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昔話『ネコ耳メイドとSF執事、そして安楽死探偵』22

前回のあらすじ

ヒーローは遅れてやってくる







小さい頃の私は、ヒーローが好きでした。

助けを呼んだらすぐに来てくれて、困ったら助けてくれて、挫けそうになったら支えてくれるのがヒーローです。

間接的でも直接的でも人を救う存在、それがヒーローです。

しかし、現実のヒーローはそう簡単には姿を現しません。

ええ、ヒーローですから。

市民の目の前にバンバン登場するヒーローなんて本物ではありません。

そんな世俗にまみれたヒーローは認めません!

ヒーローを神聖視するあまり、了見の狭い考え方になってしまいました。

あなたはヒーローの存在をどう思いますか?

あなたには助けてくれるヒーローがいますか?

というか、現実にヒーローなんているのでしょうか。

「悪魔の証明」と同じように「ヒーローの証明」があっても良いのではないでしょうか。

まあ、そんなことはどうでもいいのです(・∀・)キニシナイ♪

私「昔は愛と勇気だけが友達なんて寂しい奴だと思ったけど、世の中には友達が一人もいない人もいるわけだから、最も寂しいのは……」

SF「それ以上言ってはいけない!」

私「バイキンマンはいいキャラしてるよね。散り際の美学というものを分かってる」

SF「散り際の美学って何すか。ていうか、私の話聞く気あります?」

私「あるある。超あるよー」

そう言いつつお菓子をつまんで食べます。

うん、塩気が効いていて美味しいです。

SF「うっざ。大学生ホントうざいっすね」

私一人の発言だけで世の大学生の価値を下げてしまいました。

ごめんね☆

許してね♪

私を叩きたい方は言葉ではなく拳でお願いします。

そうです、今すぐ拳を握ってパソコン画面を叩くのです。

それからキーボードを叩くのです。

大学生の前に『現役女子』という単語を加えてみましょう。

あら不思議。

途端に市場価値が跳ね上がりましたね♪

私「性的なものが嫌い……ってどういう意味?」

SF「そのままの意味ですよ」

後輩はそれ以上のことを教えてくれませんでした。

いくつか質問をしてみますが、適当に返事するだけではぐらかされてしまいます。

仕方ありません。

ここ最近使っていなかったアレを使う時が来たようです。

四次元ポケットから取り出したるは……頭脳です(・ワ・)パーパパーパパパパパーン

皆さんは、ドロドロで救いのない展開でおなじみの昼ドラをご存知ですか?

ふとテレビをつけた時に放送されていると見てしまいますよね。

「この泥棒猫! キイィー!」なんて科白、現実ではなかなか耳にすることができません。

今回はその昼ドラ的に後輩の抱える心の闇を推理したいと思います。

昼ドラに登場する女性のことを考えると、異性恐怖症の原因はいくつか絞られてきます。

・レイプ被害

・誘拐監禁

・痴漢被害

・家庭内の性的虐待

・セクシャルハラスメント

この中のどれなのか、この中のどれでもないのか、私には分かりません。

確かめる術はいくつかありますが、確実なのは一つだけです。

しかし、それを実行してしまうと彼女の傷をさらに抉りかねません。

さて、どうしたものでしょうか。

異性恐怖症の原因ですよねー。

分かりませんねー。























違いますね。

そもそも前提条件が違いました。

後輩の異性恐怖症の原因を探るのではなく、後輩の性的嫌悪の原因を探るのです。

勝手に条件を変えてしまっては、間違った答えしか出なくなってしまいます。

それから昼ドラ的に考えるのではなく、後輩のことをしっかりと考えましょう。

後輩とは今日知り合ったばかりですし、知らないことの方が多いです。

しかし、少ない情報でも分かることはあります。

私「どうしてメイド服じゃなくて執事服なの?」

SF「……男の嫌な視線を避けるためです」

なるほど。

執事服を着ているのは大きな胸を隠すためでしょう。

男性とは、大小に関わらず女性の胸に目を向けてしまう生き物だそうです。

その男性の視線は、彼女が嫌悪する性的なものではないでしょうか。

普段からそういった視線に悩まされているのですから、今日ぐらいは悩まされずに文化祭を楽しみたかったのではないかと思います。

私「あの時、うまい棒を売りつけてきた女子高生のことを睨みつけたのも同じ理由?」

SF「……」

もしかしたら、ここらへんに何かあるのでしょうか。

援助交際をする女子高生ですか。

数年前のマスコミが昼のワイドショウや夕方のニュース番組でこぞって特集していたネタです。

昔の話だと思っていましたが、今の話でもあるのですね。

身近に援助交際をする知り合いがいなかったので知りませんでした。

私「確かに援助交際も性的なものだけど、他人事だと考えればいいんじゃないの?」

SF「……」

私「それとも他人事じゃないから援助交際する彼女達を嫌悪するのかな」

私の想像力ではこれが限界でした。

あの時、どうして彼女はあの子達が援助交際していることを暴露したのでしょうか。

どうしてわざわざそんなことを話す必要があったのでしょうか。

初対面の平凡な大学生に話す必要性なんてどこにもありません。

あれはきっと救いを求めるサインだったのです。

「これは私の友達の話なんだけど……」という語り口で始まった話のほとんどは、大体が本人の話だと決まっています。

だから「あいつら援助交際やってますよ」とは「わたし、援助交際やってました」という意味につながるのです。

きっと後輩には援助交際をしていた過去があるのでしょう。

そして過去の罪の意識に苛まれているうちに性的なものを嫌悪するようになったのです。

それが援助交際をする女子高生を嫌悪するようになり、昔の自分を見ているようで自己嫌悪するようにもなってしまいました。

そこに私登場です(・∀・)ババーン!

偽妹ちゃんを見事に華麗に斬新に救ってみせた私です。

普段は「謙遜」と書いて私の本名「××××」と読ませていますが、今回は「救いのヒーロー」と書いて「××××」と読ませます。

偽妹ちゃんから私の武勇伝を聞いた後輩は、救いを求めて彼女達のことを暴露したのでしょう。

頭の中で理論は作られました。

後はそれを後輩に伝えるだけです。

さて、今回も見事に華麗に斬新に救ってみせます。

ここまでだんまりを決め込んでいた後輩が口を開きました。

SF「さすがっすね、先輩。当たりです」

私「いやいや。それほどでも」

SF「そう、他人事じゃないんすよ。だからムカつくんすよ、あいつらを見てると」

うんうん、そうでしょうね。

かつて援助交際をしている自分を見ているようで辛いのでしょう。

SF「先輩。私の話を聞いてくれますか?」

私「いいよ。何でも聞くよ」

私は愛想笑いを浮かべると、後輩は俯いていた顔をあげました。

そこには、死人のような目つきでこちらを睨みつける少女の顔がありました。

目は死んでいるのに、憎悪や狂気が入り混じったような視線です。

SF「私は性的なものを嫌悪しています」

私「うん。それは……」

SF「それは私の母親が関係しています」

私「え……?」





















SF「私の母親は――風俗嬢です」

どうやら私は、とんでもない勘違いをしていたようです。

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