Date:2010/11/23 21:06
前回のあらすじ
時間が流れるにつれて、街も変化していく。
私が住んでいた時とはまったく違ってきている。
いいんじゃない?
便利になって住みやすそうだし。
私「久しぶり」
数年ぶりに再会した親友に挨拶した。
それから私たちは、あてもなく歩き始める。
友「つーか、久しぶりだよな。どうしたんだよ急に」
私「いや。たまたまこっち来る用事があったから連絡してみたんだよ」
友「ふーん。お前が連絡するなんて珍しいよな」
私「そうだね。連絡のし忘れで何年も会ってなかったからね」
友「ホントだよ。お前どんだけ待たせれば気が済むんだよ。俺がお前の恋人ならソッコーふってるぞ」
私「遠距離恋愛かー。おもしろいのかな?」
友「しらねーよ」
二人して笑っていると、前から女の子がやってきた。
少し、というか、とても派手な服を着た女の子。
ぽっちゃり体型の女の子が――ロリータ・ファッションを着てやってきた。
その姿はとても堂々としていて、貫禄のようなものがあった。
「よう。今日もそのヒラヒラした服着てるんだな。○○」
親友が冷やかすように言った。
私「知り合い?」
友「ああ。高校のクラスメイト」
女は、こちらを睨みつけて言った。
女「それは私の本当の名前ではありません。私の名は、姫雪。それから、このお洋服はヒラヒラではなくロリータ!」
顔を赤くしながら本気で怒っているぽっちゃりロリータ。
それにしても、ロリータはこの街に似合わない。
私「それってBABYのお洋服?」
親友と口論を繰り広げるぽっちゃりロリータさんに声をかけてみた。
勢いよくこちらを向いた彼女は、私の問いかけには答えず、口をパクパクさせるだけだった。
私「大丈夫?」
女「……初めてなのです」
私「え?」
女「ロリータに関心がある方に出会うなんて初めてなのです! これは運命です! そうに決まっているのです!」
彼女は、ロッキンホース・バレリーナを履いた足でピョンピョン跳ねて、パニエで膨らませたであろうスカートをなびかせている。
親友は苦笑いを浮かべている。
私は愛想笑いを浮かべる。
女は嬉しそうに笑っている。
少しだけその子と話してからまた歩き始めた。
私「おもしろい子だね」
友「お前の才能は相変わらずだな」
私「あの子、イカレてる?」
友「学校にもあの学校で来るんだぞ」
私「へぇ。すごいな。でもそこまでイカレてないかな」
友「基準がよく分からない」
私「えーとね……私が一目惚れするくらいの子はイカレてる」
友「馬鹿」
私「知ってる」
親友は笑った。
私も笑った。
友「じゃあお前に、とびきりイカレた女を紹介してやるよ」
私「ホント?」
親友はただ黙って歩き始めた。
私は、その後ろをついていくことにした。
歩きながら、変わっていない町並みを見た。
私「ここらへんは……見た目は変わっていないね」
友「そうだな」
私「駅前はあんなに変わってたのに」
友「変わるところもあれば、変わらないところもあるんだよ」
そんな話をしながら私たちは、歩き続けた。
どれくらい歩いたろう。
一度か二度くらいしか来たことがない地域までやってきた。
そして親友が一軒の家の前で止まった。
私「ここ?」
友「ああ」
私「冗談きついよ」
友「ああ」
親友は笑わない。
私は――。
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