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昔話『734円の事情』 3

前回のあらすじ

ドS vs ドS



女「ほら。早く拾いなさいよ♪」

私「……」

恍惚の表情を浮かべる女が上から目線で私に命じます。

私には疑似姉弟体験をしている時間的余裕はあっても心の余裕はありません。

イカレた女の子は好きですよ。

しかし、屈辱を受けるのは大嫌いです。

私「……」

女「ほらぁ。早くしなさいよー(・∀・)ニヤニヤ」

私「お姉ちゃん。無理だよ」

女「え?」

私「お姉ちゃん知ってるよね? 私が潔癖症だってこと」

女「え? え?」

私「潔癖症の私が落ちた小銭を拾うなんてできるわけがないよ」

女「……」

私「だから拾ってよ、お姉ちゃん♪」

ちょっと上目遣いで、男に媚びる女のように、お願いしました。

まあ潔癖症なんて嘘ですけどね。

女「……」

女は苦虫を噛み潰したような表情になっています。

私「ほらー、駅員さんも心配して来てくれたんだからー、早く拾って帰ろうよー」

私は怒りを助長させるような口調で女に言います。

女は一瞬だけ駅員の方を見て、それからまた地べたに広がる小銭たちに目を向けました。

そしてようやく地べたに這いつくばって、私が落とした小銭たちを拾い始めました。

私「お姉ちゃん、ありがとー(・∀・)ニヤニヤ」

女「気をつけなさいよ、もう」

女は自分のポケットに小銭を入れていきます。

私の小銭たちは、この日この瞬間彼女の物となりました。

駅員たちも仕事に戻り、私も女と別れてどこかへ行こうと歩き始めました。

女「ちょっとどこ行くの?」

私「どこって……行く場所があるから」

女「これで勝ったと思ったら大間違いだからね?」

勝ったとも負けたとも思っていませんけどね。

まあ、優越感にはちょっとだけ浸っていましたけど。

女「ご飯食べに行くよ」

私「えー。金持ってないじゃん」

女「あんたがくれた小銭。えーと、734円使わせてもらうから。足りない分は、あんたが出してよ」

私「……」

面倒くさい人に巻き込まれました。

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