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本『西の魔女が死んだ』 梨木香歩

『西の魔女が死んだ』 梨木香歩 新潮文庫

「おばあちゃん、大好き」

「アイ・ノウ」

それは二人だけの秘密の合言葉。



【西の魔女が死んだ】

西の魔女が死んだ。

学校で理科の授業が始まろうとしているときだった。

すぐにお母さんが来るから帰る準備をして校門のところで待っているように言われた。

何かが起こったのだ。

まいは言われたとおり校門のところでママを待った。

ほどなくママの運転する車がやってきて、まいが乗り込むとすぐに発進した。

「何があったの?」

と、まいはおそるおそる訊いた。

ママは深くためいきをついた。

「魔女が――倒れた。もうだめみたい」

突然、まいのまわりの世界から音と色が消えた。

まいは体がどんどん重く沈みこんでいくように感じた。

そして二年前の、季節が初夏へ移り変わるちょうど今ごろ、おばあちゃんと過ごした一カ月余りのことを急に思い出した。

中学に進んで間もなく、学校に行けなくなったまいは、西の魔女のもとで過ごした。

田舎のおばあちゃんの家で暮らすことになったまいは、魔女見習いの修業を受ける。

魔女修業で一番大事なことは――何でも自分で決める――ということだった。


【渡りの一日】(文庫版併録作品)

その後のまいの物語。

加納さんがやってきたという母の順子の言葉で目が覚めた和邇ショウコ。

洗面を済ませて、茶の間に入ると、加納まいが待機していた。

今日、ショウコとまいは杖差山に登ってサシバの渡りを見ようと前から約束していた。

だが、何事も適当なショウコのおかげで予定はなしになってしまった。

がっかりするまいに順子は展覧会の券を二枚渡す。

以前からその展覧会に興味があったまいは、すぐにショウコといっしょに家を出る。

だが展覧会会場のバスに乗ろうとしたとき、猛スピードで走ってきた自転車とぶつかりそうになり……。

関連作品

本『家守綺譚』 

本『西の魔女が死んだ』

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『西の魔女が死んだ』

中学生の頃から題名だけは知っていました。

学校の図書館でも町の図書館でも一度は手に取ってしまう題名ですよね。

題名に反してといったら失礼ですが、内容はよくある少女の成長物語です。

母親から「生きにくいタイプの子」「扱いにくい子」と評されてしまう主人公の女の子、加納まい。

母親ひどいなぁと思いましたが、読み進めていくうちにその意味もなんとなく分かります。

感受性が強すぎるまいを見ていると、確かに「生きにくいタイプの子」なのかもしれません。

その後、まいは不登校になった学校には戻らず新しい土地の新しい学校へ転校します。

まいは自分の問題や自分の弱さをしっかりと理解して決めたようです。

これも成長だと思いますが、おばあちゃんとわだかまりが残ったままの別れは少し寂しかったです。

そのうちおばあちゃんとの思い出も忘れ、新しい学校で新しい友達といっしょに楽しい生活を送るようになります。

そして物語終盤にさしかかりました。

『ニシノマジョ カラ ヒガシノマジョ へ』はとても印象的でした。

まいの中で何かがすっと蘇ったように、私の中にあった消化不良のような感覚も消えました。

学校に行かなくなった主人公がのどかな田舎で過ごす物語。

よくある物語ですが、それ以上に登場人物たちの会話や台詞の一つ一つが印象的です。

ありふれた話ですが、それ以上に何かを訴えかけるような魅力があります。

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