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本『春期限定いちごタルト事件』 米澤穂信

『春期限定いちごタルト事件』 米澤穂信 創元推理文庫

  

社会的階級など低くてもいい。

小市民たれ。

【プロローグ】

主人公のぼく、子鳩常悟朗(こばとじょうごろう)は、高校デビューを考えている。

中学まではおとなしく、高校に入ってからやんちゃになることを、高校デビューという。

多少意味合いは違うけれど、ぼくたちも高校デビューを狙っている。

【羊の着ぐるみ】

難関校と知られる船戸高校を受験したぼくは、合格発表を確認しにやってきた。

もちろん合格した。

それからいっしょにやってきたぼくのパートナーを捜す。

だが小さくて目立たないパートナーのため、なかなか見つからない。

そこでケータイを取り出し、メールアドレスを呼び出す。

登録名は「小佐内ゆき 携帯電話」

小さな体躯、細い手足、髪は尼そぎ、というこれといって特徴のない女の子。

ぼくと小佐内さんは、ある信条を胸に生きている。

クラーク博士が残した「紳士たれ」という言葉に似ている。

それより少し社会的階級は低い「小市民たれ」

その帰り道、小学校のぼくの友達、堂島健吾に声をかけられる。

彼は、小学生のときと違うぼくの様子に訝しがっていた。

そして高校生活は、穏やかに始まった。

だが小市民として生きようとしているぼくと小佐内さんのすぐ近くで事件が――。

女の子のポシェットがなくなり、それを探す手助けをしてほしいと堂島健吾からお願いされる。

【For your eyes only】

ある時、ぼくと小佐内さんは本屋にいた。

そこで偶然出会った友人、堂島健吾にぼくは再びお願いされる。

今度は事件ではなく、美術部の絵にまつわる謎解き。

さらにぼくは、小佐内さんからもお願いされる。

彼女がよく行くケーキ屋の「春期限定いちごタルト」の販売が今日までだというのだ。

一人一個というタルトを買い、ぼくらはコンビニに寄った。

そこで柄の悪そうなグループを見つけたが、少し気をつけようとしか思わなかった。

グループが店を出て、ぼくは彼女の買い物を待つ。

ぼくらも店を出ると、目の前を自転車がすごい勢いで走り去っていった。

その自転車は、カゴにいちごタルトを載せた、小佐内さんの自転車だった。

【おいしいココアの作り方】

日曜日、ぼくは街で小佐内さんを見かけた。

ぼくらは互恵関係にあるが、依存関係にはない。

そのため放課後二人で出掛けることはあっても、日曜日に約束して二人で出掛けることはない。

小市民として生きる彼女は変装をする。

いつも学校で見る彼女は地味な服装だけど、今日の彼女は一見すると分からない服装だ。

小佐内さんに声をかけて二人で歩いていると、堂島健吾から自宅に招待されるメールが入る。

二人で彼の家に行くと、おいしいココアの作り方を教えてもらう。

途中小佐内さんが席を立った時、健吾はぼくの雰囲気が違いすぎるといった。

中学時代、ぼくに何かあったのかと聞き出そうとする健吾。

小市民になろうとしているぼくにとって迷惑な話だった。

そして今日も今日とて、謎解きに巻き込まれてしまうのだ。

【はらふくるるわざ】

その日は中間考査で、昼頃学校は終わった。

家に戻って軽食を取り、仮眠しようと思っていたところに家の電話が鳴った。

小佐内さんからだった。

いつものようにケーキ屋へ行き、そこで話を聞く。

すると、小佐内さんのクラスで試験中にガラスの瓶が割れるという事故が起こったらしい。

ぼくは深く考えずに聞いていたが、学校に携帯電話を忘れたことを指摘され、取りに戻る。

そしてついでに小佐内さんのクラスに入る。

決して、推理するためではない。

なぜならぼくは小市民だから。

【孤狼の心】

小佐内さんの自転車が見つかった。

道路の途中に放置されていたらしい。

放課後、ぼくと小佐内さんはその自転車を回収しに、その場所まで向かう。

自転車を見つけたぼくらは、犯人が何故こんなところで乗り捨てたのか考える。

国道を外れた道路で、右へ行けば山越えの道、左に広がるのは田園地帯だ。

そしてぼくと小佐内さんは、真実をつきとめる。

小市民なら、本当の小市民ならそこで終わりだった。

しかし、ぼくも小佐内さんもまだ小市民になりきれていない。

彼女の晴れ晴れとした笑顔を見て、ぼくはぞっとした。

小佐内さんは今でこそ甘いものを食べるときしか喜びを感じない。

だが中学時代は……。

【関連リンク】

本『春期限定いちごタルト事件』

本『インシテミル』

本『ボトルネック』

本『氷菓』

本『愚者のエンドロール』

本『クドリャフカの順番』

本『遠まわりする雛』

本『ふたりの距離の概算』


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