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本『ハーモニー』 伊藤計劃

『ハーモニー』 伊藤計劃 ハヤカワ文庫JA

人間は、なぜ人間なのか。

『虐殺器官』の著者が病床で遺した“最後の”長篇。

 

21世紀後半、<大災禍>という世界的な混乱により各地に核弾頭が落ちた。

人類は放射能のせいで癌になり、世界は病気そのものの駆逐を目指した。

世界は政府を単位とする資本主義的消費社会から、構成員の生命を第一に気遣う生府を基本単位とした医療福祉社会へ移行した。

人間は体内にWatchMeを入れることで健康状態を確認し、傷や病気などは事前にメディケアによって治療を受ける。

この世から怪我や病気は駆逐されることになった。

しかし、それを受け入れられない少女達がいた。

零下堂キアン。

霧慧トァン。

そして御冷ミァハ。

生命主義の健康社会にとって人の身体は公共物としての身体となっている。

つまり自分の身体は自分のものではなく、社会のものでありみんなのものである。

見せかけの優しさや倫理を嫌う彼女たちは、餓死することを選択した。

天才・御冷ミァハの提案により始まった彼女たちの自殺行為。

ただ食事をしないだけではWatchMeから警告が来てしまう。

そこでミァハはメディケアを騙して白い錠剤を作りだした。

それにより普通に食事をしながらも栄養分一切を拒絶することに成功する。

だが自殺自体は……。

それから13年。

あの日死ねなかった霧慧トァンは、大切なものを失ってサハラの戦場にいた。

彼女達が嫌っていた世界を構成する世界保健機構(WHO)の一部局、螺旋監察官事務局の螺旋監察官となって。

たまたま日本に戻ってきたトァンは、もう一人の死ねなかった少女、零下堂キアンと再会する。

久しぶりに再会した彼女たちはあの日のことを話す。

御冷ミァハが自殺した日のことを。

食事をしながら談笑している最中、キアンは突然うつむいて言った。

「うん、ごめんね、ミァハ」

それからナイフを握り、自分の喉元に突き刺した。

同日同時刻、世界中で同じような行為に走った人間達がいたらしい。

再び世界を襲う大混乱。

霧慧トァンは、大混乱の陰にただひとり死んだはずの少女の影を見る。

第三十回日本SF大賞受賞

「ベストSF2009」第一位

第四十回星雲賞日本長編部門受賞

【関連リンク】

本『虐殺器官』


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拍手[6回]

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この記事に対するコメント

無題

こんにちはー(^^)
こちらでみて、興味しんしんだったので、
「虐殺器官」と「ハーモニー」図書館で借りてきました♪
伊藤さんの本は初挑戦です。
読むのが楽しみ(^∀^)

【2011/07/03 17:22】ひいち #5497a502aa(URL)[編集]

無題

こんにちは。

興味を持ってくださってありがとうございます。
ちょうど私も『虐殺器官』を借りてきたところです。
今後もひいちさんの読書活動のお手伝いができればと思っています(´∀`)

【2011/07/04 17:29】three #7dd1f3efa1(URL)[編集]

とうとう

私も「伊藤計劃」作品を読み終わりました。しかし、いつレヴューしようか迷いどころですわ。ハーモニーは虐殺器官の続きって事実がロマンを運んできましたね。

【2013/09/01 19:59】medeski #580b011cf6(URL)[編集]

無題

こんばんは。

私は二作しか読めていませんが、どちらも良かったです。
medeskiさんのレビューを楽しみにしています。

【2013/09/02 21:09】three #4daefb8665()[編集]

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