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昔話『笑年傷女』 2

前回のあらすじ

不吉な13番





R「バカだなぁ」

私「だよねぇ」

R「女の子にしつこくするのはダメだよ」

私「それは身を持って知ったよ」

Rは微笑を浮かべ、私は苦笑しました。

隣の席の女子は教室を出て行ったきり、戻ってきませんでした。

担任教師は少し心配していましたが、職務放棄するわけにもいかず、数分後には教壇に立っていました。

クラスメイトは私のことを心配してくれましたが、彼女のことは少しも心配していなかったです。

私はクラスメイトの一人に尋ねました。

私「彼女の名前って何だっけ?」

ク「え……?」

クラスメイトは、どうしてそんなことを聞くのかと言いたげな表情をしています。

それでもすぐに口を開いて彼女の本名を教えてくれました。

私は感謝の言葉を述べて、その子の名前を頭の中で思い浮かべます。

新しいクラスになってもう3カ月ほど経っています。

そろそろクラスメイトの顔と名前を覚えたと思っていましたが、彼女の名前は記憶の片隅にすら入っていませんでした。

ふと気になったのでRに聞いてみます。

私「Rは彼女のことを知ってた?」

R「1年生のときから同じクラスだよ」

私「ああ、そうなんだ」

私は納得したような表情を浮かべ、Rは不快そうな表情になりました。

どんな女性でも惹きつける魅力を持つRが、女性の話題でこれほど不快な顔になるのは初めてのことです。

R「あの子はやめといた方がいいよ」

私「どういうこと?」

R「初めての恋人にはオススメできない」

誰もあの子を恋人にしたいなんて考えていません。

それに、初対面で殴られるという最悪の出会いを果たしている私が彼女と結ばれることはないです。

ええ、絶対にないです。

あの出会いから結ばれることがあるとしたら、よほどマゾヒストの資質がないと無理だと思います。

私「別に恋はしてない」

R「どちらにしてもこれ以上関わらない方がいいよ」

私「ふーん」

R「自分の才能を理解してるなら、ね」

私「……」

最後に笑えないことを言い残してRは去っていきました。

屋上に残された私は、なかなか沈まない太陽に向かって叫びたくなりました。

もちろん叫びませんけどね。

海に向かって叫ぶとか太陽に向かって叫ぶという行為は、私のような人間がやっても意味がないのですよ。

そういう行為は、考えることを放棄してだらだらと生きている方がやるべきだと思います。

まあ、どちらにしても意味がないですけどね。

叫んで何かを得られるのは二次元の世界だけと決まっています。

帰りたくないけれど帰らなければいけない家にそろそろ帰ることにしました。

そろそろ鍵の施錠確認のために教師がやってくる可能性もありますからね。

屋上に出られる扉の鍵を閉め、私は階段をゆっくりと下りていきます。

屋上付近に人が来ることはほとんどありませんが、鍵は鞄の中に隠しておきます。

これは職員室から盗んだ鍵ではなく、盗んだ鍵から作った合鍵です。

毎朝屋上でボクシングをするのに、いちいち職員室に行って鍵を盗むのは面倒になっていました。

そこで私は、職員室から盗んだ鍵を便利屋に頼んで複製してもらいました。

私(困った時はアラブさんの力を借りましょう♪)

そう考えながら歩いていると、校舎の女子トイレから誰かが出てきました。

私「あ……」

女「っ……」

彼女の手にはナイフが握られていました。

私を傷つけたその手は、今度は誰を傷つけたのでしょう。

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この記事に対するコメント

無題

犯人は絶対にその女ですね!

【2012/03/17 20:24】ウンチ #469e752903(URL)[編集]

無題

初めまして、ウンチさん。

ええ、もうこれは確定ですよね。
ただ、被害者は誰なんでしょう。

【2012/03/19 00:14】three #7dd1f3efa1()[編集]

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