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本『きみとぼくの壊れた世界』 西尾維新

『きみとぼくの壊れた世界』 西尾維新 講談社ノベルス

人生は罰ゲームなんです。

心当たりがないんですか?



禁じられた一線を現在進行形で踏み越えつつある兄妹、櫃内様刻(ひつうちさまとき)と櫃内夜月(ひつうちよるつき)。

二人の関係はブラコンやシスコンという俗っぽい単語で形容できるものでなかった。

友人の迎槻箱彦(むかえづきはこひこ)はそんな兄妹関係を心底呆れながらも心配していた。

そして心配していた出来事が起きてしまう。

クラスの女子と親しくしてほしくないという妹のお願いにより、櫃内様刻は友人の琴原りりすに対して一種の絶交宣言をしてしまう。

やわらかいニュアンスで伝えたはずが彼の意志は伝わらず、琴原との関係は悪くなってしまった。

その日の授業中、様刻は歴史の教科書にあった落書きを見つける。

それを書いたのは病院坂黒猫(びょういんざかくろねこ)以外にいないと考え、その落書きに書かれたメッセージ通り、昼休みに保健室へ向かった。

病院坂黒猫――元登校拒否児であり、今は保健室登校する女子生徒である。

保健室にいながらにして様々な情報を得ている病院坂黒猫は、櫃内様刻に一つの情報を与える。

それは彼にとって最も大切な存在の妹に関係することだった。

その日の放課後、様刻は妹の夜月がいる二年生の教室へ向かう。

彼女にちょっかいを出しているという男、数沢六人(かずさわろくにん)を衆人環視のもとでしめあげた。

これにより夜月が抱いていた不安は解消され、問題は琴原りりすとの仲直りだけとなった。

翌日、櫃内様刻が教室に遅れてやってくると迎槻箱彦が来る。

いつものシスコン非難かと思ったら数沢六人との喧嘩のことだった。

箱彦は剣道部の部長で、数沢六人も剣道部に所属していたからすぐにわかったのだ。

箱彦は様刻に放課後七時に剣道場に来るよう命じて去っていった。

その後、様刻は七時になるまで保健室で病院坂黒猫と将棋に興じた。

それから七時前に剣道場へ行くと箱彦が数沢六人のことをしばきあげていたところだった。

数沢六人が櫃内様刻に復讐をしないようにという箱彦なりの配慮だと知る。

同時に琴原りりすとの関係も修復され、妹の夜月とは今まで以上の仲になることができた。

櫃内様刻にとってすべての問題が終わった、そう思えた。

だが翌日、数沢六人が学園内で死体となって発見された。

様刻は病院坂黒猫とともに事件の解決ではなく、事件の立証を開始する。

そして浮かび上がった容疑者は――。

イラストは漫画変ゼミ(1) (モーニングKC)のTAGRO

きみぼくシリーズ第一弾!!

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シリーズ作品の第一作としてはこんなものかなーというのが最初の感想です。

殺人のトリックはかなり薄いです。

ミステリとして読むと失望される方もいるかもしれません。

しかし読者が西尾維新の作品に求めているのは、ミステリ要素よりも別要素の方が強いから大丈夫ですよね(・∀・)ネー

本の半分以上を占めそうな言葉遊びとかテンプレなのに妙に濃ゆい登場人物たちの掛け合いとか……。

この作品では、倫理観や道徳心をドブにぶん投げた登場人物たちが『高校』という狭い世界でミステリしたり青春したりします。

それから本格推理小説とは、江戸川乱歩とは、小説家とは、という自論や一般論を語っちゃいます。

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