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昔話『About A ××××』6

前回のあらすじ

ただの人間には興味ありません。

完璧な人間がいるなら私のところに来なさい。

以上。



本家にはたびたび分家の人がやってきました。

平日や休日など、連絡もなく突然やってくることが多かったです。

分家の人達がやってくる目的の多くは、自分の子どもたちを預けるためでした。

私にとってはイトコと遊べるからとても嬉しかったです。

しかし母にとっては違いました。

母は親戚たちが家に来ることを快く思っていませんでした。

母は家族との時間を大切にしたい人でしたから。

親戚が来てしまうと大切な家族よりも親戚を大切にしなければいけません。

母は自分の予定を崩されることが嫌いでしたから。

せっかく出かける予定を立てても、親戚が来てしまってはどこにも行けなくなります。

それでも親戚達の前では嫌な顔一つせず、愛想笑いを浮かべて親戚の子どもを受け入れていました。

しかし裏では私に愚痴や不満をこぼしていました。

「あの家の人はどうしていつもああなのかしら……」

「何考えてるんだか、まったく……」

「もう勘弁してほしいわ……」

「たまには家族でゆっくりしたいのに……」

不満を全て吐き出した母は、毎回最後に私を抱きしめて言いました。

「あなたはいい子ね。あなただけはお母さんの味方でいてね」

私の母は強い人です。

それでも母は、自分の弱さを理解してくれる人が欲しかったのでしょう。

けれど親戚に対する不満を夫や姑に話す訳にもいきません。

そこで血のつながりのある自分の子どもに理解を求めたのでしょう。











ねぇ母さん。
















どうしてあなたは私を選んだのですか?














愚痴や不満を聞いてほしいという気持ちは嫌というほど分かります。

でもどうして幼い私に対して親戚の不平や不満を言うのですか?

あなたは不平や不満を吐き出せて満足かもしれません。

でも、それを聞かされた私は、これから親戚やイトコたちとどうやって付きあっていけばいいのですか?

私の心は祖父や父や兄の手によって傷つけられてきたのを知っているはずです。

それなのに、母は私の心にさらに深い傷を作ってくれました。

こうして私は「家族」というものが苦手になりました。

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