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本『下妻物語 ヤンキーちゃんとロリータちゃん』

『下妻物語 ヤンキーちゃんとロリータちゃん』 嶽本野ばら 小学館



ロココ、それは十八世紀後半のおフランスを支配した、もっとも優雅で贅沢な時代。

美術史においてロココといえば、バロックの後に出現した曲線美と華やかで繊細で女性的な様式。

そう言ってしまえば、きこえはよいものの実に軽薄な装飾様式で、美術の歴史の汚点とされ、闇に葬り去られたのがロココ。

そんなロココに惹かれ、ロココに身を捧げ、ロココ的な生き方を全うする少女が日本にいた。

兵庫県尼崎市で生まれた竜ヶ崎桃子は高校生の時からロリータな姿で生き、ロココ時代に流行った刺繍を習い、時代は違えどロココの精神を持っていた。

毎日のように全身を大好きな BABY,THE STARS SHINE BRIGHT で固め、靴だけは Vivienne Westwood のロッキンホースバレリーナで決めて街を歩いていた。

ある日、ブランド品のバッタモンを売っている彼女の駄目親父が仕事で失敗し、身を隠すために彼の実家である茨城に移り住むことになった。

その話を聞いた桃子は、かつてのロココな貴族のように田園を歩ける、東京の代官山にある BABY,THE STARS SHINE BRIGHT の直営店に行ける、という幻想を抱いて移り住んだ。

しかし、彼女が住むことになったのは茨城県下妻。

周りは田園というよりも田んぼばかりがある卒倒してしまいたくなるほどの田舎町である。

しかも家から下妻駅まで徒歩三十分、そこから東京まで行くには最低二時間半かかる。

彼女の甘い幻想は無惨にも打ち砕かれたのだった……。

それでも彼女は、ロリータで田んぼ道を歩き、長い時間かけて代官山で Baby のお洋服を買い占めた。

しかし、ロココの精神に従って労働をしないと決めていた彼女はお金に困り始めた。

今までは駄目親父から騙し取ったお金で買っていたが、今はそうはいかない。

そこで桃子は、駄目親父がかつて売っていたブランド品を格安で売ることにした。

雑誌の広告に載せると返事がすぐに返ってきた。

その中の一人、下妻市に住む白百合イチコという女の子に商品を見てもらうことにした。

桃子が白百合イチコを待っていると、ヤンキーが乗るようなバイクのエンジン音が聞こえてきた。

その音がだんだん近づいてきて、とうとう家の前までやってきた。

悪趣味な色彩に不気味なデザインの原チャリに乗って現れた金髪のヤンキー女こそ、桃子が待っていた白百合イチコだった。

その日は偽物の VERSACE を買って帰ってもらったが、その後も彼女は事あるごとに桃子の前に姿を現した。

一緒にいるうちに桃子はイチコの本名がイチゴということを知り、イチゴは桃子にパチンコの才能があることを知った。

ロリータの桃子とヤンキーのイチゴ——。

共通点もない、考え方も正反対の二人だが、他人とも友達とも言えない奇妙な関係が出来上がった。

<関連リンク>

本『ハピネス』

本『変身』

本『ロリヰタ。』

本『下妻物語』

本『下妻物語・完 ヤンキーちゃんとロリータちゃんと殺人事件』

本『ミシン2/カサコ』

本『ツインズ 続・世界の終わりという名の雑貨店』
(『ミシン』収録作品【世界の終わりという名の雑貨店】 続編)

本『タイマ』

本『エミリー』

本『鱗姫』

本『カルプス・アルピス』

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この記事に対するコメント

無題

映画は観たことあります。

キャスティングもおもしろいですし、
笑える要素と友情要素もあるよい作品ですよね。

【2008/11/23 07:49】安寿 #9b2aa1b392(URL)[編集]

無題


キャスティングもけっこう有名で演技がうまい方が出てますよね。
私が見てきた映画の中で上位にあがる良い作品です(´∀`*)

【2008/11/24 15:39】three #92ce3a43a4()[編集]

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