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昔話『ドウゲン坂から』4

前回のあらすじ

「まるで安っぽいエロゲーだ」

「どういうこと?」

「俺たちは本当の兄妹じゃないってこと」

「そうですね」

「え?」

「え?」

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偽妹ちゃんの表情が先ほどよりも強張っているように見えます。

何をそんなに驚いているのだろうと思いつつ彼女の視線の先を追います。

小さい男の子を連れたご夫婦は通り過ぎました。

化粧をした中学生の女子集団も話に夢中になっていて私たちの存在に気づいていません。

私の視界の中から人が出たり入ったりしています。

しかし中にはずっと私の視界に入ったままの人がいました。

黒い学生服を着た男子高校生です。

背格好から察するにサッカー部のレギュラーでポジションはミッドフィルダーだと思います。

もしくはバスケットボール部のポイントガードでしょう。

きっと自宅の本棚には『エリアの騎士』や『SLAM DUNK』がありますよ!!

まあ、そんなことはどうでもいいのです(・∀・)キニシナイ♪

デパートの壁に寄りかかった男子高校生は、偽妹ちゃんのことをじっと眺めています。

彼女の着ているセーラー服がそんなに珍しいのでしょうか。

私(この年齢でセーラー服フェチなのかな)

私がよからぬことを考えていたら、彼が顔だけ私に向けてきました。

私(心が読めるのかっ!?)

一人で勝手に盛り上がってまいりました。

しかし男子学生は私には何の興味も示さず、壁に預けていた体を起こして歩いていってしまいました。

私「学校のお友達?」

私は偽妹ちゃんに聞きます。

妹「……」

偽妹ちゃんは何も答えません。

私達はさっき通ってきた道を戻ることにしました。

歩きながらさっき出会った男子学生のことを思い浮かべます。

偽妹ちゃんの知り合いであることは間違いないでしょう。

私の知り合いということは間違ってもありませんからね。

あんなまともそうな人は私の友人や知人にはほとんどいませんから。

私(さっきの彼は、偽妹ちゃんの昔付き合っていた彼氏のポジションなんだろうなー)

さて、こんな時は一体どうしたらいいのでしょう。

偽妹ちゃんは黙々と歩いていきますが、何か声をかけてあげるできなのでしょうか。

私はラブコメに向かないタイプの人間だからわかりません!














ごめんなさい、言い訳です。

二次元の経験値ならRPGゲームをやれば得られるんですよねー。

でも私はゲームなんて全くやらないんですよねー。

三次元での経験値ってどうすれば得られるんですかねー。

誰か知りませんかねー。

そろそろずれまくった論旨を元に戻しましょうかー。

こういう時のためにラブプラスとかアマガミとかやっておくべきでしたよねー。

しかし残念ながらDSもPSPも持っていないのですよねー。














戻っていない……だと……















私(助けてド○えもーん

心の中で青い猫型ロボットに助けを求めると、その言葉に反応したかのように偽妹ちゃんの動きが止まります。

偽妹ちゃんも心の声を読めるのかと一瞬驚きました。

まあ嘘ですけどね。

妹「おにいちゃん」

私「なに?」

妹「本屋さんに行きませんか?」

私「いいよ」

駅前のTSUTAYAさんでビートルズやセックスピストルズのCDを借りないで、私たちはブックコーナーへ行こうと思います。

エレベーター乗り場の前は人がいっぱいで混んでいます。

だから私達はエスカレーターに乗ってブックコーナーへ向かいます。

私「何か欲しい本があるの?」

妹「いいえ。でも、本屋さんて欲しい本がなくても行きたくなりません?」

私「あー、わかるかも」

そんなことを話しているうちにブックフロアに到着です。

ここにもたくさんの人がいて混雑しています。

妹「おにいちゃんは小説好きですか?」

私「好きだよ」

妹「お互いにオススメの本を教え合いませんか?」

私「いいけど、小説ならジャンルは何でもいいの?」

妹「はい。じゃあ決まったら見せ合いましょうね☆」

私「……」

そう言い残して文庫本の詰まった棚に歩いて行きました。

一人残された私は周りにいた人達を見回します。

何人かの男性女性がサッと目をそらしていました。

この場で「私はラブコメの主人公に向いていません」と声を大にして宣言したくなりました。

私(禁忌は犯してないよー。ホントだよー。怖くないよー。信じてよー)

誰かに何かを訴えながら私も歩き出します。

私が買うのは大半が文庫本ですが、そこには偽妹ちゃんがいるから行きません。

平積みされたハードカバーの本を横目に通り過ぎて、縦に並べられたハードカバーの棚を真正面に眺めます。

どれにしようかな、かみさまのいうとおり……に決めたら私のオススメではなくなってしまいますね。

私(なんか、面倒くさいなぁ)
















妹「おにいちゃん!」
















そこに一冊の文庫本を両手で抱えた女の子がやってきました。

私の……偽妹です。

実の妹は、私の記憶が正しければ日本のどこかで生きているでしょう。

死にぞこないの死にたがりは遺伝ではありませんからね。

私「早かったね。もう決まったんだ」

妹「はい」

そうして差し出した本の題名は――。


















本『人間失格』 太宰治


















私「………………」



















えーと、これは……私が人間失格であると宣告されたと理解していいですか?

私「おもしろいよね『人間失格』」

妹「読んだことあったんですか?」

私「うん。つい最近だけど」

妹「私、何度も読み返しました」

そう言った偽妹ちゃんの笑顔にはどこか影がありました。


わざわざ…
        わざわざ…

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