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昔話『ネコ耳メイドとSF執事、そして安楽死探偵』5

前回のあらすじ

サイズ早見表

SF > 傷女 > 胸囲のマッドサイエンティスト > 桃色狂気 > むにゅ





先導してくれるSF少女の後ろについて私達は歩き続けます。

彼女は偽妹ちゃんと同じセーラー服を着ています。

同じ高校の生徒なのだから当然ですよね。

私「これからどこへ行くの?」

私は尋ねました。

き「妹ちゃんとSFちゃんの教室だよ」

きーちゃんは答えます。

私「ふーん。そこでは何をやってるの?」

き「着いてからのお楽しみだよ♪」

もったいぶって何も教えてくれません。

私は前を歩くSF少女に声をかけようと思いましたが、残念ながら彼女の本名を知りません。

初対面の私が馴れなれしく「SFちゃん」と呼ぶのは失礼にあたると思います。

かといって「ねぇねぇ、そこの可愛い子ちゃん!」と呼んでしまっては私の神経が疑われてしまいます。

私「えーと、おーい」

SF「何すか?」

私「君の名前を聞いてもいい?」

SF「後輩でいいっすよ、先輩」

私「後輩?」

SF「ええ、後輩と呼んでください」

私「はぁ。わかった」

SF「よろしくっす!」

なんだか、よく分からない子ですね。

会っていきなり私のことを貶したかと思えば、今では態度もキャラも違っていますよ。

前の彼女と後の彼女――。

どちらが本物で、どちらが偽物なのでしょうか。

まあ、どっちでもいいんですけどね。

というか、どうでもいいんですけどね。

私は歩きながら先ほどと同じ内容の質問を後輩に尋ねます。

私「後輩」

SF「なんすか?」

私「後輩のクラスでは何をやるの?」

SF「秘密っす♪」

またしても教えてもらえませんでした。

仕方なく私は黙って彼女の後ろをついて行くことにします。

『お化け屋敷』『駄菓子屋』と書かれた看板が掲げられた教室の前を通り過ぎていきます。

するとその先には、とても派手な装飾が施された看板が私達を出迎えてくれました。

友「これって……」

私「メイド喫茶だね」

そっと中を覗いてみると、学ランを着た男子生徒が数人とブレザーを着た女子生徒が数人いました。

男子生徒はこの学校の生徒で、女子生徒は他校の生徒のようですね。

どちらのグループもお菓子を食べたり飲み物を飲んだりと、楽しそうにおしゃべりしています。

猫耳ロボットを見るためにここまで来ましたが、まさかメイドを見ることになるとは思いませんでした。

なかなか入ろうとしない私達を入れるために、後輩が大きな声で言いました。

SF「三名様ご来店でーす!!」

それを聞いた一人のメイドがとことこやってきて定番の挨拶をしてくれます。

メ「お帰りなさいませ、ご主人様、お嬢様♪」

メイドの営業スマイルは少し強張っていましたが、とっても可愛い女の子でした。

正義の第一条件が強いことであるように、メイドの第一条件は可愛いことなのかもしれません。

メイドと後輩に促されて奥のテーブル席に通されました。

メ「ご注文が決まりましたらお呼びください♪」

手書きのメニュー表を渡すと、メイドは机とカーテンで仕切られた裏方に戻っていきました。

裏方では何やら楽しそうな声が聞こえます。

お菓子や飲み物の準備でもしているのでしょうか。

ありもしない透視能力を使って裏方を覗こうとする私に、SFが興奮気味に聞いてきました。

SF「どうすか!? どうっすか!?」

私「何が?」

何について聞いているのか全く分かりません。

透視能力なんてないから裏方の様子は伝えられませんよ?

SF「あの子、超エロくないすか!?」

私「お前はクラスメイトを何だと思ってるんだよ(´Д`;)」

SF「いやー、先輩の好みは年下ロリと聞いてたんすけどねー」

私「ちょっと待て。私はロリコンじゃねぇ!!」

SF「あはは」

彼女は笑いながら裏方に入っていきました。

それにしても誰がそんな偽情報を流したのでしょうか。

いや、大体の見当はついていますけど……。

私は間違った情報を流したであろう女の子を見ます。

すると彼女は、彼氏と寄り添って一枚のメニュー表を眺めているではありませんか。

そんな甘い空間を作り出されてしまっては何も言えません。

私の視線に気がついたきーちゃんが首を傾げて聞いてきました。

き「どうしたの?」

私「なんというか、私って邪魔だよね」

き「どうして?」

私「いや、だって……」

メ「ご、ご注文はお決まりでしょうか?」

先ほどのメイドが注文を聞くためにやってきたのだと思いました。

私「あ、すみません。まだ……」

そう言いながら振り返って姿を確認すると、先ほどのメイドとは違う女の子が立っていました。

妹「お、お帰りなさいませ。おにいちゃん」

私「偽妹ちゃん?」

何ということでしょう。

先ほどまでセーラー服だった偽妹ちゃんがメイド服に着替えて立っていました。

劇的ビフォーアフターとは、この子のためにある言葉ですね。

顔を真っ赤にさせて俯いている女の子を眺めるのは楽しいです。

しかし何の反応もしないのは可哀相なので、すぐに率直な感想を述べました。

私「似合ってるよ」

妹「ホ、ホントですか?」

私「うん。すごくかわいい」

私はとびきりの愛想笑いを込めて言ってあげました。

浮かべた表情は偽物だとしても抱えた感情は本物です。

き「お持ち帰りしちゃえば?」

妹「え!?」

私「なんでだよ……」

一家に一台、猫耳ロボットの時代は終わりました。

これからは一家に一人、メイドの時代の始まりですか。















悪くないですね(・∀・)

き「すーくんは一人暮らしだからちょうど良いよ」

私「きーちゃんは実の妹を何だと思ってるの?」

き「大切な家族だよ♪」

私「いや、まあ、そうなんだけどね」

話が長くなりそうですし、注文を取りに来た偽妹ちゃんを立たせたままなのは色々問題ですね。

そう思った私は、一番安いセットメニューを三つ注文しました。

妹「はい。ありがとうございます」

偽妹ちゃんはそれを伝票に書き込むと、にっこり笑って裏方に戻っていきました。

フリルのついたメイド服をふわふわさせて。

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