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本『真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ』 大沼紀子

『真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ』 大沼紀子 ポプラ文庫 

あたたかい食卓がなくても、パンは誰にでも平等においしい。



舞台は東京都世田谷区三軒茶屋――。

そのパン屋は駅から少し離れた、住宅街の手前あたりにポツンとある。

お店の名前はブランジェリークレバヤシ、フランス語でパン屋クレバヤシという意味だ。

一風変わったそのパン屋の営業時間は、午後二十三時から午前二十九時。

真夜中の間だけ、開くパン屋である。

その店を切り盛りするのは二人の男。

柔和な雰囲気を漂わせている眼鏡をかけたオーナー、暮林陽介。

整った顔立ちと素晴らしいパン制作技術を持つ超自信家のブランジェ、柳弘基。

半年前から始めたそのパン屋の来客者はまだ多くないが、閑古鳥が鳴くほどでもない。

彼らの願いはただ一つ。

うまいパンが、全人類に行き渡りますように――。

そんな二人のもとに突如現れた女子高生、篠崎希実。

彼女は暮林の死んだ妻、暮林美和子の――腹違いの妹だと名乗った。

その子はブランジェリークレバヤシが始まって以来の不安材料となった。

カッコウの托卵のように他人の家に預けられてきた境遇を持つ女子高生、篠崎希実。

昼も夜も関係なく街中を歩きまわる小学生、水野こだま。

他人の生活を覗き見る変態引きこもりの斑目裕也。

ホームレス生活を続けるニューハーフ、ソフィア。

それぞれ悩みや問題を抱えている人達がパン屋に集まる。

そして騒動に巻き込まれていく。

それでもみんなは協力し、助け合い、一つ一つの問題や悩みに向き合って生きていくのだ。


つづきはネタバレ注意。

本『真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ』 大沼紀子

本『真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒』 大沼紀子

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深夜営業の変わったパン屋の店員たちとそこにやってくる変わった客たちの物語です。

構成、キャラ造形、キャラの動き、物語進行など色々上手いです。

連作短編だから一つの作品を深く掘り下げて書きすぎるとバランス悪くなりますが、これはちょうどいいです。

久しぶりに心からおもしろいと言える作品に出会えました(・∀・)

全て丸く収まってみんな幸せー、ではなく、程よいアクが残って良い終わり方です。

解決できていない、解明できていない問題もありますが、続編が書かれるのでしょうか。

そうだとしたら嬉しいですね。

しかし残念なところもあります。

せっかく舞台設定がされているのに、舞台が三軒茶屋である必要性が全くないです。

地名や建物が出てくるわけでもないです。

わざとぼかしているのかもしれませんが、それなら舞台はどこでもいいじゃないですか。

個性と役割がはっきりしたキャラ達を動かすのがとても上手いのに、舞台を活かせていないのがとても残念でした。

あと、この人たちいつ休んでるのですか?

単純な疑問ですが、とても大事なことだと思います。

拍手[7回]

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この記事に対するコメント

無題

パン屋が深夜にしか営業していないというのも、不思議な形態ですね。

ツッコミどころは読んでいないのでアレですが、読む作品候補に加えてみますかね♪

【2012/06/14 02:27】光一 #5331d7ba51(URL)[編集]

無題

不思議な形態のパン屋さんに関わる不思議な人たちの不思議なお話です。私はおもしろい作品だと思いました。

ぜひご一読ください。

【2012/06/14 21:50】three #7dd1f3efa1()[編集]

無題

「真夜中のパン屋さん」探したけれどなくって、
今は「ばら色タイムカプセル」読んでいます(^^)

【2012/06/15 10:10】ひいち #5497a502aa()[編集]

無題

発刊されてからしばらく経ちましたが、今でも本屋で平積みされている作品です。続編も刊行されましたから人気なのだと思います。図書館でも借りられる日が来るといいですね。

同じ作者さんの作品ですか。おもしろかったら教えてください♪

【2012/06/15 20:02】three #7dd1f3efa1()[編集]

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