ?」
私「あはは……」
とうとう偽妹ちゃんは人を疑うことを知ってしまったようです。
いえ、この場合は姉のきーちゃんの言葉を信じてしまった結果でしょうか。
しかしどちらにしても問いの答えを教えてあげなければいけないようです。
妹「どうして分かったんですか?」
私「なんというか、これからおどかしますよーっていう分かりやすい演出だったから」
過剰な演出は、時として観客を白けさせてしまいます。
このおばけ屋敷もそうでした。
始めに並べられたロッカーです。
一個目の扉は開けられ、二個目からは閉まっています。
入ってきた人の注意を一個目のロッカーにやり、戸によって死角となっている二個目からドーンという演出は分かりやすいです。
井戸の中の女性も同じです。
井戸の中の女性に注意を向けさせ、完全に意識していなかったもう一人がおどかすという演出も分かりやすいですよね。
けれど、高校の文化祭のお化け屋敷としては上手くできていると思います。
お金を払っても良かったと思えるほど出来の良いおばけ屋敷だと思います。
説明を終えると、偽妹ちゃんがとびきりの笑顔で言いました。
妹「さすがです!」
私「……」
妹「やっぱりご主人様はすごいです。安楽死探偵です!」
私「あはは、安楽椅子探偵ね。ってか探偵じゃないし……」
私は苦笑を浮かべながら歩き始めます。
隣には手と手でがっちり繋がっているネコ耳メイドがいます。
偽妹ちゃんは私に対して過剰な期待をしていると思うのですが、これもまた勘違いや思いあがりでしょうか。
周囲の視線よりも胸の痛みが鋭くなってきました。
その痛みの原因が恋や愛といった甘いものでないことは分かります。
なぜか私は身体に花を宿している少女の名前を呼びたくなりました。
しかし彼女の名前を呼んだところで、現状を打破することは不可能でしょう。
壁掛け時計を確認すると、まだお昼になる前でした。
まだまだ文化祭は続くようです。
そう思っていました。
でもそれは、勘違いで思いあがりでした。
妹「メイド喫茶やってまーす♪ お待ちしてまーす♪ にゃんにゃーん♪」
SF「先輩、先輩。わたあめ食いましょうよ。私のおっぱいみたいすよ」
私「…………」
どうしてこうなった!?
先ほどから周囲からの視線が痛いです。
「ねぇねぇお母さん、あの人たち」「しっ、見ちゃいけません」なんてリアルで言われるとは思いませんでしたよ。
違うんです、団地にお住まいの奥さま。
それから高校生たちの好奇の視線も痛いです。
「えーマジハーレム!?」「ハーレムが許されるのは二次元までだよね」とかリアルで言われると思いませんでしたよ。
違うんです、ネットスラング好きのお嬢様方。
だって私はラブコメの主人公に向かない人間ですから!
