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漫画『ルルとミミ』 萩尾望都

漫画『ルルとミミ』 萩尾望都 小学館文庫



萩尾ワールドの原点に触れる初期作品12編!

【ルルとミミ】

萩尾望都デビュー作。

くるくるのまき毛がルル。

さらっとしたおさげがミミ。

なかよしのおちゃめなふたご。

ある朝、ママがキッチンでいそがしそうにケーキを焼いていた。

その日ケーキのコンクールが行われるため、ママはそれに参加するらしい。

ルルとミミはコンクールで一等を取っておかしづくりの天才と言われたいと思い、なれないケーキ作りを始める。

【すてきな魔法】

アンは奇術が大好き。

奇術がじょうずなボーイフレンドをみつけるよりも奇術のタネをみつけることがさき!

ある日植物園で友達の前で奇術をひろうしていると、木の上から男の子が落ちてきた。

男の子はすぐに謝って去っていった。

その翌日、スクールバスでその男の子ジョーイと再会する。

学校に着いてから転校生である彼に教室を案内するアン。

しかし、昨日見た奇術のタネがぜんぶわかったと言うジョーイと口論をしてしまう。

それから奇術のことになると二人は熱くなった。

けれどジョーイの奇術は奇術でなく、彼自身にとっては魔法だと言う

【クールキャット】

クールキャットったらまるであたしたちの言葉がわかるみたいなの。

とってもふしぎなネコちゃん。

――しとしと雨の日――

白いネコがいっぴきポーチで雨やどりしてたの。

それがそもそものはじまり。

お母さんがネコ嫌いだからすぐに追い出すつもりだったけど、外は雨でかわいそうだから中に入れてあげた。

けれどネコはいっぴきではなく、二匹だったの。

それから家族全員でネコを追いだそうとしても二匹はイタズラざんまい。

ネリーブライス家はこのときから二匹のネコに占領されちゃった!

【爆発会社】

21世紀のファッションショーが開かれていた。

もうすぐ自分の番となり、ファッションショーデビューできると考えるディビー。

だが直前で会場に爆弾が仕掛けられたと言われ、会場中の人が避難することになった。

その騒動を起こしたのは、爆発会社のしわざだと言われている。

注文をとってなんでも爆発させてしまう世界中を騒がせているらしい。

社長不明、社員不明、所在不明の会社だ。

デビューに失敗したディビーだが、今度はCMガールとしてデビューすることを決める。

しかしそこでも爆発会社によってカメラが爆発させられる。

今度は漫画でデビューすると決めて、出版社に持ち込みに行くと、そこでは原稿と爆破予告の書類を交換させられてしまう。

エレベーターでいっしょになった男が怪しいと思った彼女は、すぐにその男を捜し出す。

その男はなんと――爆発会社の人間!?

【ポーチで少女が子犬と】

世界中が暗い灰色だわ。

こんな日にはぜんぶの魔法がどこかひとところに集まってるのよ。

ねえムク犬、そんな気がしない?

もうすぐ雨が降りそうな日、ポーチで少女が子犬と遊んでいた。

そこにお医者さんがやってきて言った。

「もうすぐ雨が降るよ。家に入らないと風邪をひいてしまう」

けれども少女は濡れてもかまわないと言って聞かなかった。

それから少女の姉や父、お手伝いさんも家に入るように言った。

それでも少女は言うことを聞かなかった。

その結果、少女は……。

【モードリン】

そうよ。

だれにも言いやしないわ。

こっそりしまっておく。

でもねウイルおじさん。

知っているのよ。

三月のあの嵐の夜のこと。

あたし――モードリンは見たのよ。

嵐の夜、クレーじいやが階下で死んでいるのを見つけた少女モードリン。

クレーじいやの手には腕時計が握られていて、それはウイルおじさんのものだった。

モードリンはその腕時計を持ち去ってしまう。

翌日、葬式が開かれることになる。

ウイルおじさんも参列した。

けれどモードリンは決して腕時計のことを話さなかった。

【かたっぽのふるぐつ】

石油コンビナートの町、Y市。

えんとつと茶色の工場と銀色のタンクのむれ。

ぼくたちの家も学校も商店も畑もみんなスモッグとガスの中にある。

そんなある日、5年B組でさよなら会の準備をしていた。

小出正吾作『ふるぐつホテル』を演劇ですることになった。

もうすぐ春休み。

楽しいさよなら会になりそうだ。

ある日、社会の授業で「公害」について勉強することになった。

公害に勝つ方法をみんなで考える。

けれど、そんなものはないんだ。

【花嫁をひろった男】

占いで「たいへんラッキーなひろいものをする」と出たオスカー。

夜中にハイウェイを車でとばしていると、目の前に花嫁姿の女が飛び出してくる。

まさかこれがたいへんラッキーなひろいもの?

