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本『屍人荘の殺人』 今村昌弘

『屍人荘の殺人』 今村昌弘 創元推理文庫



たった一時間半で世界は一変した。


神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と明智恭介。

二人は曰くつきの映研の夏合宿に参加するため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子とペンション紫湛荘を訪れる。

しかし想像だにしなかった事態に見舞われ、一同は籠城を余儀なくされた。

緊張と混乱の夜が明け、部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。

それは連続殺人の幕開けだった!

奇想と謎解きの驚異の融合。

第27回鮎川哲也賞受賞の衝撃のデビュー作。

つづきはネタバレ注意







曰くつきの映研の夏合宿で紫湛荘を訪れた男女数名。

しかし想像だにしなかった事態に見舞われ、一同は籠城を余儀なくされた。

緊張と混乱の夜が明け、部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。

奇想と謎解きの驚異の融合、衝撃のデビュー作という宣伝文句で売り出された本作はすでに映画化漫画化もしている。

鮎川哲也賞は応募規定にはないものの本格トリックを扱ったミステリという条件があるらしくて本作もクローズド・サークルありの密室殺人ありの探偵ありの本格ミステリ。

本作はクローズド・サークルの設定がおもしろい。

古今東西、多くの推理作家たちが絶海の孤島や雪山、電脳空間や異世界などいろいろな形でクローズド・サークルを作ってきたけど、本作はパニックホラーと本格ミステリを合わせたらこうなりましたという感じ。

殺人のトリックにも活かされているので良い。

しかし、それ以上に不満点が多すぎるので心からおもしろかったと言えないのが残念。

文章が読みにくくはないけれど、上手くない。

パニックホラー要素があるなら緊迫感あるシーンも出てくるはずなのにこれがもう……。

新人作家に求めすぎるのは良くないかもしれないけど……。

Amazonレビューで「文章がラノベみたい」とか「キャラクターがラノベっぽい」と酷評されてるけど、ラノベがそんなに好きじゃない私から言わせてもらうと「新人ラノベ作家の方が上手いと思う」というレベルで読むに耐えないシーンや造形が弱いキャラがあるので本当にがんばってほしい。

ミステリ部分に関しても不満があって序盤で犯人の殺人動機が簡単に予想できてしまう。

それもまたミスリードを誘う設定ではあったけれど、犯人の動機は予想通りでなぜアレを殺しに使ったのかという理由が恐ろしく陳腐……。

全体の完成度が残念。

これは作品の1P目に出てくるからネタバレにならないから言ってしまうと本作のクローズド・サークルを人為的に作り出した危険な組織があって、それが本編に全く関わってないところがイラっとした。

私の大嫌いな新人賞応募作なのに続編ありきで風呂敷畳まないやつ。

探偵との繋がりもおざなりだったし

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