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ショートショート『チョコちゃん』

チョコレートが大好きな女の子がいました。
その子はバレンタインデーに仲良しのお友達にチョコレートをあげることにしました。
パパとママのお手伝いをしておこづかいをもらい、お友達が好みそうなチョコレートを買います。
そして……。

※実際に起こりかけたできごとを基に書きました。







ショートショート『チョコちゃん』

 あたしの名前はチャコ。
 好きなものはチョコレート。
 クッキーはチョコチップが入っているものがいい。
 バニラアイスよりもだんぜんチョコレートアイス。
 友達はみんなイチゴのショートケーキが好きだけど、あたしはチョコレートケーキのほうが好き。
 スーパーマーケットに行く時は、お肉を買い忘れてもチョコレートだけは忘れない。
 レストランに行った時は、お子さまランチを食べなくてもチョコレートパフェはぜったいに食べる。
 それくらいチョコレートが大好きなの。
「チャコは本当にチョコレートが好きだね。そんなにチョコレートが好きなら、これからはチャコじゃなくてチョコと呼ぼうか」
 パパとママからそうよばれると、大好きなチョコレートになったみたいでちょっとうれしい。



 いつものようにママとスーパーマーケットにいったらビックリ。
 だって、おかしコーナーいがいにもチョコレートがたくさんあるんだもの。
 今まで見たことのないチョコレートばっかりでどれもおいしそう。
 だけど、いったいどうして?
 今日からスーパーマーケットじゃなくてチョコレートマーケットになっちゃったの?
「もうすぐバレンタインデーね」
「ママ。バレンタインデーってなあに?」
「チョコレートといっしょに想いを伝える日よ。チョコちゃんも仲よしの子にチョコレートをあげようか」



 ママがおしえてくれたとき、あたしはすぐにおとなりさんのことを思い出した。
 おとなりさんにはおじさんとおばさん、中学生のおねえさんとそれからチョコちゃんがいる。
 本当の名前はわからないけど、たぶんあたしと同じでチョコレートが好きなんだと思う。
 いつもおしゃれな服をきていて、おばさんといっしょにおさんぽしたり、お庭であたしといっしょにかけっこしたり、元気で明るい女の子。
「チョコちゃんたちは本当の姉妹みたいね」
 おばさんはあたしたちのことを見てこう言う。
 あたしは一人っ子だから妹ができたみたいでちょっとうれしい。
 だからバレンタインデーには、チョコちゃんにチョコレートをあげようとおもったの。



 パパとママのお手伝いをしておこづかいをもらった。
 それから生まれてはじめて自分でチョコレートを買ったよ。
 バレンタインデーの朝、あたしは一人でおとなりさんちにいった。
 チョコちゃんはもう起きていて、元気いっぱいにお庭であそんでいた。
「おはよう」
 あたしがあいさつしても気づいてくれない。
「今日はプレゼントがあるの」
 あたしはつつみ紙をあける。
「大好きだよチョコちゃん。これからも仲よくしてね」
 手のひらの上にチョコレートをのせて想いを伝えると、ようやく気づいてくれた。
 チョコちゃんは、うれしそうに走ってきて言った。




























「ワン!」

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