そんなことを高校の廊下で宣言しても意味がないですし、警備員を呼ばれかねないのでやめておきます。
最近の学校のセキュリティは半端ないからやめておいた方がいいですよ、皆さん。
昔はよかった、と懐古主義的変質者がそう言ったかどうかは知りません。
古き良き日本のテレビ番組を懐かしんでいると、偽妹ちゃんが心配そうに顔を覗きこんできました。
妹「ご主人様。大丈夫ですかにゃん?」
私「偽妹ちゃん。もういいよ。にゃんつけなくて」
妹「いいんですか?」
私「うん。というかお願いします」
これ以上「にゃんにゃん♪」言われたら理性が吹っ飛びます。
なんだかこう、今すぐ撫でたり抱いたりしたくなります。
私の左隣には主人の命令に忠実なネコ耳メイドこと偽妹ちゃんがいます。
彼女はプラカードを持ってメイド喫茶の宣伝活動をしています。
休憩中でもメイド喫茶のためにがんばる姿は健気です。
私の右隣にはSF執事こと後輩がいます。
自慢の「すごく・ふかふか」は今も窮屈な思いをさせられています。
そろそろ全国のふかふか好きさんが暴動を起こしても良い頃かと思います。
素朴な疑問を彼女に投げかけました。
私「どうして後輩も来てるの?」
SF「妹と二人きりがよかったんですか」
私「いや、そうじゃなくて」
SF「自分もちょうど休憩だったんすよ」
ごく普通の答えが返ってきました。
あまりに普通だったので適当に相槌をうつだけで話をやめてしまいました。
しかし後輩が話を続けようとします。
SF「先輩。連絡先交換しましょうよ」
私「ああ、いいけど」
SF「お互いの利益のために必要っすから」
私「……」
互いの携帯電話を取り出し、赤外線通信を使って連絡先を交換します。
便利な世の中になったものですね、と懐古主義的偽者がどこかで微笑みました。
後輩はそれからしばらく間、携帯電話の画面を見つめていました。
SF「珍しい苗字っすね」
私「そう?」
妹「あ、私も思ってた。あんまり聞いたことないよね」
SF「先輩の家だけですか?」
私「地元には親戚以外にも同じ苗字の人がいたけど」
二人は何度か頷いて納得したことを教えてくれました。
この少し珍しい苗字のせいで嫌な思いをした経験は関係ないので割愛します。
そんなことより、これからどうしたものでしょうか。
私の手元には今にも爆発しそうな危険物があります。
残念ながら爆弾処理班はまだ到着していません。
そんな危険物を持ち歩きながら文化祭をまわれば現場で誰かの血が流れてしまいます。
Q:どうして現場に血が流れるのですか?
A:人間だからです。みんなみんな生きています。だから血が流れているのです。
問いと答えが全くかみ合っていないのも人間だからです。
そういうことにしておきましょう。
それに早く虹色大橋を封鎖しないとまずいことになりますよ。
ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー。
今日も日本のどこかで有能な警察官が身を粉にして働いていらっしゃることでしょう。
そして一部の警察官は何らかの理由でテレビニュースに取り上げられていることでしょう。
そんな警察とは無縁な位置にいる私は――。
妹「おばけ屋敷に行きましょう、ご主人様」
SF「行こう行こう!」
私「ああ、うん」
二人の女子高生に両手を掴まれていました。
まさに両手に花というものです。
助けて百合姉さん!!
花の名が性的嗜好の先輩を呼んでみましたが、この状況を打破することはできませんでした。
廊下にいる方々の視線がさらに鋭くなりました。
違うんです。
私は無欲ではないかもしれませんが、まだ何もしていないから無実です!
信じてください!
脳内裁判で無実を主張しているうちにおばけ屋敷が催されている教室の前まで連れてこられました。
受付の女子生徒がぎこちない営業スマイルを浮かべて応対してくれます。
女「三名様ですか?」
私「はい」
女「足元に気をつけてお進みください」
料金を払うために財布を出しましたが、どうやら無料なようです。
さすが高校の文化祭です。
私は料金の代わりにうまい棒(サラダ味)を置いてから中に入ります。
続けて偽妹ちゃんと後輩が続きます。
受付の女子生徒はポカーンとしていました。
SF「ここの運営は女子バレーボール部ですよ」
私「へぇ」
SF「だからおばけ役も全員女っす♪」
ほぼ真っ暗な教室でそんなことを言われても反応に困ります。
私を先頭にして進んでいくと、大量に並べられたロッカーが出現しました。
私はそこで立ち止まり、じっくりとロッカーを観察します。
一個目は扉が開いていて、それ以降のロッカーは扉が閉まっています。
私「じゃあ行こうか」
妹「はい……」
SF「二番目のロッカーに気をつけてください!」
私「はぁ……そこは空気読んで黙っておけよ」
妹「え、どういうことですか?」
私はもう一度ため息をついてから歩き始めます。
二個目のロッカーの前を通りかかったところで扉が勢いよく開きました。
バァン!!
