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昔話『あの日見た花の名前を私達は忘れない』6

前回のあらすじ

「あたし、メリーさん。今あなたの後ろにいるの」

「チェンジ」

「え……?」

「チェンジ!!」



私達が昼食を食べる予定だった教室は、頭の中がゆるふわっぽい男女が使いたいと言ってきました。

先「あの、先にここを使っていたのは私なんだけど……」

友人の先輩は、机に置いてあるの鞄を指さして言いました。

女「別にいいじゃん。他にも教室はあるんだからさー」

頭の中がゆるふわっぽい女は、面倒くさそうに言いました。

男「……チッ」

頭の中がゆるふわっぽい男は、ケータイ電話を操作しながら舌打ちます。

友「……」

友人は今にも怒って彼らに手を出しそうでした。

しかし……。

先「どこか別のところで食べようか」

白衣を着た女性、友人の先輩はにっこり笑って言いました。

その言葉に拍子抜けしたゆるふわっぽい男女。

納得はしていないけれど、小さく頷く友人。

先輩は、置いてあった荷物を取って部屋を出ました。

私と友人もそれに続いて部屋を出ます。

それから私達は別の教室を探しながら歩き始めます。

人のいない教室を求めて歩いていたら、友人の先輩が申し訳なさそうに言いました。

先「ごめんね」

友「気にしないでください。悪いのは先輩じゃないですから」

友人はそう言って先輩をなぐさめました。

私は彼女を慰めることも、ゆるふわ男女に憤ることもしません。

そんなことよりも私には疑問に思っていることがありました。

私(なんであの部屋じゃなきゃいけなかったんだろ)

黙りこくったまま歩いていると、先輩が私に話しかけてきました。

先「さとうみりんくん……だよね? 昨日はありがとね」

私「いえいえ」

それから言葉の後ろに、こちらこそありがとうございます、と付け足そうとしました。

が、その前に友人の言葉が割り込んできました。

友「こいつの名前は××××ですよ」

昨夜同様またもや本名を明かされてしまいました。

誰にだって偽名を使いたくなる時がありますよね。

どうしてその気持ちを分かってくれないのでしょう、この友人は。

さとうみりん……。

漢字を当てるなら「砂糖味醂」。

なんて調味料らしい名前でしょう(´∀`*)キャーカッコイイ

皆さん違いますよ?

私は、中学二年生男子の多くが発症すると言う病気を患っていません。

ただ美的感覚がイカレているだけです。

それはそれで問題ですけどね(・∀・)ネー













先「よろしくね、みりんちゃん♪」

友「……」

私「……」











安易に偽名を使うのはダメですね(´・ω・`)

こうして私はバイキンマンの片割れのような呼び名を授かりました。

あだ名をいただいたのは大学に入ってから二度目です。

友「ところで、あの教室って他の教室と何か違うんですか?」

友人も私と同じことを考えていたようで、歩きながら先輩に聞きました。

先「そっか。君たちはまだ入学したばかりだから知らないのか。あの教室は他の教室より小さいけど、他にはない特徴があるよ」

友「何ですか?」

先「あそこの教室だけ内側から鍵がかかる。他の教室は外側からしかかけられないんだけど」

友「へぇ」

友人は答えを得られて納得したようです。

私もその答えを聞いて納得しました。

そしてこれからすべきことが見つかりました。

へへへ、おもしろくなってきやがった(・∀・)

ちょうどそこに警備員の方が歩いてきました。

ご都合主義のような現実に感謝して、その人にお願いを伝えようと思って口を開きます。















先「そこの教室で男と女がピーしようとしてましたよ」















警備員は、彼女の言葉にかなり驚いていました。

しかしすぐに職務を全うするために走り出します。

私「……」

友「……」

先「あの教室で食べようか♪」

先輩は明るい笑顔を振りまきながら大教室を指さしました。

彼女の隣を歩いていた私は、仄かに香る匂いにようやく気づきました。

香水の香りでも花の香りでもありません。

高校の理科準備室を思い出させる――薬品の匂いでした。

そういえば私の友人は、彼女のどこを好きになったのでしょうか。

ユリの花のように綺麗な見た目?

それともトゲのある花のような性格も含めてかな?

どちらにしても私は友人を応援しますよ。

だって私達は友達ですから。















まあ嘘ですけどね。

好きだった人の口癖が、今では私の口癖になっています。

あの人は私以上に嘘つきで、私以上にイカレてる人でした。

イカレてる人間は普通の人より早く死ぬのかなー、なんてことを考えながら大教室の扉に手をかけました。













「あー!! すーくんが浮気してるー!!」

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