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本『映画篇』

『映画篇』 金城一紀 集英社

この本を片手に映画館に行こう!



名作映画をモチーフに書き下ろされた五作品。

映画がきっかけで出会った人々の友情や愛を描いています。


「太陽がいっぱい」

朝鮮学校に通う「僕」と龍一は映画を通じて仲良くなっていった。

映画館で一緒に映画を見るたびにいろんな事を知り、たくさんのことを考えるようになった。

二人はこれからもずっと一緒だと思っていた。

しかし、高校が別々になった「僕」と龍一はお互い違った道を歩んでいくことになる。

再び二人が出会ったのは――二十年以上後の同窓会だった。


「ドラゴン怒りの鉄拳」

夫が自殺してからずっと家にこもりきりだった妻……。

そんな彼女を救ってくれたのは、ビデオ屋からの延滞を知らせる電話だった。

死んだ夫が借りていたビデオを返すため、ビデオ屋「ヒルツ」に向かうと電話をかけてきたバイトの青年・鳴海がいた。

暗い顔をしている彼女に鳴海は、サービスだからと言ってビデオを貸してくれた。

渡されたビデオを見て、妻は久しぶりに笑った。

それから何度も鳴海とビデオの貸し借りを繰り返すうちに彼女は、心が晴れやかになっていくのに気付いた。


「恋のためらい/フランキーとジョニー」もしくは「トゥルー・ロマンス」

高校二年の夏頃に席が隣同士になった石岡が僕に初めて話しかけた。

だが、初めて話した翌日から石岡は学校に姿を見せなくなった。

それから1ヶ月が経ち、夏休みの最終日に彼女から一緒に映画を見ようと誘われた。

一緒に映画を見て、買い物をして楽しい時間を過ごした。

翌日の始業式、僕は彼女から強盗の話を聞かされる。

法律事務所に勤務する父親からお金を奪って逃げるというのだ。

日常から離れたかった僕もその計画に参加することになる。

そして明かされる石岡の悪い噂と僕の過去……。


「ペイルライダー」

ある時、ユウはいじめられっ子に捕まっているところを大きな黒いオートバイに乗っているライダーに助けられる。

そのライダーは、まん丸えびす顔で髪がパンチパーマの中年のおばさんだった。

そのバイクは、ハーレーダビッドソンFXSローライダーと言った。


「愛の泉」

鳥越家の心の支えだったおばあちゃんがおじいちゃんの一周忌の日にヘコんでしまった。

そんなおばあちゃんを何とか立ち直らせようと孫たちが立ち上がった!!

皆はさまざまな提案を提示していき、「昔、おじいちゃんと一緒に見た映画」を見せることに決まった。

映画企画のプロデューサーを任されることになった僕は、僕が通う大学の浜石教授の研究室を訪れた。

そこには、浜石教授ではなく知的そうな女の人がいた。

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