疑いながら話を聞くと、今日結婚式を挙げたばかりの花嫁だった。

しかし花婿は死んでしまったという。

女の名前はキャンディ。

彼女は三度結婚しており、その三度とも結婚して花婿は数時間後には死んでしまっている。

そこに警察が現れ、三人目の花婿が毒殺だったことから事件の容疑者として連行されそうになる。

だがオスカーはキャンディを連れて教会に逃げ込む。

そしてそのまま彼女と婚約してしまう。

果たして、オスカーとキャンディの運命は!?

【小夜の縫うゆかた】

小夜は十四。

十四の夏はひまわりがとても高い。

ゆかた縫わねばなりません。

ゆかた縫うのはむずかしいです。

これはあたしの夏休みの宿題。

今年は赤とんぼの柄。

お母ちゃんが見立ててくれたもの。

少し子どもっぽいかな。

毎年……夏になるとお母ちゃんがゆかたを縫ってくれた。

一日中針箱の前でせっせせっせ盆踊りに間に合うように。

けれど一昨年にお母ちゃんは事故で亡くなってしまった。

【ケネスおじさんとふたご】

男女の双子、ミシェルとボニー。

半月前に母親が亡くなった。

その弟のケネスおじさんが保安官を務めるブラボータウンにやってくる二人。

ケネスは酒場の二階に下宿していたが、子どものために良くないと考え、引越しすることに。

そこで町はずれのチャービーばあさんの持っていた家に住むことになった。

引越しの荷物をまとめている際、動かない金メッキの時計を見つける。

昔に壊れて動かなくなった時計。

けれどケネスの父親が亡くなった日には動き出した。

彼は自分が死ぬ日にも動き出すと信じている。

【ごめんあそばせ!】

ナントカ州のナントカシティのイーストハイスクール。

そこにむかしむかし、ザ・キーロックスというグループサウンズがありました……と。

市のコンクールは半月後。

それなのにドラマーが事故を起こして入院中。

困った彼らはメンバーを募集する。

だが、なかなかドラマーをしてくれる人は来ない。

そこにエマという一年生の女の子が部室にやってきた。

最初は女の子だからとダメと言うが、彼女のスティックさばきを見て考えを変える。

チャームなプレイガールにひっかきまわされたグループサウンズのおそまつな話。

【毛糸玉にじゃれないで】

高校入試を控える中学三年生、小川むつき

志望しているのは偏差値の高い一高。

今の成績だと一高はスレスレだ。
そう考えると頭が痛い。

学校からの帰り道、むつきは汚れた子猫を拾う。

両親には受験勉強にさしつかえると怒られたが、無視して飼い始める。

学校では教師が、家では両親が、高校進学について熱く語る。

みんなが期末テストや受験の勉強で忙しい中、クラスメイトの星くんだけは遊んでばかりいる。

偏差値が低い学校に行くから問題ないらしい。

ネコや星くんがうらやましい。

人生は競争。

無駄ごとなどしている暇はない。

そんなある日、家に帰るとネコがいなくなっていた。


単純に笑える話、恋の話、考えさせられる話、ゾッとする話など幅広いストーリーが楽しめました。

個人的には【ポーチで少女が子犬と】が一番印象に残りました。

コミュニティの和を乱すと、考え方やその人自身を否定し排斥する傾向にある人間の恐ろしさが描かれていると思います。

血の通っていなさそうな人間の顔や少女が消滅させられた瞬間は、本当にゾッとしました。

【かたっぽのふるぐつ】の工業の発展とその公害の重さについて考えさせられました。

【毛糸玉にじゃれないで】では、進路選択を迫られる少女の悩みが描かれていました。

高い偏差値の学校にギリギリで入ってずっと勉強漬けでがんばるのか。

低い偏差値の学校に入って勉強や遊び、部活動や恋愛など色々なことができるところに入るのか。

どちらが幸せか、それは人それぞれ違いますからね。

巻末の山岸涼子さんによるエッセイもおもしろかったです。

新人だった頃の萩尾望都さんのエピソードには笑わされました(・∀・)

編集部に持って行ったネームがボツにされ、練馬にある家に戻ろうとしていた萩尾望都さん。

意気消沈した萩尾望都さんは、畑だらけの道をとぼとぼ歩いていたそうです。

そこに痴漢が現れ、彼女は羽交い締めにされたそうです。

普通なら悲鳴をあげるところですが、彼女はこう言いました。

「今、それどころじゃないから!」

萩尾望都さんの対応はおもしろいけど、キャベツ畑に現れる痴漢というのも色々おかしいですよね。

【関連リンク】

漫画『訪問者』 

漫画『ルルとミミ』 


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