女「わぁー!!」
案の定というか予想通りというか、黒ずくめの女子生徒がロッカーから飛び出してきました。
私「わー」
SF「わー」
妹「ビクッ」
私と後輩は用意していた反応を見せます。
偽妹ちゃんは理解が追いついていなかったようで予想以上の驚きを見せます。
そのまま進んでいくと、今度は不気味な井戸を模した造形物が出てきました。
恐らくダンボールにスプレーで塗装したものと思われます。
その井戸には――長い黒髪をだらっと垂らした少女がいます。
SF「先輩。あれは囮ですよ」
私「お前は営業妨害で訴えられろ」
妹「え? え?」
私達は井戸の前を通り過ぎ――。
女「わー!!」
その直後に――。
女「わぁー!!」
今回も私と後輩は用意していた反応を見せます。
偽妹ちゃんは苦笑しながら驚いて見せます。
そうこうしているうちに出口に着いてしまいました。
それから私達は足早にお化け屋敷を離れます。
SF「いやー楽しかったっすねー」
私「お前がいなければもっと楽しめたよ」
私は嫌味な口調で語りかけます。
SF「そんなに妹といっしょが良かったんですかー?」
私「ネタバレしすぎ」
妹「そうだよ。どうしてあんなこと言っちゃうの?」
SF「ごめんごめん。調子に乗りすぎたね」
後輩は申し訳なさそうに答えます。
それからポケットに入れていた携帯電話を確認し始めました。
SF「あ、ごめん。ちょっと喫茶店戻るね」
妹「うん、わかった。またね」
SF「先輩。妹をよろしくお願いします♪」
そう言い残して走っていってしまいました。
私は彼女に声をかけたくて仕方ありませんでした。
けれど偽妹ちゃんの前では声を発することができませんでした。
偽妹ちゃんは私の方を向いて尋ねます。
妹「どうしてご主人様はおばけ役が出てくるところが分かったんですか?」
私「なんとなくだよ」
私は言葉を濁して先を急ぎます。
それを偽妹ちゃんが手と口によって止めました。
妹「嘘つき」
口からは言葉が紡がれ、手はしっかりと繋がれてしまいました。
妹「すーくんは嘘つきだから気をつけなさいってお姉ちゃんが言ってましたよ?」
私「あはは……」
とうとう偽妹ちゃんは人を疑うことを知ってしまったようです。
いえ、この場合は姉のきーちゃんの言葉を信じてしまった結果でしょうか。
しかしどちらにしても問いの答えを教えてあげなければいけないようです。
妹「どうして分かったんですか?」
私「なんというか、これからおどかしますよーっていう分かりやすい演出だったから」
過剰な演出は、時として観客を白けさせてしまいます。
このおばけ屋敷もそうでした。
始めに並べられたロッカーです。
一個目の扉は開けられ、二個目からは閉まっています。
入ってきた人の注意を一個目のロッカーにやり、戸によって死角となっている二個目からドーンという演出は分かりやすいです。
井戸の中の女性も同じです。
井戸の中の女性に注意を向けさせ、完全に意識していなかったもう一人がおどかすという演出も分かりやすいですよね。
けれど、高校の文化祭のお化け屋敷としては上手くできていると思います。
お金を払っても良かったと思えるほど出来の良いおばけ屋敷だと思います。
説明を終えると、偽妹ちゃんがとびきりの笑顔で言いました。
妹「さすがです!」
私「……」
妹「やっぱりご主人様はすごいです。安楽死探偵です!」
私「あはは、安楽椅子探偵ね。ってか探偵じゃないし……」
私は苦笑を浮かべながら歩き始めます。
隣には手と手でがっちり繋がっているネコ耳メイドがいます。
偽妹ちゃんは私に対して過剰な期待をしていると思うのですが、これもまた勘違いや思いあがりでしょうか。
周囲の視線よりも胸の痛みが鋭くなってきました。
その痛みの原因が恋や愛といった甘いものでないことは分かります。
なぜか私は身体に花を宿している少女の名前を呼びたくなりました。
しかし彼女の名前を呼んだところで、現状を打破することは不可能でしょう。
壁掛け時計を確認すると、まだお昼になる前でした。
まだまだ文化祭は続くようです。
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