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本『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸』

『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸』 

アスキー・メディアワークス(電撃文庫)

著:入間人間(いるまひとま) 

イラスト:左

第十三回電撃小説大賞の最終選考会で物議を醸した問題作!

入間人間のデビュー作にして、一躍人気作家に押し上げた代表作!



僕と御園マユが住んでいる田舎街で悪意の極みともいえる事件が二つ。

連続殺人事件と失踪事件だ。

中年のオッサンの惨殺死体が見つかったのを皮切りに、次々に人が殺されていく。

警察や自治会が総出で巡回を行っているが、犯人は捕まえられず、被害者も増やしてしまっている

もう一つの失踪事件が小学生の兄妹がいなくなったということだ。

今までの事件と違い、死体が出ていないことから、誘拐事件ではないかと話されている。

その事件の犯人が同一犯であるのか、別であるのかは分からない。

御園マユ。

僕のクラスメイトで、聡明で、とても美人さんで、すごく大切なひと。

彼女は今、僕の隣にちょこんと座り、無邪気に笑っている。

リビングで、マユと一緒に見ているテレビでは、平穏な我が街で起こった誘拐事件の概要が流れていた。

誘拐は、ある意味殺人より性悪な犯罪だ。

殺人は本人が死んで終了だけど、誘拐は、解放されてから続いてしまう。

ズレた人生を、続けなければいけない。

修正不可能なのに。

理解できなくなった、人の普通ってやつに隷属しながら。

――あ、そういえば。

今度時間があれば、質問してみよう。

まーちゃん、キミは何で、あの子達を誘拐したんですか。って。

僕とまーちゃんは、単なる同級生ではない。

八年前に起きた誘拐事件――その被害者だ。

僕らは、あれ以来どこか壊れてしまっているようだ。

まーちゃんは僕以外いらないみたいだし、僕は嘘つきだし……。

テレビの画面のニュースが切り替わり、連続殺人の新たな被害者が映し出された。

「あれやったの、みーくん?」と、まーちゃんが僕に質問する。

「いいや」と、僕は嘘をついた。

まーちゃん、世界で一番××してる。

嘘だけど。

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